誰もが気軽に相談できる場所へ──「ならはぐ」と歩む未来のための一歩

奈良県 福祉保険部医療政策局 健康推進課 ご担当者さま
奈良県では、オンライン相談サービス「ファミワン」を導入し、県民の相談窓口の充実とプレコンセプションケア(男女を問わず、性や妊娠に関する正しい知識の普及を図り、健康管理を促す)の推進を通じた健康づくりに取り組んでいます。
導入に至った経緯や効果、今後の課題・展望について、「奈良県福祉保険部 医療政策局 健康推進課 母子保健・人材確保対策係の 畑様」 にお話を伺いました。
県民の“声”を受けて見えた、相談体制の課題と必要性
―まず、ファミワンを導入いただいた背景について教えてください。
奈良県)奈良県では従来から「不妊専門相談センター」を設置していました。しかし近年では、不妊に限らず性や健康に関する幅広い相談が増加している状況にありました。また令和5年度に実施した県のニーズ調査でも、オンライン相談のニーズや専門相談の充実への期待が多く寄せられました。
また、国の基本方針でも「プレコンセプションケア」の推進が掲げられており、県としても若年層を含む幅広い世代が気軽に相談できる体制の整備が急務となっていました。そうした中で保健師向けの勉強会を通じて知ったのが、オンライン相談サービス「ファミワン」でした。専門的かつ幅広い知識に基づいた相談対応と、若い世代も含め利用しやすいオンライン環境が、県が抱えている課題と重なる部分が多いと感じたことが、導入検討のきっかけとなりました。
若年層にも届く、オンライン相談の使いやすさと専門性
―導入の背景として「相談のしやすさ」や「多職種の専門家による幅広い相談対応」が重要だったとお話しいただきましたが、具体的にどのような点に魅力を感じられましたか?
奈良県)時間や場所を選ばず相談できる仕組みは、若い世代も含め気軽に利用していただけるのではないかと思います。特にプレコンセプションケアが重要視される若年層にとって、SNSを活用した相談窓口は利用しやすく、また性の問題など家族にも相談しにくい悩みを抱える方も気軽に相談できる環境は、大きな利点だと感じています。また、看護師、助産師、栄養士など、多職種の専門家が連携して対応するため、ひとつの悩みに対して多角的な支援を受けられる点も大きな魅力です。
相談件数は従来の約9倍に増加。若年層から利用も広がる
―ファミワンを導入してから、利用件数についてどのような変化がありましたか?
奈良県)導入後、令和6年度の相談件数は約580件と、以前の年間60〜70件から8~9倍に増加しました。相談者の年代も10代から60代までと幅広く、不妊に限らず多様な相談が寄せられるようになっています。特に学校を通して中学生や高校生一人ひとりにカードを配布した後には、前月比で相談件数が約2倍に増加するなど、若年層からの相談も増えており高いニーズを感じています。
―利用者の方からの反応はいかがでしたか?
奈良県)毎月の相談実績から、複数回継続して利用される方が多く、1回だけでなく繰り返し利用したいと感じていただけていると感じています。
また、利用者からは、「心が軽くなった」「回答を読んで泣きそうになった」「主治医に相談してみようと思った」など、前向きな声が寄せられています。中には、「アドバイスを生活に取り入れたい」「食生活を変えてみようと思った」といった実際の行動変容に繋がるケースも見られ、まさに「正しい知識を得て健康管理を行う」プレコンセプションケアの実現にも繋がっていると、事業の効果として感じています。
職員の支援体制の変化
―ファミワン導入によって、現場での支援体制や職員の方々の業務に変化はありましたか?
奈良県)性や健康に関する相談があった時に、この相談窓口、奈良県性と健康の相談センター「ならはぐ」をご紹介できるということは、とても心強いと感じています。
また、昨年度は市町村の保健師等の専門職や、学校関係者向けに、ファミワンさんと連携した研修も実施しており、職員全体の知識の向上やプレコンセプションケアの普及啓発に繋がっていると感じています。
今後の課題と展望 ― より広い周知と連携の強化を
―ここまでのお話で、ファミワン導入により現場の支援体制が強化された成果が伺えました。一方で、今後さらに取り組んでいくうえでの課題や、ファミワンへの期待があれば教えていただけますか?
奈良県)今後の取組として、まずは、相談窓口やプレコンセプションケアに関する周知活動の充実が重要と考えています。昨年度はファミワンさんとともに、学校への周知など積極的に進めてきたところですが、「プレコンセプションケア」について、県民の皆様に広く理解いただき、性や妊娠に関する正しい知識を身につけて健康管理に役立てていただけるよう、医療機関や行政、教育関係機関等とも連携しながら、セミナー等を通じた啓発活動も進めていきたいと考えています。
県民の「プレコンセプションケア」の推進を目指して
―最後に、奈良県として県民の皆さまに伝えたいメッセージや、今後に向けた思いがあればお聞かせください。
奈良県)今後も「ならはぐ」を通じて県民のお悩みやニーズに応えるとともに、正しい情報・知識の提供を通じて、未来の健康のためのプレコンセプションケアの普及を進めていきたいと思います。
何か悩んでいることや、疑問に思っていることなどがございましたら、「こんなことぐらいで・・・」と思わずに、お気軽に「ならはぐ」に相談してください。
―本日はありがとうございました。
自治体
奈良県
住民数
1,275,569人