性格が正反対の兄弟、どう叱るのが正解?【お悩み相談室】


今回は、性格が正反対の兄弟の叱り方に悩んでいるママからのご相談です。長男は穏やかで繊細、次男は活発でやんちゃ。次男を叱ると長男が泣いてしまい、どう対応すべきか悩んでいるそうです。

兄弟それぞれの個性を尊重しながら、効果的なしつけをするにはどうすればいいのか。相談経験豊富な心理士が具体的なアドバイスをお届けします。

4歳半の男の子と、1歳半の男の子のママです。性格が正反対の兄弟の叱り方について悩んでいます。4歳半の長男は穏やかで繊細な性格で、1歳半の次男はやんちゃな性格です。長男は諭すように叱っても1回で言うことを聞いてくれるのですが、次男は長男と同じように叱っても言うことは聞いてくれず、同じことで2回3回叱ってもまだしようとするのでついつい私も大声で怒ってしまうことが多いです。そうすると、次男を叱る私を見て何も悪くない長男が泣いてしまうことが多々あります。怒る私を見て泣いてしまう長男を考えると胸が痛みますが、次男のしつけのためには叱らないわけにもいかないので悩んでいます。長男にとっても次男にとっても良い叱り方はどのような方法なのでしょうか。

(20代、女性、ハンドルネーム:ななな、職種:主婦)


最初に

4歳半と1歳半、ふたりの男の子のママとして毎日奮闘されているんですね。まずは、朝から晩まで忙しい中で、ひとりひとりの性格をしっかり見て、向き合おうとしているあなたの姿勢に、心から拍手を送りたいです。

さて、「同じことをしても、長男は1回で言うことを聞くけれど、次男には何度言っても響かない…!」この悩み、全国のきょうだい育児中のママたちがうんうん頷いているのが見えるようです。

子どもの性格や発達段階によって、しかり方や伝わるタイミングが大きく異なる

1. 叱り方の悩みは「ママが悪いから」ではないんです

まずはっきりお伝えしたいのは、「私の叱り方がダメなのかな」と自分を責めなくて大丈夫、ということです。

お子さんの性格や発達段階によって、「響く叱り方」「伝わるタイミング」は大きく異なります。ママの伝え方が悪いのではなく、まだ次男くんに“届きにくい時期”というだけかもしれません

1歳半というと、好奇心は爆発中、自我も芽生え始め、「だめ!」と言われると逆にやりたくなる「反応期」の真っ只中。言葉での注意や説明だけではなかなかブレーキが効きづらい時期なんです。

2. 次男くんには「言葉+環境」で伝えてみる

次男くんには、言葉だけでなく、環境を整えることで行動をコントロールする方法が効果的かもしれません

例えば:

- 危ないもの・触ってほしくないものは物理的に手の届かないところへ

- 「○○はダメ!」ではなく、「こっちで遊ぼう」と代替案を出す

- 「何度言ってもわからない」ではなく、「伝え方を変えてみよう」

また、まだ理解が追いつかない時期に怒鳴られてしまうと、「なぜ怒られたか」が分からず、不安や混乱だけが残ることも。もちろん、何度も繰り返されれば大人だってイライラします!でも「伝わらない=悪い子」ではないこと、どうか忘れずにいてくださいね。

3. 長男くんの涙は「優しさの証」

次男くんを叱ると、なぜか泣いてしまう長男くん。きっとママの気持ちに共感する力が強い、やさしいお兄ちゃんなんですね。

もしかすると、「ママが怖くなっちゃった…」と感じていたり、「弟が怒られて悲しい」と感じていたり。いずれにしても、長男くんのその反応は、感受性の豊かさの表れです。

そんなときは、ぎゅっと抱きしめて、「ママが大きな声出しちゃってびっくりさせちゃったね」「弟くんが危ないことしてたから、ママも必死だったんだ」と正直に伝えてあげるだけで十分です。

長男くんにとっても、「ママはちゃんと僕のことも分かってくれてる」と感じることで安心感につながります

4. 「うまく叱る」より「安全と安心を守る」ことが優先

しつけというのは、完璧にしなければいけないものではありません

特に乳幼児期は、「危険を避ける」「周囲との関係で問題が起きないようにする」ことが主な目的。人格を育てるのは、もう少し大きくなってからでも大丈夫です。

大声を出してしまった日があっても、「今日も1日乗り切った!」で花マルです。

最後に

兄弟それぞれに合った叱り方を模索するのは、本当に根気のいること。でも、あなたがすでに「2人の性格は違う」と気づき、それぞれに合う方法を探そうとしている時点で、もう十分すぎるほど立派な子育てをされています。

怒っても、落ち込んでも、また笑顔で向き合えるなら大丈夫

ママが悩んだ分だけ、子どもたちはきっとしっかり育っていきます。

肩の力を抜いて、「今日もなんとか乗り切ったなぁ」と思いながら、ぜひご自身にも優しい言葉をかけてあげてくださいね。

応援しています!

回答者:株式会社ファミワンに所属する【公認心理士・臨床心理士】
自治体の子育て相談窓口でお仕事をさせていただいています。キンダーカウンセラーやスクールカウンセラーとしての経験も長いです。子育て中は悩みが尽きないですよね。年齢や個性に応じた親子のコミュニケーションでお困りなら、ご相談ください。不登校、ひきこもり、家庭内暴力や虐待などのカウンセリングも得意としております。


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