不妊治療を始める前に知っておきたい!病院選びと受診のタイミング

赤ちゃんがなかなか授からず不妊治療を考えたとき、通院中の病院から転院を検討したとき、多くの人が「病院選び」で悩まれるのではないでしょうか。

「不妊治療ができる病院」といっても、大学病院や総合病院、産婦人科医院、そして不妊治療専門クリニックなど、病院によって設備や技術、治療できる範囲などさまざまです。
その中で、自分とパートナーが納得して治療に受けるために、自分たちに合った病院を見つけたいものですね。
そこで、今回は、不妊治療の病院に受診するタイミングと不妊治療病院の種類、そして病院を選ぶ際のポイントについて解説していきます。

不妊治療の病院に受診するタイミング

不妊の定義として、「妊娠を望む健康な男女が避妊をせずに性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態」を指し、日本産婦人科学会ではこの一定期間を「1年」と定義しています。「1年間トライしてみて妊娠しなければ受診する」ということは一つの目安となりますが、妊娠に関して女性の年齢の影響は大きいため、年齢別でいうと、34歳までは「1年妊娠しなかったら受診」、35歳以上であれば「半年妊娠しなかったら受診」、40歳以上であれば「妊娠を考えたらすぐに受診」といったようになります。

ですが、不妊治療を始めるタイミングに明確な決まりはありません。「元々生理不順だから20代だけれど結婚してすぐに治療を始めたい。」「年齢的に不安なため早く不妊治療を受けたい。」など、人それぞれの考え方に沿って、不妊治療が進んでいきます。そして、不妊原因になるような婦人科疾患がある場合や、月経不順がある場合、性交障害がある場合などは、妊娠を考えはじめたらなるべく早めに受診されることを検討するとよいでしょう。

また、すぐに不妊治療を考えていなくても、健康や妊娠に関する検査を早めに受けられることをお勧めします。産婦人科医院や不妊治療専門クリニックの多くが、検査のみのブライダルチェックを実施しています。まず、検査を受けてみて今後の妊活スケジュールを組み立てるとより自分たちに合ったスケジュールになるでしょう。

不妊治療病院の種類

不妊治療病院の種類は大きく3つに分けられます。下記にそれぞれの特徴を記載します。

(1) 大学病院・総合病院

  • 不妊原因になっている疾患の手術を受けられる
  • 合併症や救急入院対応も可能
  • タイミング療法や人工授精などの一般不妊治療は受けられない可能性がある
  • 待ち時間がかかる可能性がある

(2) 産婦人科医院

  • 自宅や職場近くで見つけやすい
  • 不妊治療を行っているが、体外受精・顕微授精ができない病院もある
  • 産科の診療もあるため、気持ちの負担が増える可能性がある

(3) 不妊治療専門クリニック

  • 生殖医療専門医が在籍していて、体外受精・顕微授精など専門的な治療を受けることができる
  • 不妊について熟知しているスタッフが揃っている
  • 不妊治療に特化した設備、技術がある
  • 遅い時間まで診療していたり、日祝日診療をしていたり、診療時間が柔軟なところが多い
  • 都市部に集中していて、局所的に不妊治療専門クリニックが少ないところがある
  • 男性不妊の外来を行っているところもある
  • 人気のクリニックだと待ち時間がかかる可能性がある。

病院を選ぶポイント

ここまで、不妊治療ができる病院といってもさまざまな病院があるとお伝えしましたが、実際に自分たちに合った病院をどのように選べばよいでしょうか。
後悔のない不妊治療を行うために、病院を選ぶときのポイントについてご紹介します。

(1)通院しやすい病院か

タイミング法や人工授精の一般的な不妊治療では、排卵日付近で2~3回の受診が必要です。体外受精の場合は一ヶ月に4~6回の通院が平均的です。
自宅や職場からのアクセスが良く、朝や夜間、週末や祝日対応もしてくれる病院であれば、通院の負担は少ないでしょう。
病院のアクセスが悪かったり、診療時間が合わなかったりして、途中で通えなくなってしまうケースは珍しくありません。不妊治療の病院を選ぶときは、なるべく通いやすい病院を選ぶのがおすすめです。

(2)生殖専門医を持つ医師が在籍しているか

不妊治療を行っていても、実際に生殖専門医がいない医療機関もあります。
不妊治療は治療方法が多く、複雑なため専門的な知識・技術を提供できる生殖専門医が在職している医療機関を選ぶとよいと思います。
不妊治療専門病院は、一般産婦人科ではできない、不妊に特化した検査・治療を行なっているため、専門知識を持つ医師と出会えるのが大きなメリットといえます。高度な技術を必要とする「体外受精」を積極的に行なっている病院なら、治療の幅はさらに広がるでしょう。

(3)治療実績はどうか

病院によって、治療実績の算出方法は違いますので、どのように算出しているか確認が必要ですが、体外受精の治療実績が多い病院は、その分豊富な治療経験があるので、患者さま一人一人のお身体に合わせて柔軟に対応でき、適切な治療を提供できる可能性が高くなります。
ただ、治療実績が多い病院は、人気な病院であり、待ち時間が長くなったり、予約が取れなかったりすることがあるので、患者さまの満足度や口コミを合わせてみていただければと思います。

(4) 培養室の設備・技術はどうか

培養室とは、患者さまからお預かりした卵子・精子・受精卵を育てる場所で、不妊治療において最も重要な部分になります。そのため、適切な設備や技術が必要です。
培養室の空気清浄度、培養環境、機器類をしっかりと管理されているか、培養士の技術はどのように保たれ、かつ訓練されているか、この情報は、クリニックのホームページで見ることができますので、確認してみてください。

(5)男性不妊の治療もできるか

不妊原因は、男性要因も半分以上あると言われています。
しかし、泌尿器科と婦人科が連携できる男性不妊の専門医はまだ少なく、不妊治療専門クリニックであっても、男性不妊に対応できる所は多くありません。
もし不妊の原因がわからない場合、初めて不妊外来にかかる場合は、男性不妊治療も行なえる、あるいは男性不妊の治療を行える施設と連携しているクリニックを選んでおくと安心だと思います。

(6)医療安全対策の取り組みがしっかりしているか

病院は、院内感染対策をはじめ、患者のプライバシー保護など、様々な安全対策を実施しています。
不妊治療専門病院では、患者本人の氏名や生年月日などの本人確認が最も重要なことと言えます。
不妊治療をする中で、卵子や精子の取り違えはあってはならないことですので、病院側は十分注意して業務を行う必要があります。
医療安全対策の取り組みがどのようなものか、病院のホームページに記載しているところもありますので、そちらも確認いただければと思います。

(7)相性のよい医師がいるか

不妊治療においては、治療に関わる医師との相性が非常に重要なポイントとなります。
治療には患者の身体的な問題だけでなく、ストレスや不安など心理的な負担も大きく影響してきますので、治療にあたっては自分に合った医師を選ぶことが必要です。
クリニックには複数の医師が在籍している場合もあるため、まずはそのクリニックの医師陣がどのようなスタンスで治療に取り組んでいるかを確認しておきましょう。
実際に受診している患者の口コミを調べることで、治療に対する医師の姿勢や対応力、患者への配慮などがわかる場合もあります。
また、可能であれば、毎回接することとなる受付のスタッフや、看護師の雰囲気も確かめておきたいところです。
さらに、男性にはデリケートな相談がしづらいという場合は、女性医師がいるかどうかも確認しておきましょう。
口コミのなかには、誤った情報や古い情報が混ざっていることもあります。また、一般的に、不特定多数による口コミでは、ネガティブな書き込みが目立つ傾向にあります。ネガティブな口コミはインターネットに書き込むモチベーションが高いため、書き込まれる確率が高いのです。あくまで、参考程度に客観的にご判断していただければと思います。

(8)セミナーや見学会を行っている病院か

セミナーは、妊娠を望む人たちが、治療について正しい知識を得ることができる場であり、不妊治療に対する不安や疑問を解消することができます。
さらに、実際にクリニックに足を運んでみることで、そのクリニックの雰囲気や医師の治療方針なども知ることができます。
いくつかの病院を迷われているのであれば、こちらを利用するとより選択しやすくなると思います。

まとめ

不妊治療への考え方や病院を選ぶ際のメリット・デメリットに感じる項目、それは人それぞれです。今回ご紹介した内容を参考に、自分たちは不妊治療をどのように進めていきたいか、今までの生活の中に不妊治療を組み込んでいくとしたら、どのような病院が合っているかをまず自分たちで整理してみるとよいでしょう。納得した不妊治療ができるよう、自分たちに合った病院を見つけていただければと思います。

[参考文献]
・子供家庭庁.2024.”通いやすい病院選びで、体と心の荷も軽くなる”.
https://funin-fuiku.cfa.go.jp/expert/16.html (参照2024-9-16)
・はらメディカルクリニック.2024.”[不妊治療]病院の選び方のポイント7つ“
https://www.haramedical.or.jp/column/staff/howto_choose.html (参照2024-9-16)

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