外来業務での安全管理について

先日、培養士から培養室での安全管理についてお伝えしましたが、今回は外来業務での安全管理についてお話しさせていただきます。

不妊治療の専門病院には毎日多くの患者様が受診されます。

そして、患者様だけではなく血液検査のために採血した血液検体や、精液検査や人工授精などのために使用する精液などもお預かりしています。

これらは不妊治療の病院に限らず、病院として患者様が安心して安全な医療を受けられる環境を整えた上で対応をさせていただいています。

では具体的にどのような場面で、どの様に注意をしているのかお伝えしていきます。

採血

不妊治療では、ホルモンの検査などを頻杯に行うため採血を行う機会が多くなります。

特に体外受精の治療になるとホルモンの検査を行う頻度も多くなり、最も重要な妊娠判定なども採血で行います。

そのため、不妊治療の病院ではとにかく採血を行う機会が多くなりますが、もちろんこの場面でも間違い防止対策を行なっています。

採血を採取する前に採血スピッツに患者様のラベルが貼られています。

そのラベルにバーコードが付いており、バーコード認証を行なっている病院もありますが、そのようなシステムがない場合は、名前確認を行います。

対象患者様が入られたら、まずは番号札や氏名、生年月日などで本人確認を行います。

その際は、複数の項目で行います。

その後、採血スピッツに貼られているラベルを患者様ご自身にも一緒に見ていただき確認を行います。その上でどのような目的で、どの項目の採血を行うのかをお伝えし、間違いながないことを確認した上で採血を行います。

注射

採血と同様に多いのが排卵誘発剤や促進剤の注射です。

こちらも採血同様に患者様確認を行います。

その後、どの様な目的で何の注射を行うのかをお伝えしご自身の治療内容と間違いがないかも確認していただきます。

そして、実際に注射と指示箋を一緒に確認し、注射の種類や単位が間違いないか患者様ご自身にも確認していただいた後、その場で注射を準備します。

診察室・採卵・移植

診察室へ患者様をお呼びする前、電子カルテ(紙カルテ)と今からお呼びする患者様に間違いがないかを診察券などで医師・看護師・クラークなどと家訓を行い呼び込みます。

患者様が診察室へ入室をされたら、ご本人確認を行い(氏名・生年月日を言っていただく・バーコード確認・受付票確認など)診察を開始します。

採卵や移植も同様です。手術室へ入室前に手術室にいる医師・看護師・そして胚や精子・卵子を扱う培養士と声出し確認を行い、その後患者確認を行い入室してもらいます。

入室後も再度、患者様に氏名・生年月日などを名乗っていただいたり、バーコード認証を行うなどし、確認を行い処置を行います。

人工授精

人工授精の場合、静液をご自宅で容器に採取し持参していただくため、その容器にお二人の氏名・生年月日・IDなどを記載いただいたラベルなどを事前に貼っておき、それに採取していただきます。

ラベルが蓋に貼られていると、蓋を開けた後、氏名がわからなくなるため、必ず容器側で指名がわかるようになっているか確認を行います。

お預かりする際は、それだけでなくラベルが記載された上できちんと貼られていることを確認しお預かりします。

その後、静液を処理しますが、こちらは検査技師が2名のスタッフで声出し確認を行いながら、同時に複数の精子を扱うことなく行われます。

実際に処理が終了した精子は、外来にて容器に記載されていた名前と合っているのかを確認するため女性にお二人の氏名や生年月日を名乗っていただき、間違いがないことを確認後注入していきます。

この様に、まずはスタッフ間で声出し確認を行いながら準備を行い、その後実際に実施する前には患者様ご自身に名乗っていただく事で確認をし、取り違い防止、誤り防止対策を行なっています。

スタッフだけで確認をするのではなく、患者様にも参加していただく事で、より安心して治療に臨んでいただけるように工夫し、取り組んでいます。

新しい生命の誕生の場でもある、生殖医療の現場では、常日頃からヒヤリハット、安全対策、医療安全、間違い防止などについて知識を深めながら、何かが起こる可能性があると感じた場合には、必要な対策や工夫を取りながら進めていきます。

私たち医療者も、緊張感を常にもち、安全に安心して患者様に治療していただけるように医療事故防止対策を行なっています。

何気に受診していたら、気づけない部分もあるかもしれません。

想像以上に医療者が指差し確認や、復唱確認などを行なっているため、受診される際には注意してご覧になってみてください。みなさまの安心感につながると思います。

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