会社に伝える?伝えない?不妊治療と仕事の両立
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こんにちは。キャリアコンサルタントの松本彩乃です。

新年度になり就職や異動・転職、また、上司が変わった、など、ライフキャリアに変化があった方も多いのではないでしょうか。今日は不妊治療と仕事の両立について考えてみたいと思います。

不妊治療について会社に伝えていない人が57%

保険適用も始まり、これまでに比べて「不妊治療」という言葉をよく耳にするようになりました。

少し古いデータですが平成29年度「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」(厚生労働省)によれば、不妊治療をしていることを職場で伝えていない人は全体の57%だそう。
「不妊治療をしていることを知られたくない」
「周囲に気づかいをしてほしくない」
「そもそも理解を得られないと思う」
など、まだまだ周囲の人へのカミングアウトには勇気が必要なようです。

不妊治療と仕事の両立が難しいのはなぜ?

不妊治療と仕事の両立が難しいことの要因は

・通院回数が多いこと
・待ち時間など通院にかかる時間が読めないこと
・医師から告げられた通院日に 外せない仕事が入るなど、仕事の日程調整が難しいこと

ではないでしょうか。

実は私自身、30歳で転職したときは結婚3年目ですでに妊活中でした。夫の転勤に帯同し、転職したため、その当時通っていた婦人科(人工授精までしかできないクリニック)も転院することになりました。それならば、と、高度生殖補助医療へステップアップも視野に入れたいと思っていました。ここで、私がたまたま運が良かったのは転職先が「フレックス勤務制」を取っていたことでした。フレックス勤務とは1日の労働時間帯を、必ず勤務すべき時間帯(コアタイム)と、その時間帯の中であればいつ出社または退社してもよい時間帯(フレキシブルタイム)とに分け、出社、退社の時間を労働者が決められる、というものです。もちろん、いつでもどこでも何時間でも抜けていいということではありませんが、フレックス勤務である、ということが私の両立のお守りになったと思っています。
それでもやはり、体外受精周期に入るときには

・チームで仕事をしていたので急な休みで迷惑をかけるかもしれない
・必要以上に心配をかけたくない
・本音と建て前は使い分けるけれど、嘘はつきたくない

という理由から、上司と先輩には伝えることにしました。

不妊治療をしていることを職場に伝えた!メリットとデメリットは?

私の場合、上司や先輩に不妊治療を始めることを伝えたことにより、ただ、休みやすくなったことだけでなく、残業しないように生産性高く働くことの宣言になったように思います。

その結果、終業後に駆け込み受診ができるようになりました。例えば移植周期だと、排卵のタイミングに合わせて移植をするため、今日の受診で排卵が確認できないと「明日も来てね」と言われがち。急な受診にも普段から業務時間内に仕事を終わらせる意識があっただけで、かなり対応できたように思います。

だからといって、私は、みな一律に伝えよう!と言うつもりはありません。もちろんデメリットもあるからです。「毎日のように治療の状況を聞かれた」「上司は不妊治療について全く無知。だからなのか『いつ妊娠するの?』などと聞かれた。私が知りたい」など周囲の理解が乏しいと逐一説明したり、ちょっとした言葉に傷ついたりすることも。

実際に、私もキャリアコンサルタント仲間へ不妊治療についてのセミナーを開催した時も「どのくらいで妊娠できるのですか?」と質問をうけ、面食らったこともあります。そのくらい、不妊治療について当事者以外は知らないのだ、ということを実感しました。

理解してもらえるか不安、そんな時は。

皆さんは「不妊治療連絡カード」というものはご存じでしょうか。厚生労働省が発行しているカード(シート)で、

・不妊治療を受けている労働者が企業に対して、治療中であることや企業に求める配慮を伝えるためのツール
・労働者が自身の不妊治療について言葉で説明することは難しい場合もあるため不妊治療に関する一般的な情報や、必要な通院日数の目安等を例示している

など、当事者が使いやすいように工夫されています。特に私がこのカードでいいなと思っているところは「治療(通院日数や期間)は個人差や医師の判断で変わってくること」やこのシートを提出する人(当事者)や受け取った人(企業側)がどのようなことに気を付けるとよいかが明示されているところです。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/30b.pdf

もし、これから会社へ治療をしていること・始めることをお伝えしようとしている方がいらっしゃれば、参考になればうれしいです。

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