不妊ピア・カウンセラーってどんな人?
A young couple watches any contents on a smartphone. A young man bas a smartphone on his hand.

皆様、こんにちは。キャリアコンサルタントの松本彩乃です。

今日は4月からファミワンのプレミアム会員様向け通話相談の担当を開始した不妊ピア・カウンセラーについてご紹介させていただきます。実は私自身、キャリアコンサルタントであり、不妊ピア・カウンセラーでもあるのです。このコラムでは私の不妊経験も交えながらお話ししていきたいと思います。

ピア・カウンセリングとは

「ピア」とは、社会的に同等の地位の人、同僚、対等の人、友人、仲間、という意味があり、少し先を行く仲間、という立ち位置になります。実は「ピア・カウンセリング」はもともと、不妊に特化したものではありませんでした。1970年代にアメリカの西海岸で、障がい者の自立生活運動の中から、「共通の経験と関心に基づいた仲間同士の相互の支援活動」として開始されました。それから、医療や福祉の領域において「同じ障がいや疾病のある者同士」で実践されてきましたが、同じころ、カナダの学校教育の現場から生徒が互いに助け合うことの有効性から、ピア・サポートの考え方が発展していったとも言われています。「不妊ピア・カウンセラー」はNPO法人Fineが2004年から養成講座を開催し、2021年9月現在、全国で155人が認定を受けています。私自身も2019年に養成講座を受講、コロナの影響を受け、その年の認定試験は行われず、翌年2020年に無事試験に合格し、認定を受けました。

ピア・カウンセリングの特徴

ピア・カウンセラーは実は、いわゆる「専門家」ではありません。特徴としては
・当事者性
・平等性
・相互性
を持ち合わせており、アドバイスをしたり、相談者に代わり問題を解決したりすることはいたしません。相談者自身がご自分の問題に対してご自分で解決策を見出していく、そのサポートをするのがピア・カウンセラーの役割で、ピア・カウンセリングの特徴と言えます。もちろん、必要に応じて情報提供も行いますが、カウンセリングでは相談者がご自分の考えや気持ちを明らかにして、整理をし、様々な解決策や選択肢を一緒に探索していくことを目標としています。

私と「不妊ピア・カウンセラー」という資格との出会い

私と「NPO法人Fine認定不妊ピア・カウンセラー」との出会いは不妊治療クリニックでした。妊活・不妊治療を初めて5年がたっていました。2回目の移植で陽性反応が出たものの10週で稽留流産した私はそれから1年間、落ち込み、妊活にも不妊治療にも向き合うことができていませんでした。パートナーの支えがあり、何とか奮起し通院を再開した、そのクリニックで不妊ピア・カウンセラーのパンフレットを見たのです。それは一筋の光に出会ったような感覚でした。流産後、とてもつらくて苦しい1年を過ごしてきたけれど、この気持ちを聴いてくれる専門家がいるのだ、と驚いたのです。そして、私自身の経験が誰かの役に立つ時が来るのかもしれない、と希望を持ったのです。

不妊ピア・カウンセラーとは

不妊当事者である私は「不妊」を経験することで様々な苦痛を感じてきました。

  • 子どもを望んでも授からない現実
  • 『当たり前』や『自然な』妊娠が困難であったこと
  • 期待と落胆を1か月の生理周期の中で繰り返す
  • 人生の計画そのものがくるってしまう苦しさ など

これらは不妊を経験した人でないと想像したり理解したりすることが難しいのです。経験した者同士「そうそう!」「わかるよ」と頷きあえることが確かにある。1から説明しなくても通じている、という感覚があり「自分は一人ではなかったのだ」、と気づくことができる。不妊ピア・カウンセリングにはそんな効果があるといえます。
ただ、気を付けなければならないのが

  • 本当に全く同じ経験をしているわけではない
  • 逆に不妊体験は人によって全く違うと言っていい

ということ。
すべてを理解することは難しい、それでも「不妊を経験したこと」による苦しみは了解可能であると信じ、この活動を続けています。活動を通じて、とてもたくさんの方に「私も不妊ピア・カウンセラーに興味があります」とお声がけいただきます。前述のとおり、ピア・カウンセリングには相互性(援助者治療原理)があり、援助者になること、つまりピア・カウンセラーになることそのものが治療的効果を持つと言われています。私自身、養成講座や認定後の活動を通じて、自分自身の不妊体験を振り返り、俯瞰し、感情を観察しなおすことで、つらく、苦しい不妊経験を消化・昇華させることができつつあると感じます。いまだに「自然妊娠へのあこがれ」があり、誰かの妊娠報告には胸がチクッと痛むときもありますが、その感情さえも俯瞰できるようになり、苦しさからは解放されてきたなと思っています。

おわりに

いかがでしたか?
本コラムでは「不妊ピア・カウンセラー」についてご紹介させていただきました。

「カウンセリング」というとハードルが高いように感じるかもしれません。でも実はそんなことは全くなく、いま、妊活・不妊に向き合う方々の「仲間」として、どんなことでもお話聴かせていただきたいと思っています。相談内容がまとまっていなくても、大丈夫です。いつでもご相談、お待ちしています。

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