おもちゃやベビーベッド、ベビーカーなど、子ども用の製品を選ぶとき、パッケージや製品本体に小さなマークが付いているのを見たことはありませんか?
実は、これらのマークにはそれぞれ意味があり、安全性に関する一定の基準を満たしていることを示すものがあります。
今回は、子どもが使う製品を選ぶときに知っておきたい、代表的な「PSCマーク」「子供PSCマーク」「SGマーク」「STマーク」についてご紹介します。
なぜ「安全マーク」を知っておくことが大切なの?
子どもの事故を防ぐために大切なのは、単に「安全そうな製品」を選ぶことだけではありません。
子どもは、大人が思っている以上に予想外の行動をすることがあります。
たとえば、気になるものを口に入れてみたり、引っ張ってみたり、上に乗ってみたり。大人にとっては「そんな使い方をするの?」と思うような行動も、子どもにとっては、身の回りのものを知るための自然な行動のひとつです。
また、子どもの成長に伴って、できることや行動範囲もどんどん変化します。
そのため、子どもの事故を未然に防ぐためには、製品に表示されている安全マークの意味を知っておくことも、製品選びの大切なポイントになります。
そして、同じ製品でも、子どもの年齢や発達段階によって注意したいポイントは変わります。
年齢によって変わる「子どもの危険」
0~1歳ごろ
● 身の回りのものを口に入れる
● 小さな部品などによる誤飲・窒息に注意が必要
● ベビーベッドやベビーカーなどからの転落に注意する
など、子どもの発達に合わせた安全への配慮が必要です。
そして、歩けるようになると、子どもの行動範囲は一気に広がります。
1~3歳ごろ
● 自分で歩いて、さまざまな場所へ移動する
● 気になるものを引っ張ったり、登ったりする
● 小さなものを拾って口に入れることがある
など、乳児期とは異なる危険が出てきます。
さらに幼児期になると、自分でできることが増え、自転車やキックバイク、遊具など、より活動的な製品を使う機会も増えていきます。
一方で、「自分でできる」ことが増えたからこそ、子どもだけで使おうとしたり、本来とは異なる使い方をしたりすることもあります。
そのため、製品を選ぶときには、「何歳向けの商品か」という対象年齢だけでなく、「今のわが子の発達や使い方に合っているか」という視点も大切です。
そこで知っておきたいのが「安全マーク」
子ども向けの製品には、安全性について一定の基準が設けられ、その基準への適合を示すマークが表示されているものがあります。
代表的なものが、「PSCマーク」「子供PSCマーク」「SGマーク」「STマーク」です。
これらはすべて同じ意味のマークではありません。それぞれ対象となる製品や、安全性を確認する仕組みが異なります。
1.PSCマーク

(引用:消費者庁.Vol.567 子どもが使用する製品に付いているマークの意味.)
「PSC」は、Product Safety of Consumer Products(消費生活用製品の安全)を表す略称です。
消費生活用製品安全法に基づき、消費者の生命・身体に特に危害を及ぼすおそれが多い製品を「特定製品」として指定し、国が定めた安全基準への適合など、法律で定められた義務を満たした製品に表示されます。
子どもに関係する製品では、これまで乳幼児用ベッドなどが対象となっていました。
PSCマークの対象となっている製品は、マークが付いていないものを販売することができません。
「安全性について国のルールが定められている製品なんだ」と知っておくと、製品選びのときにも役立ちます。
なお、2025年12月25日からは、乳幼児用ベッドが「子供用特定製品」に指定され、従来のPSCマークから「子供PSCマーク」へ制度が変更されています。
2.子供PSCマーク

(引用:経済産業省.子ども用製品の安全対策(PSCマーク))
そして、今、子育て中の方に特に知っておいていただきたいのが、「子供PSCマーク」です。
2025年12月25日から、乳幼児が使用する製品の安全を確保するため、「子供用特定製品」の制度が始まりました。
現在、対象となっているのは、
● 乳幼児用ベッド(ベビーベッド)
● 乳幼児用玩具(3歳未満向けのおもちゃ)
● 乳幼児用ベッドガード
● ベビーカー
の4つです。
このうち、乳幼児用ベッドと乳幼児用玩具については2025年12月25日から、乳幼児用ベッドガードとベビーカーについては2026年7月8日から対象となりました。
子供用特定製品には、安全基準への適合に加えて、対象年齢や使用上の注意事項などの表示が求められています。
子供PSCマークには、乳幼児用ベッドに表示されるひし形のマークと、乳幼児用玩具・ベッドガード・ベビーカーに表示される丸形のマークがあります。
なお、乳幼児用玩具については、2025年12月25日より前に製造・輸入された製品は、子供PSCマークがなくても販売できる経過措置があります。そのため、マークがないからといって、必ずしも安全基準を満たしていない製品というわけではありません。古いおもちゃを購入する場合は、対象年齢や使用上の注意の表示を確認し、STマークが付いているかを確認することも参考になります。
また、ベッドガードとベビーカーについても一定の移行期間が設けられており、ベッドガードは2027年7月7日まで、ベビーカーは2028年7月7日まで、子供PSCマークのない製品が販売される場合があります。
3.SGマーク

(引用:消費者庁.Vol.567 子どもが使用する製品に付いているマークの意味.)
「SG」は、Safe Goods(安全な製品)を表し、一般財団法人製品安全協会が定めた安全基準に適合した製品に表示されるマークです。
子ども向けの製品では、ベビーカー、すべり台、乳幼児用ベッド、抱っこひも、幼児用ベッドガードなどがあります。
また、SGマークが付いた製品について、製品の欠陥が原因で人身事故が起きた場合の賠償制度も設けられています。
4.STマーク

(引用:消費者庁.Vol.567 子どもが使用する製品に付いているマークの意味.)
「ST」は、Safety Toy(安全な玩具)の略です。
日本玩具協会は1971年に玩具安全基準(ST基準)を策定し、STマーク制度をスタートさせました。STマークは、第三者検査機関によるST基準適合検査に合格したおもちゃに表示できるマークです。
ST基準では、
● 機械的安全性
● 可燃安全性
● 化学的安全性
の3つの観点から検査が行われます。
たとえば、機械的安全性では、誤飲につながるような小さな部品がないか、形状や強度が適切かなどが確認されます。
特に、3歳未満の子どもが誤って飲み込んでしまうおそれのある小さな部品や小さな球についても、基準に基づいて確認されています。
STマークは、「安全面について注意深く作られたおもちゃ」として、玩具業界が推奨しているものです。
また、STマーク制度では、万一の事故に備えた賠償責任保険の仕組みも設けられています。
なお、ST基準の適用範囲は、原則として14歳未満の子どもの遊び用に設計された玩具です。
マークがあれば「絶対に安全」なの?
ここで大切なのは、安全マークだけを見て判断しないことです。
消費者庁も、子どもが使う製品を購入するときには、マークの意味を知るだけでなく、子どもの月齢・年齢に合っているか、取扱説明書や使用上の注意を確認することをすすめています。
特に子どもは、成長によってできることや興味を持つものが大きく変わります。
「同じおもちゃでも、今の年齢のわが子に合っているかな?」
「小さな部品が外れたりしないかな?」
「正しい使い方ができているかな?」
という視点も大切です。
製品を使うときに確認したいポイント
① おもちゃ
● 対象年齢・使用上の注意を確認する
● 3歳未満の子どもが使う場合は、小さな部品や小さな球があるおもちゃに特に注意する
● きょうだいがいる場合、上の子のおもちゃを下の子が誤って触らないよう、置き場所にも注意する
② ベビーベッド
● マットレスや敷き布団とベッドの枠の間に隙間ができないようにする
● 床板の高さを調節できるタイプは、子どもがつかまり立ちをするようになったら床板を下げる
赤ちゃんの成長によって、同じ製品でも安全な状態は変わります。
③ 乳幼児用ベッドガード
● 生後18か月未満には使用しない
● マットレスとベッドガードの間に隙間ができないように設置する
乳幼児用ベッドガードは、ベッドからの転落を防ぐための製品ですが、使用方法によってはベッドガードとマットレスの間に子どもが挟まる事故につながるおそれがあります。正しい使い方を確認しましょう。
④ ベビーカー
● 使用時はシートベルトをしっかり締める
● 開閉時は、子どもがそばにいないことを確認する
● 子どもを乗せたままベビーカーから離れない
ベビーカーは、乗せている間だけでなく、開閉時や移動時にも注意が必要です。
「マークを確認する」ことを習慣に
子どもの安全を守るために、保護者がすべての危険を予測することは簡単ではありません。
だからこそ、製品を選ぶときには、
① 安全マークを確認する
② 対象年齢・月齢を確認する
③ 使用上の注意を読む
④ 子どもの成長や発達に合っているか考える
という習慣をつけておくことが大切です。
安全マークは、子どもを危険から完全に守ってくれるものではありません。
でも、そのマークは、「安全性について一定の基準を満たしている製品を選ぶためのひとつの目印」になります。
おもちゃやベビー用品を選ぶとき、ぜひパッケージや製品についているマークにも目を向けてみてくださいね。
参考文献
- 経済産業省.子ども用製品の安全対策(PSCマーク). https://www.gov-online.go.jp/article/202508/entry-8739.html
- 一般社団法人日本玩具協会.玩具安全事業(STマーク).https://www.toys.or.jp/jigyou_st_top.html
- 政府広報オンライン.子供の製品事故を防ぐために知っておきたい安全マーク.https://www.gov-online.go.jp/article/202508/entry-8747.html
- 消費者庁.Vol.567 子どもが使用する製品に付いているマークの意味.https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_001/mail/20211008/
- こども家庭庁.こどもの事故防止ハンドブックについて.令和8年3月版.https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety-actions/handbook
- 政府広報オンライン.子供の製品事故を防ぐために知っておきたい安全マーク.https://www.gov-online.go.jp/article/202508/entry-8739.html









