以前、処方せんなしで避妊薬が薬局で買えるようになるというニュースが話題になりましたね。特に女性は気になるテーマなのではないでしょうか。
2023年の11月から、全国の一部薬局にて緊急避妊薬(アフターピル)の試験販売が開始されています。
ただ、実際にいざ必要になった時に「結局どこに行けばお薬がもらえるの?」「家の薬局やドラッグストアに行けばもらえるのかな?」など、とっさの判断に迷ってしまう方もいるかもしれません。
今回は、そんな緊急避妊薬の疑問や注意点についてお話していきますね。
また、緊急避妊薬とは別に昨年販売開始された「経口中絶薬」というお薬もあります。こちらとの違いについてもあわせてご紹介します。
緊急避妊薬(アフターピル)とは
緊急避妊薬は通称アフターピル、緊急避妊ピルともいいますが、避妊の失敗や性被害にあった場合に妊娠を防ぐことを目的としたお薬です。
性交からできるだけ早くに飲むことが効果的とされています。お薬に含まれる黄体ホルモン(プロゲステロン)によって主に排卵を遅らせることで妊娠の成立を防ぎます。
緊急避妊薬はあくまで緊急用であり、飲んだ後の避妊効果が長く続かないので普段の避妊方法には不向きとなります。
日本で認可を受けて使用できる緊急避妊薬は、「ノルレボ」「レボノルゲストレル(ノルレボのジェネリック医薬品)」の2種類です。
価格は6000円~2万円ほどですが、保険適用外の自由診療となるため医療機関によって価格が異なります。
飲むタイミングは?
性交から72時間(3日)以内に飲みます。
服用後24時間以内なら99%、48時間以内なら98%、72時間以内なら97%の避妊率とされています。
このデータからもわかるように、避妊効果が高めるために早い段階で飲むことが重要です。
どこに行けばもらえるの?
前提として知っていただきたいことですが、お薬の入手には医療機関で発行される処方せんが必要です。冒頭でお話しした一部薬局での購入については、あくまで現状は国の試験調査研究としての取り組みであり、調査にご協力できる方のみの販売となります。また、対象の薬局は限られており、お近くの薬局・ドラッグストアで必ず購入できるわけではないのでご注意くださいね。
※対象薬局など、詳細は「緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業サイト」をご参考ください。
https://www.pharmacy-ec-trial.jp/
入手方法として以下の3パターンです。
対面診療 | ①産婦人科及び必要な研修を受けた医師の診察を受ける ②発行された処方せんを薬局に持参しお薬を受け取る |
オンライン診療 | ①産婦人科及び必要な研修を受けた医師に診察を受ける ②発行された処方せんを薬局に持参する ③薬局において、必要な研修を受けた薬剤師との対面でお薬を服用 ④薬局から処方医へ、服用したことを情報提供 |
一部薬局で購入 ※国の調査研究事業 | ①国の調査研究内容について理解した上で、対象薬局へ事前相談 ②薬局で薬剤師との面談・説明を受け、服用に同意した上でお薬を購入する ③薬剤師との対面でお薬を服用 ④調査アンケートへの回答 |
緊急避妊薬は高い避妊効果がありますが100%妊娠を防げるという保証はありません。
いずれの入手方法においても妊娠の可能性や体調確認のため、服用から3週間後に産婦人科への受診が推奨されています。
副作用は?
一時的に不正出血、頭痛、吐き気などが起こることがあります。
経口中絶薬とは
一方、経口中絶薬は2023年に承認された人工妊娠中絶のお薬です。現在「メフィーゴパック」という2種類のお薬(ミフェプリストン、ミソプロストール)が入ったパック製剤が流通しています。
経口中絶薬も保険適用外の自由診療となります。
お薬そのものは平均780円とされており、比較的安価です。ただ、投与後の経過観察として、入院費用が数万~数十万に達する可能性があります。
飲むタイミングは?
経口中絶薬は妊娠が成立した後に、人工中絶をするために飲むお薬です。ここがまず緊急避妊薬との大きな違いです。また、経口中絶薬は妊娠9週0日までが服用の対象となっています。それ以降の時期の中絶については服用ができず、外科的手術での中絶が検討されます。
投与方法としては、まず初めに「ミフェプリストン」というお薬を飲んで、妊娠継続をするためのホルモン(プロゲステロン)の働きを抑えて妊娠の進行を止めます。
そして36時間~48時間後にもう1種類の「ミソプロストール」を飲むことで子宮の収縮を促し、子宮の内容物を排出します。「ミソプロストール」はゆっくり吸収させる必要があるので、すぐに飲み込まず、左右の奥歯の歯茎と頬の間に2錠ずつ入れて30分間かけて口の中で溶かします。
このお薬は販売開始からまだ年数が浅く、適切な使用体制のあり方が確立されるまでの当分の間は「ミソプロストール」の投与後、入院又は外来であっても胎嚢が排出されるまで院内待機が必須とされています。
どこに行けばもらえるの?
経口中絶薬は厳格な管理が求められており、母体保護法指定医師が所属する医療機関に実際に来院し、医師の確認のもとに投与されます。オンライン診療では処方を受けることができません。また、必ず指定医師のもとで使用するお薬であることから、薬局やインターネットなどで個人購入はできません。厚生労働省からはインターネットや個人輸入による入手はしないよう注意喚起がされています。
必要となった場合は、まずは必ず医療機関に相談するようにしましょう。
※中絶薬の相談ができる病院・クリニックの検索
https://www.linepharma.co.jp/search_u.php
副作用は?
多くの場合、下腹部痛・子宮出血が起こり、一定期間は、通常少量の出血は持続します。まれにですが、出血量が非常に多くなることがあります。目安として夜用の生理用ナプキンを1時間に2回以上交換するような出血が2時間以上続く場合は、速やかに処方された医療機関に相談することとされています。
緊急避妊薬(アフターピル)と経口中絶薬の違いは?
それぞれについてまとめました。
緊急避妊薬 | 経口中絶薬 | |
入手方法 | 医療機関への来院・オンライン診療どちらも可 | 医療機関への来院のみ オンライン診療不可 |
飲むタイミング | 妊娠成立前、避妊に失敗した時 ※性交から72時間以内 | 妊娠成立後、中絶を選択する場合 ※妊娠9週0日まで |
保険適応 | 保険適応外 | 保険適応外 |
副作用 | 一時的に不正出血、頭痛、吐き気 | 下腹部痛・子宮出血 |
主な違いは入手方法・飲むタイミングであることが分かります。
さいごに
避妊や中絶は非常にデリケートな問題です。置かれた状況によっては女性が一人で悩み問題を抱え込んでしまうケースもあります。また、妊娠の可能性がある方はどなたでも関係があることだと思います。
いざという時・困ったときにどうしたらいいか、知識として頭に入れていくことも大切ですね。
[参考]
厚生労働省ホームページ
・緊急避妊に係る取組について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000186912_00002.html?fbclid=IwAR1EwDajDEBq4VXwmPiAGCqBnsYDsbTnRMe2GQ5hgQ8WoU3tSieiwKVbUwI
・いわゆる経口中絶薬「メフィーゴパック」の適正使用等について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/topics/infertility_treatment_00001.html
メフィーゴ®パックについて
https://www.linepharma.co.jp/intro2.php