子どもの受診ガイド

「子どもの様子がいつもと少し違うな」と不安になった経験はありませんか。それが夜間や休日だった場合、緊急で受診をすべきなのか、翌日の日中まで経過観察して良いのか、また何科を受診すべきなのか、判断に悩むことも多いと思います。今回は、子どもに多いトラブルやその対処法についてまとめていきます。

救急車 (119番) をすぐに呼ぶべき症状

体の部位別

  • 頭:頭を痛がっている。嘔吐がある。
  • 顔:顔色が明らかに悪く、唇の色が紫色になっている。
  • 胸:激しい咳やゼーゼーという呼吸音がある。逆に呼吸音が聞こえにくい、弱い(窒息している可能性がある)。
  • お腹:激しい下痢、嘔吐で水分が取れない。激しい腹痛で苦しがっている。
  • 皮膚:真っ赤になるような皮疹が全身に出ている。

事例別

  • けいれん:5分以上けいれんが止まらない。
  • 頭からの出血:ガーゼやタオルで圧迫止血しても出血が止まらない。
  • 誤飲、のどに詰まらせた:呼吸音が異常である。意識がない。たばこや電池などの誤飲をした。
  • やけど:広範囲(子供の手のひらのサイズ以上)にやけどをした。
  • 事故:交通事故にあった。水でおぼれた。1m 以上の高さから落ちて頭をぶつけた。

生後3か月未満の乳児は、少しでも様子がおかしい場合はすぐに救急車を要請してください。また、上記以外でも、明らかにいつもと様子が違い、緊急度が高いと判断した時は、迷わず救急車を要請しましょう。

子どもに多い症状と対処法

発熱

子どもの発熱の多くは、ウイルス性感染症です。ウイルス性感染症は抗菌薬が効かないため、対症療法(水分補給や解熱剤など)で様子を見ていきます。ただし、生後3か月未満の場合や、発熱が1週間以上継続している場合は、自宅での経過観察ではなく、受診をおすすめします。

発熱時は、安静、クーリング(首、脇の下、足の付け根などの太い血管の通っている場所を冷やす)、水分補給、こまめな着替えを心がけましょう。ただし、冷却シートは窒息・誤飲の危険性があるため、注意が必要です。

一般的に、昼間よりも夜間に咳がひどくなることが多いです。これは、副交感神経が優位になること、体温と室温の差、鼻水や痰がのどに垂れ込んでしまうことなどが関係しています。咳がでるときは、安静、加湿、水分摂取、上半身を少し起こした姿勢(咳や痰を出しやすくするため)、就寝30分前にハチミツを摂取(1歳未満はボツリヌス感染の危険があるためハチミツは使用しない)、寝室の換気と掃除が有効です。

嘔吐、下痢

嘔吐や下痢が続く場合、一番気をつけなければいけないのは脱水症です。一度にたくさん飲んでしまうと嘔吐を誘発してしまいますので、少しずつこまめに経口補水液を摂るようにしましょう。食事は無理に食べなくても問題ありません。症状が落ち着いてから、消化のよいおかゆなどから少しずつ始めましょう。小さな子どもの場合、食後横になってしまうと嘔吐し窒息する危険があります。必ず横向きに寝かせましょう。また、排泄物で汚染された衣類や壁・床、トイレなどは、周囲への二次感染を防ぐために、すぐ塩素系漂白剤で清掃しましょう。

3. 救急相談窓口

子ども医療電話相談 #8000 

休日・夜間に判断に迷った時に小児科医や看護師に電話相談ができます。地域により実施時間帯が異なりますので、事前に確認しておきましょう。

救急安心事業センター #7119

救急車を呼ぶべきか、受診をすべきか迷った時に、専門家に電話相談ができます。(大人も子どもも利用可) 実施地域が限られるため、事前に確認しておきましょう。

全国版救急受診Webサイト・アプリ「Q助」

症状を選択していくと、緊急度に応じて必要な対応が表示されるため、119番をすべきかどうかや緊急度の判断に有用です。また、医療機関や受診手段についても検索することができます。

こどもの救急

夜間や休日などの診療時間外に病院を受診するかどうか、判断の目安を提供している、日本小児科学会が運営するホームページです。

小児科と他科の違い

小児科で対応するのは、体のトラブルだけでなく、こころ・生活習慣・学習・発達・性など多岐に渡ります。このため、継続して子どもの成長歴を把握している「かかりつけの小児科医」を持つことが望ましいです。

小児科というと、一般的には中学生までの印象が強いのではないかと思います。実際、以前は「中学生まで(15歳)」が小児科の対象年齢でしたが、10年以上前に日本小児科学会により、「成人するまで」への引き上げが提言されています。以前より継続して治療や経過観察をしている疾患や症状がある場合などは、15歳以降もかかりつけの小児科でフォローをしてもらうとよいでしょう。

また症状が限局している場合は、該当科を直接受診しても問題はありません。例えば、外傷や骨折などの場合は、外科や整形外科を受診する必要があります。しかし、子供の病気は成長段階に応じた対応が必要であること、また小児特有の疾患もあることから、小児科医に相談することが理想と言えます。小児科医の診察を受けた結果、専門医の診察が必要と判断された場合は専門医を紹介されるため、迷ったらまずは小児科を受診するという考え方でも問題ありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。上記のポイントを頭に、皆さんが正しい知識を持って、子どもに必要な医療の選択できますと幸いです。

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