薬剤師が解説!ED治療薬

先日お薬が原因のEDについてのコラムをアップさせていただきましたが、今回はED治療薬についてコラムです!

ED治療薬の種類

日本ではシルデナフィル(商品名:バイアグラ)、バルデナフィル(商品名:レビトラ)、タダラフィ(商品名:シアリス)の3剤が厚生労働省より販売の許可を受けています。逆を言えば海外などではこの3剤以外にもED治療薬は承認を受け販売されていますが、この3剤以外については国内の安全基準を満たしていないため個人輸入をした場合など偽物である可能性や衛生上のリスクなどがあるため注意が必要ということです。

シルデナフィル(商品名:バイアグラ)は世界的にもっとも有名なED治療薬で、国内でも1999年から発売開始されており治療実績は一番です。内服後30~60分で効果を発揮し、副作用として頭痛・ほてり・視覚異常などの報告はありますが重篤なものはありません。

バルデナフィル(商品名:レビトラ)は国内では2004年から発売開始され、内服後30分で効果を発揮するという「即効性」や食事の影響を受けにくくしっかり効くという点から人気があります。副作用としてほてり・頭痛・鼻炎などが報告されていますが重篤なものはありません。また難治性EDに対しても効果を示しやすいという報告があるのがこのバルデナフィルです(現在先発品については販売中止となっています)。

タダラフィル(商品名:シアリス)は国内において2007年から発売しており、内服してから36時間という「長時間」作用し食事の影響を最も受けないことが特徴で、現在世界シェアNo.1のED治療薬となっています。タダラフィルに特徴的な副作用は背部痛で、そのほかに頭痛・ほてり・消化不良などが報告されているものの、ほとんどが軽度~中等度の症状でした。

ED治療薬の注意点

副作用

ED治療薬を服用すると、頭痛・ほてり・消化不良などの症状がおこる場合があるもののこれらは軽度で一過性とされています。一方で重篤かつ不可逆性の副作用についても報告があるため、注意が必要です。

  • NAION(非動脈炎性前部虚血性視神経症):
    突然の無痛性視野欠損(多くは片側)を症状とする原因不明の視神経症です。
  • 突発性難聴:
    報告数は多くはないものの、海外においてED治療薬服用24時間後以内に突発性難聴を発生しており、またそのうちめまいと併発している報告もあるとのことです。日本国内ではED治療薬服用後の突発性難聴の報告はありませんが、もし服用後に聴覚以上がある場合は耳鼻科を受診しましょう。
  • 持続勃起症:
    極めて稀ではあるものの、服用後4時間以上勃起が持続する場合はすぐに治療する必要があります。

併用禁忌・注意薬

国内で販売許可を受けている3剤に共通して狭心症など心臓に疾患がある人が服用する「硝酸剤」との併用が禁忌となっています。またそれ以外にも、シルデナフィル服用中の方はアミオダロン製剤を併用すると血圧が過度に低下するため禁忌、バルデナフィル服用中の方は抗ウイルス薬(HIV治療薬)・抗真菌薬・抗不整脈薬についてお薬の効果が強く出すぎてしまうことや心臓の動きに異常をきたす可能性があるため禁忌となっています。

その他にもED治療薬については併用に注意が必要な薬が複数あります。3剤すべてに共通してCYP3A4阻害薬(抗てんかん薬や抗生物質)やグレープフルーツなどを併用した場合、お薬が効きすぎてしまう可能性があるため注意が必要です。また腎機能や肝機能に問題がある場合も、身体に負担をかけないためにお薬の量が少ないものから使用することが推奨されているため、必ず主治医の先生と相談してから服用を始めるようにしましょう。

同様に、食事についても注意が必要です。
シルデナフィルは食事の影響を受けやすく、空腹時の服用が望ましいとされています。実際どの程度効果に違いが出るのか調べた調査によると、空腹時と食後では発現時間に2倍以上の差が出ること、また薬の体内濃度についても約1.7倍差が出ることから、効果を強く感じることができるということが言えます。
バルデナフィルは食事の影響を受けにくいものの、食事中に脂肪分が多く含まれている場合、お薬の効果が弱まってしまうという報告があるため、目安として脂肪分は食事全体の約30%未満に抑えるようにしましょう。
タダラフィルは3剤の中では一番食事の影響を受けにくいとされています。製薬会社によると約800kcalまでの食事であれば食後でも影響をほぼ受けないとのことですが、空腹時に服用した方がより高い効果が見込めますので効果を重視したい場合は食後2時間あけるとよいでしょう。

結局どれが一番効くの?

日本で販売されている3剤について、どの薬も有効かつ安全で、1つの薬がほかの薬より優れ、副作用が少ないという報告やエビデンスはありません。薬の効果持続時間や、お薬を服用する人のライフスタイル・体調などに合わせて主治医と相談の上、薬を選択してみてくださいね。

ED治療薬が無効もしくは禁忌の場合は?

ここまで紹介してきた3種類のお薬はED治療法としてまず1番目に選択される方法ではあるものの、ED治療薬を服用してもあまり治療効果がみられない人が約30%いるということも分かっています。ED治療薬はネットサイトで手軽に購入できますが、医師処方なしのED治療薬販売サイトの場合約25~75%が偽物であったということです。実際偽造ED治療薬には分析の結果からED治療薬の成分が含まれないもの、塗料や印刷用インクなどの不純物が含まれるもの、健康被害をもたらす薬物が含まれるものなども報告されており、注意が必要です。

またシルデナフィルについては食後2時間以降、バルデナフィルについては食後30分以降に服用することでしっかり効果が得られるため、もしED治療薬を服用してもあまり効果が実感できていない場合まずは服用タイミングを確認してみるとよいかもしれません。それでもどうしても改善しない場合はお薬を服用する以外の方法もありますので、主治医の先生に相談してみてくださいね。

まとめ

EDはデリケートな問題で病院受診のハードルが高いと感じるかもしれません。
ただ自己判断で購入した薬が偽物だった場合、体調を改善しようとした薬のせいで体調が悪くなってしまう可能性があります。ED治療薬の服用など適切な対策をすれば性生活の質も向上しますので、「自分はEDかもしれない…」と思ったらまずは泌尿器科やEDに対応しているオンラインクリニックなど、医師に相談するようにしましょう。

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