手足口病について

主に夏に流行し、保育園や幼稚園などにお子さんが通っていると心配な感染症のひとつに手足口病があるのではないでしょうか。今夏も大流行していますね。

手足口病という名前、一度耳にしたら忘れられないですよね。インパクトの強い名前なのですが、初めて聞いた時私はどんな病気なのかまったく想像がつきませんでした。大流行の手足口病、子どもだけではなく大人もかかることがあります。

改めて手足口病について知ってみましょう。

手足口病とは

手足口病は名前の通り手や足、口の中を中心に出てくる2~3ミリの水疱性の発疹を主な症状とする感染症です。発熱はみられなかったり軽度のことが多いですが、39度を超える高熱がでることもあります。風邪と同じように発熱した場合は3日ほどで下がり、発疹も3~7日ほどで消失します。5歳未満の子どもで発症しやすく、夏に流行する3大夏風邪(手足口病、ヘルパンギーナ、プール熱)のひとつですが、秋冬にも多少の発生がみられます。
まれに大人も感染することがあります。
因みに英語名はHand,foot and mouth dieseaseと表記します。英語でもそのままなのですね。

手足口病の原因と感染経路

コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどのウイルスです。原因となるウイルスが複数あるため、一度感染してもまた感染する可能性があります。

感染力が強く、感染経路は主に咳やくしゃみなどによる飛沫感染、ウイルスのついた手すりやおもちゃなどから手を介して体内に取り込んでしまう接触感染、ウイルスを口など粘膜から取り入れてしまうことで感染する経口感染があります。

症状

前述のように主症状は水疱性の発疹です。発疹は手のひら、足のうら、口の中に多くできますが、おしりやひざ、くびなどにできることもあります。手足の発疹は乳児の場合痛みやかゆみがない場合が多いですが、口の中にできると痛みで食事が摂れないことがあります。ほとんどの場合3~7日で症状がなくなります。発熱するのは感染者の3分の1ほどと言われています。発疹や発熱の症状がなくなった後も、便や唾液などの飛沫にウィルスが排出されるため2~4週間は感染源になることがあります。

発疹が身体ではなく口腔内にまずできた場合手足口病に気付きにくく、食欲がない、機嫌が悪いので保育園を休ませると発熱しはじめ、受診すると手足口病だったということもあります。機嫌が悪いはこどもの大切なサインですので無理しないようにしましょう。

潜伏期間

潜伏期間は3~5日でその後、水疱性の発疹が現れます。潜伏期間でも感染力はあり、一番感染力が強い期間は症状がでた最初の週といわれています。

予防方法は?

予防のためのワクチンはないため、日ごろからこまめな手洗いや手指消毒を心がけることが大切です。発症した場合に有効な治療法はありませんが、ほとんどの人は3日~7日の自然経過で症状が軽快します。まれに髄膜炎や脳炎、心筋炎などを起こすことがありますので感染時は注意深く子どもをみておきましょう。嘔吐するほど頭を痛がったり、視線が合わない、呼びかけにこたえない、水分が取れずにおしっこが出ていないなどの症状があった場合はすみやかに医療機関を受診しましょう。

感染時のお家でのケア

特効薬はなく対症療法になるので水分、栄養を摂り安静にしましょう。
口腔内の水疱のために食欲がない場合はゼリーやアイス、プリン、豆腐、汁物など軟らかく薄味で水分がとれるものを食べましょう。酸味・塩味はしみるので控えた方がいいです。

手足口病と保育園

保育園は子ども同士の距離が近く生活環境が密着しており、また原因のウィルスに感染したことのない子どもが多いため、手足口病に限らずどうしても感染が広がりやすい環境になっています。

子どもが手足口病に感染した場合保育園にはいつから登園してもいいのか気になるところですよね。手足口病はインフルエンザなどのように解熱後〇〇日というように登園停止期間が決まっていません。子ども家庭庁は「保育所における感染症対策ガイドライン(2018改訂版)」のなかで「登園のめやすは、『発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること』である。感染拡大を防止するために登園を控えることは有効性が低く、またウイルス排出期間が長いことからも現実的ではない。」と示しています。

発疹の有無にかかわらず、熱が下がり食欲が回復し全身状態が回復していれば登園は可能と考えられます。逆に、熱が下がっても食欲が回復しない場合、下痢がある場合、発疹をひっかいている場合等は感染拡大防止の面からも登園は控えましょう。

保育園に再登園時、医師による登園許可証が求められている保育園が多く独自の基準があることもありますので、わからないときは保育園に確認してみましょう。

また、手足口病がわかった場合は保育園に「発熱でお休みします」だけではなく「手足口病でやすむ」と早めに伝えてあげましょう。その情報が他の園児の手足口病の早期発見につながるとともに、感染対策の再強化へ繋がります。集団生活をする場所なのでお互いの情報共有や少しの配慮が感染拡大を日広げないことにつながります。

感染しないためには?

手洗いなど日常的にしている一般的な予防法です。手足口病の主な原因ウイルスとなるコクサッキーウイルスやエンテロウイルスはアルコール消毒にも熱にも強いです。石鹸を使用し流水で手洗いをすることがまず重要な感染対策になります。

感染した場合は、回復後も飛沫や鼻汁からは1~2週間、便からは数週~数か月ほどウイルスが排出されるため、食事前やお手洗い後の手洗いはもちろん、おむつ等の排便処理時は手袋を使用しましょう。よだれからもウイルスは排出されるので食事介助を行った場合はすぐに手洗いをするよう心掛けてください。

手足口病に限らず、どんなに感染対策に注意していても感染が広がることはあります。とくに保育園等で集団生活をするうえで感染症は避けられないものだと思います。

感染は明らかに症状が出ている子どもだけではなく症状が出ていないまま子どもから子どもに、あるいは大人が子どもからもらい他に広げている可能性もあります。誰でもかかる感染症です。犯人捜しをするのはやめましょう。

はじめに手足口病は大人もかかることがあると言いましたが、大人が感染した場合子どもより発疹などの症状が強く現れ重症化しやすいです。手足の発疹は子どもの場合、痛みやかゆみがない場合が多いですが、これが大人になるとかゆみや痛みが強くなることが多く、関節痛や悪寒などもみられなかなかしんどいのです。大人の手足口病は、ほとんどが家庭内で子どもからの感染になるため、お子さんが手足口病になった場合は、手洗いうがい、手指消毒を家族全員ていねいに行い、食器やタオル等の共用をさけるとともに、十分な睡眠と食事をとり、体力が落ちないように気をつけながら看病してください。

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