
はじめに
近年、夏の気温は上昇しており、夏場のお出かけは熱中症対策が欠かせません。
特に、家族連れで外出する機会の多い夏は、大人はもちろんのこと、子どもの熱中症対策にもしっかりと目を向ける必要があります。
本コラムでは、ベビーカーでのお出かけ時の注意点と、子どもの熱中症予防について分かりやすくまとめていきます。
“照り返し”に要注意
熱中症になりやすい条件のひとつに「照り返し」があります。照り返しとは、地面や建物などに吸収された日光の熱が周囲に跳ね返るものです。
私たちは意識しなくとも、アスファルトやビルからの照り返しによる熱を常に浴びている状況にあり、特にベビーカーに乗る子どもは地面に近い位置にいるため、大人以上に影響を受けやすいです。
この照り返しによって、地面に近いベビーカー内の温度は、大人が感じている温度より3~5度も高いといわれており、熱中症リスクは大人以上です。
そのため、ベビーカーでのお出かけでは熱中症により注意していく必要があります。
子どもは熱中症になりやすい
子どもが大人よりも熱中症になりやすいのには、以下のような理由があります。
①体温調節機能が未発達
汗をかく機能が未熟で、大人と比べると暑さを感じてから汗をかくまでに時間がかかり、体温を下げるのにも時間がかかってしまうため、体に熱がこもりやすく体温が上昇しやすくなってしまいます。
②外気温の影響を受けやすい
子どもは体重に比べて体表面積が広い分、外気温の影響などを受けやすく、さらに身長が低い為、地面からの照り返しの影響を強く受けます。
③自分自身で予防できない
子どもは屋外で遊んでいる間は夢中になってしまい、身体に異変が起きていても気づかないことがあります。
そして自分で自らの体調の変化を伝えたり、自ら水分補給や服装を変えるなどの暑さ調節がうまくできないこともあるため、熱中症になってしまうことがあります。
ベビーカーでのお出かけ対策は?
ベビーカーでお出かけするときの対策法を知っておくことで熱中症予防になるので、ぜひポイントを押さえていてくださいね。
①日陰を歩く
できるだけ日陰を歩くようにしましょう。地面からの照り返しの影響が低くなるので、子どもが感じる暑さが軽減します。
②外出時間を検討する
午前10時〜午後3時は気温が最も高くなる時間帯です。できるだけこの時間帯を避けて外出するようにしましょう。
③暑さ対策をする
保冷剤や日除けの使用、メッシュタイプのベビーカーの利用などの暑さ対策も有効です。
近年、ベビーカー用の暑さ対策グッズが多く販売されていますので、ライフスタイルに合わせて選んでみましょう。
④こまめに水分補給をする
外出中は水分補給のタイミングを見失いがちですが、定期的に立ち止まり、水分を与えることが大切です。
⑤子どもの様子を観察する
顔が赤くないか、汗を大量にかいていないか、機嫌や元気の有無など、こまめに子どもの状態をチェックしましょう。異変を感じたら、すぐに涼しい場所へ移動してください。
暑さ指数(WBGT)について知っておこう
暑さ指数を知っていますか?熱中症の危険度を判断する数値として、環境省では平成18年から暑さ指数(WBGT)の情報を提供しています。
熱中症予防には、外気温だけでなくこの暑さ指数を見ることも重要とされており、近年ではこの指数をもとに保育園、幼稚園、学校における戸外活動の指針になっています。


天気予報とあわせて、暑さ指数もチェックしながら、無理のない外出計画を立てましょう。
暑さ指数の確認方法
暑さ指数は熱中症予防情報サイトより確認できます。

夏は天気予報だけでなく、暑さ指数もみて外出時間の検討してみてもいいですね。

このサイトでは子どもへの危険指数も表示しているので、子どもの熱中症リスクは?と確認してみるといいでしょう。
熱中症の症状と対応
外出中に子どもの異変に対応できるよう、熱中症の症状と対応について知っておきましょう。
初期症状
熱中症は初期症状を早期に発見し対応することが重要です。以下のような症状に注意しましょう。
①初期症状
- ・顔が赤くほてっている
- ・異常な量の汗
- ・ぐずり、不機嫌
- ・食欲不振
- ・元気がない
- ・体温の上昇
②熱中症が疑われる場合の対応手順
- 1.即座に涼しい場所に移動:日陰や冷房のある室内に移動
- 2.衣服の調整:衣服を緩め、通気を良くする
- 3.冷却:額、首、脇の下、太ももの付け根を冷やす、扇風機などで風を当てる
- 4.水分補給:意識がはっきりしている場合は適切な水分補給
- 5.医療機関への相談:症状が改善しない場合は速やかに医療機関を受診
まとめ
今回は、ベビーカーでの夏のお出かけにおける注意点と熱中症対策についてご紹介しました。
年々、気温が高くなっている日本の夏。ベビーカーの中は大人よりも高温環境にさらされることを意識し、しっかりと準備をして外出することが大切です。
小さなサインにも気づいてあげられるよう、日々の観察と予防意識を高めて、安心・安全な夏のお出かけを楽しんでくださいね。
参考文献
・「熱中症(熱射病)」. 子どもの病気(ウェブページ).国立成育医療研究センター病院公式サイト.
内容確認日:2025年7月31日.
https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/heatstroke.html (参照 2025‑07‑31)
・「みんなで見守り『こどもの熱中症』を防ぎましょう!」.こどもの事故防止ポータルサイト.
内容確認日:2025年7月31日.
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety-actions/cases/netchusho (参照 2025‑07‑31)
・「暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)について」.環境省熱中症予防情報サイト
https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php (参照 2025‑07‑31)