
育児の悩みの中で「睡眠」は多くの割合を占めるのではないでしょうか?「子どもが寝てくれない」、「睡眠時間はどれくらいがいい?」、「夜泣きがつらい…」など毎日悩みながら生活しているかと思います。今回はそんなお母さんのために、赤ちゃんの睡眠サイクルと環境づくりについて解説していきます。
知ってた?赤ちゃんの睡眠の重要性
赤ちゃんの睡眠は、身体的な成長や脳の発達、免疫力の向上など、多岐にわたる効果があるとされています。睡眠中に分泌される成長ホルモンは、体の成長を促進し、免疫力を高める効果があるだけでなく、記憶の整理や神経の発達にも影響し、十分な睡眠をとることで赤ちゃんの情緒が安定しやすくなります。
赤ちゃんの睡眠サイクル
赤ちゃんの睡眠サイクルは大人と異なり、短い周期を繰り返します。月齢とともに睡眠時間やリズムが変化していきます。
月齢 | 睡眠時間(1日合計) | 昼寝の回数 |
新生児(0〜1か月) | 16〜18時間 | 3〜5回 |
3〜4か月 | 14〜16時間 | 3回 |
6か月 | 13〜15時間 | 2回 |
9〜12か月 | 12〜14時間 | 1〜2回 |
新生児期(0〜1か月)
睡眠時間:1日あたり16時間以上。
特徴:昼夜の区別がまだついておらず、2〜4時間ごとに目を覚まし、授乳やおむつ替えが必要です。
生後3〜4か月
睡眠時間:1日あたり14〜16時間。
特徴:昼夜のリズムが徐々についてきて、夜間の睡眠が少しずつ長くなります。
生後6か月〜1歳
睡眠時間:1日あたり13〜15時間。
特徴:昼夜のリズムが整い、夜間にまとまった睡眠をとるようになります。昼寝の回数も減少し、昼間の活動時間が増えてきます。
これらの睡眠パターンはあくまで目安であり、個々の赤ちゃんによって差があります。赤ちゃんのペースに寄り添い、無理なく睡眠リズムを整えていきましょう。
いつからぐっすり寝るようになるの?
生後3か月を過ぎるとまとまって寝る時間が増えてくるといわれています。1回の授乳量も増え、夜間の授乳が減るようになるからです。また、体内時計が整ってくる時期なので、昼夜のメリハリをつけることで、睡眠リズムが安定します。
ですが、睡眠は個人差があるので、この時期を過ぎてもなかなか夜通し寝ない子もいます。徐々に睡眠時間が長くなっていくものと考え、付き合っていきましょう。
赤ちゃんがぐっすり眠るためのポイント
赤ちゃんが質の良い睡眠をとるためには、環境や生活習慣の調整が大切です。
① 生活リズムを整える
・毎日同じ時間に起こし、朝日を浴びる。 朝日を浴びることで体内時計が整い、昼夜のリズムがつきやすくなります。
・昼間は活動的に過ごし、夜は静かな環境を作る 昼間は明るい部屋で遊ばせ、夜は照明を落としてリラックスできる環境を作ることが大切です。
② 快適な寝室環境を作る
・室温は20〜22℃、湿度は50〜60%が理想的。赤ちゃんは暑すぎても寒すぎても寝ぐずりしてしまうことがあります。
・照明を暗めにして、赤ちゃんがリラックスできる環境を整える。
・ふかふかすぎる布団は窒息のリスクがあるため、固めの布団を選ぶ。
③ 寝かしつけの工夫
・お風呂の後に授乳や絵本の読み聞かせを取り入れる。 赤ちゃんが安心するルーティンを作ることで、寝る時間を意識しやすくなります。
・一定のリズムで優しくトントンする。 赤ちゃんが安心して眠りにつく手助けになります。トントンで寝ない子は足をマッサージするように握るのも効果的です。
よくある睡眠の悩みと対策
①夜泣き
・お腹が空いている、暑い・寒い、おむつが汚れていないかなど原因を探る。
・昼間の刺激が強過ぎてないかを考える。
・室温は快適かを確認する。厚着のさせすぎも夜泣きに繋がります。
②昼夜逆転
・朝にしっかり日光を浴びる。赤ちゃんの体内時計をリセットするため、朝日を浴びることが有効です。ママとパパの生活リズムを整えることにもなります。
・昼寝の時間を調整する。昼間に寝すぎると夜に眠れなくなるため、昼寝の時間を短くする。
③眠りが浅い
・おくるみを活用する。 新生児はモロー反射(びくっとする反射)があるため、おくるみで包むことで安心感を与える。
・ホワイトノイズを使う。母親の胎内音と似ていると言われている音を聞かせると安心して寝る子もいるようです。
注意して!「乳幼児突然死症候群(SIDS)」
赤ちゃんの睡眠中の事故に、「乳幼児突然死症候群(SIDS)」というものがあるのを知っていますか?寝ている赤ちゃんが何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る原因のわからない病気です。令和5年には48名の乳幼児がSIDSで亡くなっていて、乳児期の死亡原因としては第5位となっています。原因不明ですが、以下のポイントをおさえることでリスクを減らすことができると考えられています。
① 仰向けで寝かせましょう
うつぶせ寝はSIDSのリスクを高めるとされているので、1歳までは、寝かせるときは必ず仰向けにしましょう。
② 室温と湿度を適切に
室温は20〜22℃、湿度は50〜60%が理想的とされています。熱がこもることでSIDSの発生につながると考えられているので厚着はさせずに寝かせましょう。
③できるだけ母乳で育てましょう
母乳で育てられている赤ちゃんは、SIDSの発生率が低いことが研究で判明しているそうです。
④たばこを避ける
喫煙はSIDSのリスクを高めるとされています。赤ちゃんの周囲での喫煙は避け、禁煙に努めましょう。
窒息事故にも気をつけて
睡眠中に赤ちゃんが死亡する原因には、乳幼児突然死症候群(SIDS)のほか、窒息などによる事故もあります。窒息事故は予防できるものなので、今日から気をつけていきましょう。
①ベビーベッド に寝かせ、柵は常に上げておきましょう
親と同じ布団で寝ると、かけ布団で窒息する危険があります。赤ちゃんは赤ちゃんの寝床で寝かせることがリスクを減らすことになります。赤ちゃんの成長は著しいので、急に寝返りをしてベッドから落ちてしまうこともあります。必ずベッドの柵はあげておくようにしましょう。
② 固めの寝具を使用する
柔らかい寝具は窒息のリスクを高めるため、固めのマットレスや布団を使用しましょう。また、枕や毛布、ぬいぐるみなどの柔らかいものはベビーベッドに置かないようにします。
③ 口や鼻を覆うものを近くにおかない
赤ちゃんの周りに、口や鼻を覆う可能性のあるもの(タオル、衣服、よだれ掛け、ぬいぐるみなど)を置かないようにしましょう。これらが原因で窒息事故が発生することがあります。
8. まとめ
赤ちゃんの睡眠は成長にとってとても重要です。生活リズムを整え、快適な環境を作ることで、赤ちゃんが安心してぐっすり眠れるようサポートしていきましょう。睡眠の悩みは多くの家庭で共通するものですが、焦らず、少しずつ調整しながら赤ちゃんのリズムを作っていくことが大切です。
[参考文献]
① 日本睡眠学会「睡眠について」
https://www.jssr.jp/basicofsleep5
② Babyband「赤ちゃんの睡眠サイクルについて」
https://www.babyband.jp/column/baby-sleep-cycles
③ こども家庭庁「乳幼児突然死症候群(SIDS)」
https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/kenkou/sids
④ 厚生労働省「乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防対策について」
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000366407.pdf
⑤ Babyband「赤ちゃんの夜泣きはいつからいつまで?」
https://www.babyband.jp/column/night-crying