「今日もしっかり子どもと向き合えなかったな」、「ちゃんと育児できなかったな」
1日の終わりに、そんなふうに感じることはありませんか。
仕事で帰りが遅くなってしまった日、子どもに「早くして」と何度も言ってしまった日、
そんな何気ない日常の中で「母親としてこれでいいのだろうか」と感じてしまう“母親としての罪悪感”は 「マミーギルト」と呼ばれています。
マミーギルトとは
マミーギルトとは、 「もっとちゃんとした母親であるべきなのに」という思いから生まれる罪悪感のことです。
・仕事を優先してしまった
・ついイライラしてしまった
・理想の母親像とのギャップに落ち込む
こうした気持ちは、多くの母親が日常的に経験しています。
約7割の母親が感じている
小学生以下の子どもを持つ女性を対象にした調査では、約7割が「家事や子育て、仕事の両立の中で、子どもや家族、周囲に対して罪悪感を感じたことがある」と回答しています。
(2022年日経ウーマノミクス・プロジェクトによる調査結果)
仕事と子育ての両立が一般的になっている一方で、多くの母親が罪悪感を抱えながら日々を過ごしている現状があります。
そして、男性も育児協力が進み夫婦で仕事と育児をしていても、母親はこのような感情になってしまうことが多いようです。
罪悪感はどこから生まれるのか
その背景には、「母親はこうあるべき」という見えない基準の存在があります。
・いつも笑顔でいるべき
・子どもを優先するべき
・丁寧な暮らしを整えるべき
こうした理想像は、無意識のうちに内面化され、現実とのギャップが罪悪感を生みやすくなります。また、「育児は母親が担うもの」「母親がしっかりしつけをしないといけない」といった 無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)も、 母親自身を縛る要因の一つと考えられています。
アンコンシャス・バイアスについてはこちらのコラムでまとめています。https://famione.com/benefit/column/unconsciousbias
SNSが罪悪感を強めてしまうことも
こうした罪悪感は、社会的な背景だけでなく、日常的に触れるSNSの影響も大きいでしょう。
近年は、SNSの影響によってマミーギルトを感じやすくなっているとも言われています。
綺麗に整理整頓された部屋の写真や、栄養バランスの整っている食事など、他人の生活が目につくことが多くなっています。それらはほんの一場面であると分かっていても、「それに比べて自分は…」と無意識に比べてしまうことがあります。
本来、子育ての形は家庭ごとに異なるものですが、SNSによって“理想の母親像”が可視化されやすくなり、自分とのギャップに苦しさを感じる要因の一つになっています。
マミーギルトとの向き合い方
マミーギルトを感じることは、子どもにとってより良い関わりをしたいという気持ちの表れでもありますので、無理になくす必要はありません。
大切なのは、その感情を「なくす」ことではなく、適切な距離で付き合っていくことです。
いくつかポイントをまとめていきます。
①「完璧な母親」を前提にしない
常に理想通りでいることは現実的ではありません。「今日はこれくらいでOK」と達成しやすいゴールを決めるようにしましょう。
育児中は体調不良など急に予定が変わることもありますので、「予定通りに行かないことが当たり前」と完璧でない日常も子育ての一部と捉える視点も必要です。
②手段に柔軟性を持つ
食事や遊び、関わり方において、「こうでなければならない」と決めつけず、「こんな方法もあるんだな」、「こんな日もあるよね」とおおらかに構えてみましょう。
③自分の状態にも目を向ける
母親自身の心身の余裕は、子どもへの関わりに大きく影響します。母親の機嫌がいいことで家庭は明るくスムーズに回ることも多いです。自分のコンディションを整えることも、子育ての一部です。
④手間抜きも許す
夕飯が惣菜でも、動画に頼る時間があっても、大丈夫。子どもにとって大切なのは、時間の「量」よりも、一緒にいるときの関わり方です。
疲れた日はどうしてもイライラしてしまうので、子どもにイライラしないように手間抜きできるところはどんどん活用していきましょう。
日常の中で意識したいこと
育児の中で子どもにとって重要なのは「完璧さ」だけではないかもしれません。
不安定な環境で長い時間一緒にいることよりも、短い時間でも安心して向き合える関係性の方が、子どもにとっては意味を持つ場合もあります。
保育園に預けることに罪悪感を感じることはありません。
子どもは母親が頑張っている姿を見ています。
辛い表情で「ごめんね」ばかり伝えるよりも「ありがとう。お仕事頑張れたよ」と伝えてみましょう。
こちらのコラムでは子どもを保育園に預けることに罪悪感を持ってしまう母親へのメッセージが詰まっています。
「できたこと」に目を向ける
罪悪感が強くなるときほど、私たちは「できなかったこと」に意識が向きがちです。
「あれもできなかった」、「もっとこうすればよかった」
そんなふうに、自分に足りない部分ばかりを探してしまうことも少なくありません。
だからこそ意識したいのが「今日できたこと」に目を向けるという視点です。
・1日、大きな怪我なく過ごせた
・感情的にならずに関われた時間があった
・子どもに「ありがとう」と伝えられた
・忙しい中でも、少しでも向き合う時間を持てた
日常の中で「できたこと」を考えるだけで気持ちも前向きになり、肯定的に過ごすことができます。
そして、どれも特別なことではないかもしれませんが、こうした日々の積み重ねこそが、子どもにとっての安心や信頼につながっていくはずです。
育児の中の1つのルールを決める
あれもこれも完璧にこなすことは難しいですし、そのために罪悪感を感じるのであれば完璧を目指す必要はありません。
自分の中で育児で大切にしたい関わりを1つ決めるというのも1つの方法です。
・数時間怒らない時間を作る
・保育園のない日は、本を読む
などどんなことでもいいです。
1つ大事にしたいルールを決めて守ることで母親自身の自己肯定感も維持されます。
パートナーができること
マミーギルトは、母親個人の問題として捉えられがちですが、家庭全体で支えていく視点も大切です。特にパートナーの関わり方は、母親の感じる負担や罪悪感に大きく影響する可能性もあります。
①「気づいて言葉にする」
「大変そうだね」「いつもありがとう」
こうした一言があるだけで、「ちゃんと見てもらえている」という安心感につながります。
目に見える家事や育児だけでなく、日々の気遣いや見えにくい負担にも目を向けることが大切です。
②役割を“手伝う”ではなく“担う”
育児や家事を「手伝う」という意識ではなく、一緒に担うものとして関わることも重要です。
どちらか一方に負担が偏ると、もう一方は「申し訳なさ」や「やりきれなさ」を感じやすくなります。小さなことでも役割を共有していくことで、心理的な負担は大きく軽減されます。
③母親の「自分の時間」を守る
少し一人になる時間、何も考えずに休める時間を確保することも、心の余裕を保つうえで欠かせません。
「休んでいいよ」と言葉で伝えるだけでなく、実際にその時間をつくる行動が重要です。
④比較や評価をしない
「他の家庭はもっとやっている」、「それくらい普通じゃない?」
何気ない一言でも、母親の中にある罪悪感を強めてしまうことがあります。
正しさよりも、まずは気持ちに寄り添うことが結果的に、家庭全体の安定につながります。
まとめ
マミーギルトは、子育てに真剣に向き合っているからこそ生まれる感情です。
その存在を否定するのではなく、背景にある考え方や環境に目を向けながら、少しずつ付き合い方を見つけていくことが大切です。
完璧であることよりも、継続して関わり続けること。それが結果として、子どもにとっての安心につながっていきます。
ファミワンでは育児中の悩み相談をテキスト相談、通話相談で利用することができます。1人で抱え込む前に、専門家への相談を利用してみてくださいね。
参考サイト
・日本経済新聞社「リスキリングとは何か」『日経リスキリング』
https://reskill.nikkei.com/article/DGXZQOLM2106W0R20C22A2000000/(2026年3月20日閲覧)
・プレジデント社「母親なのに仕事をして、子供に向き合えていない…子育て世代を苦しめる「普通のお母さん」は虚像である『PRESIDENT Online』https://president.jp/articles/-/65209?page=3(2026年3月20日閲覧)









