たまに耳にするうつぶせ寝での死亡事故、皆さんは原因をご存知でしょうか。
多くはSIDS(乳幼児突然死症候群)、もしくは窒息死が原因となっています。
今回はSIDSについて対策なども含めて詳しくご説明していきます。
SIDSとは
SIDS(乳幼児突然死症候群)は何の予兆や既往歴もなく乳幼児が突然死に至る病気です。窒息などとの事故とは異なります。
令和4年には47名の乳幼児がSIDSでなくなっており、乳児期の死亡原因の第4位です。日本での発症頻度は6000~7000人に1人と言われています。生後2か月~6か月に多いとされていますが、まれに1歳以降の子どもでも発症することがあります。
SIDSの原因
SIDSの原因はわかっておりません。
呼吸のコントロールに異常が起こるとも考えらえています。
SIDSで亡くなった赤ちゃんの一部では、血液中の酸素レベルが低下した徴候や、呼吸が一時的に止まった徴候が見られています。
SIDSのリスク因子
原因がわかっていないSIDSですが、これらと関連があるとされている因子はあります。
- うつぶせ寝
- SIDSで亡くなった兄弟姉妹がいる
- 冬季
- 発育不全や低出生体重児、未熟児
- 男児
- 家庭での喫煙
- 柔らかい寝具
- クッションや親との添い寝
- 子どもの暖め過ぎ
などです。
特に、うつぶせ寝は仰向けの約3倍、養育者の喫煙は約4.7倍、SIDSの発症のリスクを高めると報告されています。
他には母乳育児の赤ちゃんの方がSIDSの発症率が低いとも言われていますが、これは人工ミルクがSIDSを引き起こすということではありません。母乳育児の方が頻回に赤ちゃんが起きて授乳をすることが多いことや、低出生体重児や未熟児(発症リスクが高い)が人工ミルクでの育児が多いことなどが関連しているといわれています。母乳育児ができる人は母乳育児を行うのがよいですが、できない人が無理にすることはないので、できないことで自分を責めないでくださいね。
SIDSを予防するために
これらを踏まえて、SIDSを予防するための対策をご紹介します。
【部屋環境】
- 赤ちゃんはあおむけ寝で、両親と違う布団やベッドで寝かせる
- 温度は冬は20~24度、夏は25~28度。厚着しない
- 寝具は硬めのマットレスで掛物やクッション、枕は使用しない
月齢が進むと、寝返りをしてうつ伏せで寝ていることもあるかもしれません。寝返り返りができるようになるまでは、うつ伏せ寝に気づいたら仰向けに戻してあげるようにしましょう。また、掛物での保温は赤ちゃんにはNGです。スリーパーなどを着せて保温するようにしましょう。
【その他】
- 養育者は喫煙しない
- おしゃぶりを寝かしつけに使う
おしゃぶりを使うとSIDSのリスクが下がると言われています。ですが、母乳育児にはおしゃぶりが影響を与えてしまうこともあるため無理に使用しなくて大丈夫ですよ。
- うつぶせでの遊ぶ時間を作る
寝ている時はうつぶせ寝は避けるべきなのですが、一緒に遊んでいる時間などはうつ伏せは問題ありません。むしろ、うつ伏せでの遊ぶ時間を作ることはSIDSのリスクを下げると報告されています。最初は数分から始め、1日15-30分以上できるといいと言われています。うつぶせで遊んでいる時には目を離さないようにしてくださいね。
まとめ
SIDSについて原因から対策までお話させていただきました。
うつぶせ寝が必ずSIDSを引き起こすわけではありません。うつぶせ寝をさせたときは子どもから目を離さず、深く寝入ったタイミングで仰向けに直してあげましょう。 SIDSの多い時期は生後2~6か月でほとんどが1歳未満の乳児に起こります。生まれてから生後1年までは、SIDSのことを念頭に置いて環境に注意するようにしましょうね。
[参考文献]
乳幼児突然死症候群(SIDS)診断ガイドライン(第2版)
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000846941.pdf