【生殖看護認定看護師が伝える】東京都の不妊治療助成最大15万円「新制度」が正式スタート。変更点と注意点を解説

2月のコラムでお伝えしていた東京都の不妊治療助成制度が、2026年4月1日より正式に開始されました。


今回の改正により、助成の範囲が大幅に広がり、治療費の自己負担をより抑えられる仕組みへと移行しています。

「自分の今の治療は対象になるのか」「具体的にいくら戻ってくるのか」という疑問に対し、確定した最新ルールを4つのポイントで解説します。

 助成対象が「治療費全体」へ拡大。保険診療分も合算可能に

今回の最大の変更点は、助成金の対象が先進医療に限定されなくなったことです。

これまで: 保険診療と併用した先進医療(自費)の費用の7割(上限15万円)のみが対象。保険診療の3割負担分は助成されませんでした。

4月以降: 「保険診療の自己負担分」+「先進医療の費用」の合算で最大15万円を助成。

今後は、先進医療を受けない周期であっても、窓口で支払った3割負担分に対して最大15万円まで助成が受けられます。

例えば、世帯年収(約370〜770万円)の方であれば、高額療養費制度を適用した後の自己負担(月額約8.5万円前後)がこの15万円の助成枠に収まるため、窓口での支払い分のほぼ全額を助成金でカバーすることが可能になります。 (※年収が高い世帯の場合、自己負担上限額が15万円を超えることがありますが、その場合も都の助成金15万円を差し引くことで、最終的な持ち出し費用を大幅に軽減できます。)

 各区の独自助成も継続。東京都の制度と組み合わせて自己負担ゼロへ

東京都の助成拡充に伴い、各区が独自に実施している上乗せ助成の役割もより明確になっています。例えば港区、渋谷区、千代田区など多くの自治体では、引き続き独自の助成制度を継続しています。

「都」と「区」の連携イメージ:

  • まず、東京都の助成金(15万円)で保険診療の自己負担分を優先的にカバーする。
  • 都の枠からはみ出した先進医療の費用などを、区の独自助成でカバーする。

代表的な自治体の例:

港区・渋谷区・千代田区など: 先進医療や自由診療に対し、最大10〜30万円の独自助成があります。都の15万円と組み合わせることで、高額な先進医療を併用した場合でも、最終的な持ち出しをほぼゼロに抑えることが可能です。

その他の区(中央区・世田谷区・江戸川区など): 多くの区で5万円前後の助成を実施しています。

自治体によって詳細なルールが異なるため、お住まいの区のHPで最新の条件を確認してください。

 適用の分かれ道は「妊娠判定日が4月1日以降か」どうか

新制度が適用されるかどうかは、治療の開始日ではなく、原則として1回の治療が終了した日(妊娠判定日)で決まります。

旧制度(先進医療の7割のみ)になるケース:

3月31日までに妊娠判定が出た方。

新制度(保険分+先進医療で最大15万円)の対象になるケース:

3月に移植を行い、4月1日以降に妊娠判定を受けた方。 たとえ採卵や移植のステップを2月〜3月に行っていたとしても、判定日が4月以降であれば、その周期に支払ったすべての保険診療分(3割負担分)が助成対象に含まれます。

制度自体は令和8年4月からスタートしていますが、実際の申請手続きができるのは10月1日からとなります。4月〜9月の間に治療が終わった方は、10月の受付開始まで、関連する領収書や明細書はすべて大切にセットで保管しておきましょう。

 助成対象となる先進医療と、PGT-Aに関する注意点

現在、東京都で告示されている主な先進医療は以下の通りです。

主な先進医療の例: SEET法、タイムラプス、子宮内膜スクラッチ、PICSI、ERA/ERPeak、子宮内細菌叢検査(EMMA/ALICE)、IMSI、二段階胚移植法、膜構造を用いた生理学的精子選択術、着床前胚異数性検査(PGT-A)など

上記に含まれているPGT-Aですが、先進医療としてのPGT-Aが実施できるのは、学会の認定を受けたごく一部の医療機関に限られています。

認定外の施設でPGT-Aを行うと、混合診療のルールにより、採卵から全ての工程が全額自費扱いとなり、今回の東京都の助成金(保険診療が前提)が使えない可能性があります。

終わりに

不妊治療において、経済的な負担は心身の負担をさらに重くする要因となります。今回の東京都の制度拡充は、金銭的な不安を軽減し、治療を継続しやすくするための大きな後押しとなるはずです。

複雑に見える助成制度ですが、正しく理解し活用することで、治療にかかる自己負担額を大幅に抑えることができます。10月の申請開始に向けて、お手元の領収書を整理しながら、まずは最新の情報を確実に押さえておきましょう。

【参考文献】
東京都不妊治療費助成事業の概要:東京都福祉局,
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/kosodate/josei/funin-senshiniryou/gaiyou(2026年4月2日現在)

企業担当者の方へ

ファミワンでは法人向けサービスとして、女性活躍推進を軸としたダイバーシティ経営を支援する法人向けプログラム『福利厚生サポート』を提供しています。従業員のヘルスリテラシー向上や、組織風土の変容に役立つのみならず、利用促進の広報資料の作成までカバーしており、ご担当者様の負荷の削減にもつながります。