マイコプラズマ肺炎に要注意!

はじめに

昨年中国で大流行したマイコプラズマ肺炎。流行は世界各地に及び、デンマーク、フランス、オランダなどでもみられました。

日本でも新型コロナウイルスのパンデミック以前は約4年周期で感染増加を繰り返していましたが、2020年以降大きな感染増加はありませんでした。 しかしここ1か月で患者数が急増しており、秋冬に向けて更なる感染者の増加が予想されます。

東京都マイコプラズマ肺炎流行状況 東京都感染症情報センター
https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/mycoplasma/mycoplasma/

そこで今回は、マイコプラズマ肺炎について解説していきます。

マイコプラズマ肺炎とは

マイコプラズマ肺炎とは、肺炎マイコプラズマという細菌に感染することによって起こる呼吸器感染症のことです。

かぜと同じように発症した人のせきの飛沫を吸い込んだり(飛沫感染)、細菌のついた手で鼻や口を触ったり(接触感染)することで感染します。

マイコプラズマ肺炎は、小児や若年層の肺炎として比較的多いものの一つで、患者の約8割は14歳以下と言われています。

出典:神奈川県衛生研究所

症状

マイコプラズマに感染すると、2-3週間の潜伏期間のあと、発熱や全身倦怠感、頭痛などの症状が現れます。さらに3‐5日すると、痰を伴わない乾いた特徴的な咳(乾性咳嗽)の症状がみられます。一度咳が出始めると、呼吸がしにくくなってしまうことや、嘔吐するまで連続で咳が出る場合もあり、多くの方がこの症状に悩まされます。

咳は、熱が下がった後も数週間続くのが特徴です。多くの人はマイコプラズマに感染しても軽い気管支炎で済みますが、一部の人は喘息様の症状が出てしまうことや、肺炎となり重症化することもあります。特に成人が感染すると、重症化しやすいと言われています。

また、耳の痛みや嘔吐、下痢などを起こすこともあります。中耳炎はかぜでも起こりますが、中耳炎に加えて長引く頑固なせきが続く場合はマイコプラズマに感染している可能性があります。初期の症状はかぜによく似ていますが、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症と異なり、喉の痛みや鼻水などの症状が出ることは少なく、痰の出ない咳が長引くときはマイコプラズマ肺炎を疑い、早めにかかりつけ医を受診しましょう。また、すでに病院でかぜ薬などを処方されていて、一向に症状が改善しない場合も、マイコプラズマ肺炎の可能性がないか医師に相談されてみてください。

診断方法

マイコプラズマ肺炎の診断では問診、視診、胸部聴診、血液検査、胸部単純X線写真が行われます。ただ多くの患者は軽症であり、X線写真に影が映ることは少ないため、一般的には、年齢が乳幼児から比較的若い範囲である、咳が長引いている、白血球が増えていない、両方の肺に影があるといった特徴がそろっている場合にマイコプラズマ肺炎を想定して早めに治療を始めます。

最近になって新しい検査方法「LAMP法」という高精度な診断が普及してきており、保険で検査可能になりました。「LAMP法」は専用容器具で咽頭から採取した咽頭ぬぐい液の中にマイコプラズマの遺伝子(DNA)がいないか直接見る方法でマイコプラズマを高い精度で検出でき、マイコプラズマを見落とす確率が低くなりました。しかし、LAMP法は専門の検査機関で行われ、結果が出るまでに数日かかってしまうという課題もあります。

治療方法

症状が軽く咳だけであれば、経過観察することもあります。小さな子どもの場合、周囲の大人が注意を払い普段の様子と変わりないか慎重に観察することが大事です。 また、咳が苦しく食事をとれないことも多いため、食事ができない場合でも、脱水症状が起こらないよう、こまめに水分補給を行いましょう。水分とともに塩分や糖分も補えるスポーツ飲料や経口補水液を用意するとよいでしょう。

薬での治療が必要な場合は抗菌薬によって治療します。マイコプラズマは一般の細菌とは構造が異なるため、抗菌薬のうち一般的な肺炎に使用されるペニシリンなどの「βラクタム系」抗生物質は効果がありません。代わりに、「マクロライド系」などの抗生物質が使用されます。そのため、正確に診断することが重要になります。

予防方法

現時点でマイコプラズマには、予防接種がありません。そのため基本的な感染対策を行うことが大切です。
感染経路はかぜやインフルエンザと同じですので、普段から、手洗いをすることが大切です。また、咳の症状があるなど感染が疑われるときは、他の人にうつさないためにも、マスクを着用するなどを心がけてください。手洗いやマスク着用などの基本的な感染対策で感染のリスクを下げることができます。また子供の感染が疑われるときは、登園や登校を控えた方がよいでしょう。大人であっても、調子が思わしくないときは外出を控え、休養を取ることも重要です。

最後に

最近急速に流行してきたマイコプラズマに関して簡単にお話させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。マイコプラズマ肺炎に限らず、その他の感染症もまだまだ流行しています。皆さんご自身の体調に注意して、無理せずお過ごしくださいね。

〈参考〉
厚生労働省 マイコプラズマ肺炎に関するQ&A:
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou30/index.html
国立感染症研究所 マイコプラズマ肺炎とは:
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/503-mycoplasma-pneumoniae.html

企業担当者の方へ

ファミワンでは法人向けサービスとして、女性活躍推進を軸としたダイバーシティ経営を支援する法人向けプログラム『福利厚生サポート』を提供しています。従業員のヘルスリテラシー向上や、組織風土の変容に役立つのみならず、利用促進の広報資料の作成までカバーしており、ご担当者様の負荷の削減にもつながります。