小児喘息は梅雨時期に要注意!家庭でできる予防と対策法

梅雨の季節がやってくると、「子どもの咳が増えた」「夜中にゼーゼーして眠れない」といったお子さまの様子に悩まれる保護者の方も多いのではないでしょうか?梅雨時は気温や気圧の変化が大きく、また湿気によってカビやダニが増殖するなど、喘息発作につながる危険が増える可能性があります。

この記事では、梅雨時期における小児喘息の特徴と家庭でできるケアや対策について紹介していきます。

小児喘息とは

喘息は、呼吸をするときの空気の通り道(気道)がアレルギー性の炎症のために狭くなり、呼吸が苦しくなる病気です。小児喘息の場合、大人とは異なる特徴があります。

喘息の主な症状

  • ・泣いたり不機嫌になったりすることが多くなる
  • ・風邪をひくたびに咳が続く
  • ・呼吸するときに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音が出る
  • ・遊びまわって遊んだあとに咳が出始める
  • ・夜間や早朝に苦しそうに咳をする

小児特有の注意点

子どもは大人と違い、言葉でうまく伝えることができません。そのため、喘息の子どもは泣いたりぐずったり、不機嫌になることで喘息発作を伝えようとします。また、乳児や幼児の場合、この「ゼーゼー、ヒューヒュー」がはっきり聞こえないこともあります。

ゼーゼーを伝えるときのポイント

❶どんなときにゼーゼーする?
→風邪をひいたとき/ミルクを飲んだ後/寝入り/明け方 など

❷どんな音がする?
→ヒューヒュー/ゼーゼー/ゼロゼロ/ゴロゴロ など
(息を吸うとき/吐くときのどちらか?)

❸ゼーゼー以外の症状は?
→発熱/鼻水/おう吐 など

ゼーゼーしている時の様子をこまめに記録しておくといいでしょう。

小児喘息を発症年齢

引用:小児気管支喘息ガイドライン2023 第3章

以前は2~3歳がピークでしたが、最近のデータでは0歳で最も多く喘息と診断され、発症がより早くなっているそうです。

小児喘息の重症度について

喘息の重症度に応じて治療内容を決めるため、重症度の評価はとても重要です。以下のように喘息症状のあらわれる頻度とその強さで分類します。

間欠型軽い症状が年に数回生じる程度で、呼吸が苦しくなっても薬で治り、短期間で症状が改善し、持続しない状態です
軽症持続型軽い症状が月1回以上、週1回未満で、症状の持続は短い状態です
中等症持続型軽い症状が週1回以上、毎日ではなく、時に中・大発作となる状態です
重症持続型毎日症状があり、週1、2回は大発作がある状態です(それ以上は最重症持続型)

日本アレルギー学会HP 小児のぜん息 より引用

小児喘息を発症しやすい子どもの特徴

ご家族がアレルギー体質の場合、喘息になりやすいといわれています。具体的には以下のような要因があります。

遺伝的要因
・両親のどちらかに喘息の既往がある
・家族にアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎の人がいる
・アレルギー体質の家系

環境要因
・大気汚染の影響
・受動喫煙
・ダニ、カビ、ペットの毛などのアレルゲンとの接触
・ウイルス感染

梅雨が小児喘息に与える影響

喘息の発作は、季節の変わり目や急に気温が下がる日に起こりやすいといわれています。梅雨時期は特に以下の要因が重なります。

気温・気圧の変動

梅雨時は季節の変わり目は朝晩の寒暖差が大きい時期なので喘息発作を起こすことがあり、

一日の中で気温や気圧の「差」が大きいと発作が起こりやすい事がわかっています。梅雨時期は朝晩と日中の気温差が大きく、低気圧の通過も頻繁で、これらが喘息症状を悪化させる要因となります。

湿度の上昇とアレルゲンの増加

梅雨時期の高湿度環境では、以下のアレルゲンが急激に増加します。
ダニ:湿度60%以上で急激に繁殖
カビ:浴室、台所、寝室などで発生
細菌:高温多湿で増殖

これらのアレルゲンを吸い込むことで喘息がより酷くなってしまい、また湿度、気圧により息苦しさをより感じやすくなります。

梅雨時期の小児喘息対策

ご家庭でできる喘息対策について項目ごとに紹介していきます。

室内の環境設定

室内湿度が40-60%になるようにコントロールしましょう。

  • ・除湿機の設置
  • ・エアコンの除湿運転
  • ・換気扇使用
  • ・こまめな湿度チェック

ダニ対策

  • ・こまめに掃除する、ホコリがないように
  • ・カーペットなどはできるだけ使わない
  • ・寝具はこまめに天日干し、掃除機かけ
  • ・枕カバーのこまめな洗濯
  • ・できるだけぬいぐるみを置かない
  • ・布団乾燥機の使用

カビ対策

  • ・浴室使用後は換気扇を回す
  • ・カビ防止剤の使用
  • ・水滴を拭き取る
  • ・浴室乾燥機の使用
  • ・結露は必ず拭き取る
  • ・クローゼットの換気

普段の生活からの大事な環境設定

家の環境設定はできていますか?

  • ・照明は天井据付型にする
  • ・鉢植えは室内に置かない
  • ・エアコンのフィルターにホコリがついていないか点検する
  • ・布製ソファを避ける
  • ・家具を減らして掃除機かけしやすくする
  • ・3日に1回は時間をかけて掃除機をかける
  • ・1週間に1回は布団にも掃除機をかける

生活習慣で気をつけること

体調管理

  • ・呼吸器感染症にかからないように予防を心掛ける
  • ・手洗いうがいの励行
  • ・予防接種を受ける
  • ・人混みを避ける

投薬管理

  • ・適切に投薬する
  • ・学校や園で発作が起きたときの対処法を考えておく

小児喘息の治療

治療の3本柱

❶ぜん息を悪くする原因を減らす

❷気道の炎症を抑えるために薬を使う

❸ぜん息の急性増悪(発作)が起こりにくくなるように体力をつける
(適度な運動、バランスのとれた食事、十分な睡眠、規則正しい生活など)

治療のこころがまえ

①忍耐強く
あっという間に治すことのできないものになるので、発作が起きないよう家族でサポートしていきましょう

②発作が起きないような環境づくりを
これまで伝えたような環境設定を心がけ、アレルゲン除去し発作が起きないようにしましょう

③定期的な通院を
症状に合わせて吸入薬が処方されるので、定期的な通院を怠らないようにしましょう

治療薬

喘息の治療には内服薬と吸入薬が使われます。

①吸入薬(吸入ステロイド)
喘息の原因である気道の腫れを抑え、発作を起こしにくくします。発作をすぐに止める薬ではないので発作の時にだけ使っても効果は少ないです。

吸入後には必ずうがいをさせて、口の中に残った薬えきを洗い流すことが大切です。

  • ・液体タイプ
    ネブライザーを使って吸入する。主に乳幼児はこのタイプを選択する。
    マスクやマウスピースを使いますが、長い時間がかかるので嫌がらないような工夫が必要になります。
  • ・噴霧タイプ
    スペーサー(吸入補助具)を使用して吸入することが推奨されている。ネブライザーに比べて短時間で吸入できます。
  • ・ドライパウダー
    6歳以上の子どもに使用する。細かい粉を自分で吸い込むためしっかりと吸い込む力が必要になります。

②内服薬
気道を狭くするアレルギー物質の働きをおさえて発作を起こりにくくします。発作をすぐに止める薬ではないので発作の時にだけ使っても効果は少ないです。

最後に

今回は梅雨時期における小児喘息の特徴と家庭でできるケアや対策を紹介していきました。梅雨入りしたので、お子様の状態の変化に気を留めるようにしていきましょうね。

参考文献
・「小児のぜん息/Q&A」.一般社団法人日本アレルギー学会ウェブサイト.更新日時:2024年7月11日.
https://www.jsaweb.jp/modules/citizen_qa/index.php?content_id=2(参照 2025‑06‑12)

・一般社団法人日本アトピー協会.「カビについて」.日本アトピー協会ウェブサイト.
https://www.nihonatopy.join-us.jp/skin/shittoku/kabi.html(参照 2025‑06‑12)

・一般社団法人日本アトピー協会.ダニについて」.日本アトピー協会ウェブサイト.
https://www.nihonatopy.join-us.jp/skin/shittoku/dani.html(参照 2025‑06‑16)

・独立行政法人環境再生保全機構(ERCA).「実践しよう!悪化因子への対策」.小児ぜん息基礎知識.
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/kodomonozensoku/taisaku.html(参照 2025‑06‑16)

・一般社団法人日本小児アレルギー学会(編).『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023(Web版)』.2023年11月18日発行.PDF.一般社団法人日本小児アレルギー学会ウェブサイト.
https://www.jspaci.jp/assets/documents/jpgl2023_web.pdf(参照 2025‑06‑16)

・アレルギーポータル「室内環境の整備について」.アレルギーポータル 知識(Indoor environment).公開:4か月前.
https://allergyportal.jp/knowledge/indoor-environment/(参照 2025‑06‑16)

企業担当者の方へ

ファミワンでは法人向けサービスとして、女性活躍推進を軸としたダイバーシティ経営を支援する法人向けプログラム『福利厚生サポート』を提供しています。従業員のヘルスリテラシー向上や、組織風土の変容に役立つのみならず、利用促進の広報資料の作成までカバーしており、ご担当者様の負荷の削減にもつながります。