パートナーと大切なことを話し合わなければならない時、解決しなければならない問題があるとき、上手く自分の気持ちを伝えられるか不安になることはありませんか?
今回は、そんなときのためのコミュニケーションのコツをお伝えします。
DESC法(デスク法)
DESC法とは、話し合いのためのステップをまとめたものです。
コミュニケーションのトレーニングの一つに、アサーション・トレーニングというものがあります。
アサーションとは自己主張とか自己表現という意味で、「自分も相手も大切にする」コミュニケーション法です。
DESC法はアサーション・トレーニングのひとつで、次の4つのステップがあります。
1.D(Describe 描写する・記述する)
2.E(Express/Emphathize 表現する/共感する)
3.S(Specify 具体的な提案をする)
4.C(Choose 選択する)
Step1:D(Describe 描写する・記述する)
- 自分がパートナーと話し合いたいことや解決したい事、葛藤を感じていること、問題だと思っていることを客観的かつ具体的に伝えます。
- 自分が考えていることや、相手に対して困っている具体的な言動・行動を具体例として取り上げます。
- ここでは、相手の言動・行動から受けた印象や、相手の意図から推察したことは取り上げません。
<抽象的な表現の例>
「この話になると嫌そうな態度になるよね」
“嫌そうな態度”というのはあくまで自分が受けた印象であって、客観的事実ではありません。
<具体的な表現の例>
「私が妊活の話をもちかけると、“そうだね、そのうち考えよう”とは言ってくれるけど、いつから・どうやって始めるかお互いに話し合えたことがないよね」
Step2:E(Express/Emphathize 表現する/共感する)
- Step1で伝えた客観的で具体的な事柄について、自分がどう考えているか、自分自身の気持ちを表現・説明します。
- 感情的にならず落ち着いて。曖昧ではなく明確に伝えましょう。
- できるときは、「相手はきっとこう思っているんだろうな」という気持ちに共感を示しますが、不本意ならば無理に共感を示さなくても良いのです。
<感情的で曖昧な表現の例>
「どうしていつもそうなの?将来のこととかどう考えてるの?」
<自分の気持ちや考えを表現する例>
「私はできるだけ早くあなたの子どもを産みたいから、具体的に妊活のことを話し合いたいと思っているよ。だから“そのうち考えよう”と言われると寂しい気持ちになるんだよ」
Step3:S(Specify 具体的な提案をする)
- 相手にしてほしい行動、妥協案や解決策などを具体的に提案します。
- 提案は、具体的・現実的で、相手が実現できることにしましょう。
- 相手への不満や期待があると、つい現実的でない大きな要求をしがちなので要注意です。
<抽象的な提案や過剰な要求の例>
「もっとちゃんと考えてほしい」「はっきり言ってほしい」
“ちゃんと”や“はっきり”とはどういう状態なのかわかりにくく、抽象的な要求です。
「病院で検査するくらい、そんなに難しくないじゃない」
自分にとっては難しくないことでも、相手にとっては心理的にハードルが高いことがあります。
<具体的な提案の例>
「妊活の時期や方法のことを話し合う時間が欲しいんだけど、次の休みの日に話す時間を作れないかな」
Step4:C(Choose 選択する)
- Step3で伝えた具体的な提案に対して、相手がすぐ理解を示すとは限りません。相手からYesが返ってきた場合、Noが返ってきた場合を想定しておきましょう。
- Yesの場合、Noの場合、それぞれ何と言うか、あらかじめ1つか2つ考えておきます。
具体的な提案「妊活の時期や方法のことを話し合う時間が欲しいんだけど、次の休みの日に話す時間を作れないかな」に対して
<Noが返ってきたら>
「今度の休みは〇〇へ行こうと思ってたんだよなぁ」
→「あなたにも予定があるのはわかっているよ。じゃあ来週はどうかな?」(再度の提案)
→「う~ん、多分大丈夫だと思うけど休日出勤になるかも」(またNoだった場合)
→「そうやって先送りにされると子どもが欲しいのは私だけのような気持になるな。じゃあ、私が考えていることを聴く時間を作ってもらえないかな?」
<Yesが返ってきたら>
「いいよ、次の休みの日だね」
→「ありがとう。そう言ってもらえて安心した」(感謝を伝える)
→「でも妊活っていってもピンとこなくて、話し合うって言ってもなあ」
→「まずは私の話を聴いてほしい。それから、あなたがどう思ったか聴かせてね」(予告)
DESC法は、コミュニケーションのトレーニング法の一つです。
慣れるまでは違和感や難しさを感じるかもしれませんが、繰り返してみることで身についていきます。
まずは、普段の何気ない会話の中で意識してみてくださいね。