保育園の洗礼とは?入園前に知っておきたい知識と両立対策

「やっと慣らし保育が始まったのに、もう発熱…」
「1週間通えたと思ったら、またお休み」

仕事復帰と同時に始まる、予想以上の体調不良、 いわゆる“保育園の洗礼”に戸惑う保護者は少なくありません。

しかしこれは、特別なことではなく、多くの子どもが通る成長の過程です。本記事では、保育園看護師の視点から、保育園の洗礼とよくある感染症、家庭でできる対策について解説します。

保育園の洗礼とは?

「保育園の洗礼」とは、入園後しばらくの間に子どもが頻繁に感染症にかかる状況を指す通称です。医学的な正式名称ではありませんが、保護者の間では広く使われています。
背景にあるのは、免疫の未熟さと集団生活の開始です。

病欠日数(年齢別)

(保育園児の病欠頻度に関する研究 東京女子医科大学雑誌第87巻第5号 平成 29 年10月)

1年間の病欠日数を年齢別に見ると、0歳児の病欠が圧倒的に多いことが分かります。

生後6か月頃から母体由来の免疫が徐々に減少し、自分自身の免疫機能を発達させていく時期に入ります。そこへ新たに集団生活が加わることで、これまで接触したことのないウイルスや細菌に一気にさらされます。

特に0〜1歳児クラスでは、手洗いの徹底が難しく、おもちゃの共有や濃厚接触も多いため、感染が広がりやすい環境です。

子どもの病欠(年齢別)

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(保育園児の病欠頻度に関する研究東京女子医科大学雑誌第87巻第5号 平成 29 年10月)

同研究の月別データを見ると、0歳児・1歳児クラスは年間を通して病欠が多い傾向があります。これは免疫機能が未熟であることが主な要因と考えられます。

特に7〜8月や12月は病欠総数が増加する傾向があります。夏季・冬季に流行する感染症は、登園停止期間が長くなる場合もあるため、病欠日数が多くなることがあります。

感染症の病欠日数

実は「この期間は自宅で療養する」という目安が定められている感染症がいくつかあります。
これらは、こども家庭庁の「感染症対策ガイドライン」に基づき、多くの保育園が参考にしている基準です。

感染症名登園再開基準
麻疹解熱後3日経過するまで
インフルエンザ発症後5日経過し、かつ解熱後3日経過するまで
風疹発疹が消失するまで
水痘全ての発疹が痂皮化するまで
流行性耳下腺炎耳下腺の腫脹が発現して5日経過し、かつ全身状態が良好であること
結核医師により感染の恐れがないと認められるまで
咽頭結膜熱発熱・充血などの症状が消失した後、2日経過するまで
流行性角結膜炎結膜炎の症状が消失するまで
百日咳特有の咳が消失していること又は適切な抗菌性物質製剤による5日間の治療が終了していること
腸管出血性大腸菌感染症医師により感染の恐れがないと認められるまで
急性出血性結膜炎医師により感染の恐れがないと認められるまで
侵襲性髄膜炎菌感染症医師により感染の恐れがないと認められるまで
溶連菌感染症抗菌薬内服後24-48時間が経過していること
マイコプラズマ肺炎発熱や激しい咳がおさまっていること
手足口病発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること
伝染性紅斑全身状態がよいこと
感染性胃腸炎嘔吐・下痢等の症状がおさまり、普段の食事がとれること
ヘルパンギーナ発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれること
RSウイルス感染症呼吸器症状が消失し、全身状態がよいこと
帯状疱疹全ての発疹が痂皮化していること
突発性発疹解熱し機嫌がよく全身状態がよいこと

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インフルエンザや新型コロナウイルス感染症は、1週間程度の欠席となることがあります。
 また、ヘルパンギーナなどは口腔内症状により食事摂取が難しくなり、登園再開まで時間を要する場合があります。

細かい規定は保育園や幼稚園ごとに変わるので入園時に確認しておくといいでしょう。

登園時の書類について

そして、保育園、自治体によっては、感染症にかかった後の登園には園に書類を提出する必要があることもあります。
主治医に書いてもらう「意見書」、保護者が記入する「登園届」があります。
感染症にかかった際は、できるだけ早く園に連絡し、状況の共有と必要な対応を確認しましょう。

子どもって熱をすぐに出すけど...登園はいつから?

子どもは体温が高く、発熱しても比較的早く解熱することがあります。

しかし多くの園では、「38℃以上の発熱があった場合、解熱後24時間は自宅で様子を見る」ことを目安としています。これはこども家庭庁の「感染症対策ガイドライン」にも示されています。

体温は1日の中で変動するため、朝は平熱でも午後に再び発熱することがあります。発熱で早退した翌日は原則休みになる可能性が高いと想定しておくと安心です。

仕事と病欠の両立のポイント

仕事復帰したのに、子どもの病欠で仕事を休まなければならない...という「保育園の洗礼」は入園後には何度もあるかと思います。
入園前に、知っておくべき対策を紹介します。

免疫力をつけるためには

まず家族全員で保育園の洗礼に備えて、体調管理を意識することが大切です。

生活リズムを整える

生活リズムが乱れると免疫が下がりやすいので、できるだけ同じ時間に起きて寝ることを意識しましょう。
生活リズムが整うと朝食もしっかりとれ、集中力UPにも繋がります。

バランスのいい食事をとる

ビタミンは皮膚や粘膜を保護し、たんぱく質は免疫細胞の材料になります。発酵食品は腸内環境を整える作用が期待されます。1日3食を基本に整えましょう。

手洗いうがいの習慣化

感染症対策の基本です。うがいができないお子さんはお茶を飲むことでも効果は得られます。

屋外で遊ぶ

屋外で遊び日光に当たることでビタミンD が作られ、免疫機能を調整することに繋がります。夏は暑い日も多いですが、外遊びがしやすい時期には積極的に外で遊ぶようにしましょう。

予防接種を受ける

重症化予防のため、定期接種・任意接種ともにスケジュールを確認し、計画的に接種を進めましょう。

子どもの病欠と仕事

いくら気をつけていても、子どもは風邪をひくものですし、成長過程の1つです。
仕事との両立はどうしたら良いでしょうか。ポイントをまとめました。

夫婦の連携

お互いの仕事状況、有給や会社の制度の共有をしておきましょう。
看護休暇や通院のための時短制度など、仕事復帰前に会社規定を確認すると、今まで知らなかった制度に気づくこともあります。

親戚からのサポート

親戚からのサポートを受けることができるご家庭は、保育園の送迎方法の共有をし、いつでも依頼できる準備を整えておきましょう。

病児保育の登録

夫婦揃ってどうしても仕事が休めない場合は病児保育利用を検討することもあるかもしれません。事前の利用登録、利用方法をあらかじめ確認しておくと急な病気の時にも安心です。

病児可能なベビーシッター利用

地域によっては、医療資格を持つシッターの利用も可能です。事前に情報収集しておくと選択肢が広がります。

保護者の体調管理

「保育園の洗礼」によって子どもが体調を崩すと、保護者も体調を崩すことが多くなります。そうなると家事に育児に仕事に体調不良...負担が大きくなります。子どもと生活をする上では避けられないことですが、最低限意識してほしいポイントをまとめました。

子どもの食べ残しは食べない

体調を崩しかけたとき、普段食べている量でも残すことがあります。これは子どもの体調不良のサインかもしれません。
子どもが手につけたものは、極力食べないようにしておきましょう。

おむつ交換の後の手洗いの徹底

感染症の中には、症状が落ち着いた後も便からウイルスが排出されることもあるので、おむつ交換時の手洗いも徹底しましょう。

タオルを共有しない

めやにが出ているとき、ひどい風邪症状がある場合は家族でタオルを共有することは避けましょう。
特に夏に流行するアデノウイルスによる目の症状(流行性角結膜炎、咽頭結膜熱)ではタオルの共有から感染が広がる可能性も大きいです。
個別のタオルを使用し、こまめに取り替えるようにしましょう。

まとめ

保育園の洗礼は、入園後しばらくの間に感染症を繰り返す、多くの子どもが経験する通過点です。特に0〜1歳児は免疫機能が未熟なため病欠が増えやすく、季節によっては長期の欠席が必要になる感染症もあります。登園基準や必要書類の有無は園ごとに異なるため、入園前の確認と早めの情報共有が安心につながります。

子どもの体調不良は避けられず、また多くの先輩が経験していることです。周りに相談しながら、「保育園の洗礼」を乗り越えていきましょう。

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