2026年4月1日から、妊婦さんを対象としたRSウイルスワクチン「アブリスボ(ファイザー)」の定期接種が開始されました。これまで任意接種として自己負担(約3万円)で行われていたものが、原則公費で受けられるようになっています。
以前のコラムでは、RSウイルス感染症やワクチンの仕組みについてご紹介しましたが、今回は実際に定期接種が始まった今、どのように考えていけばよいかを中心にまとめます。
RSウイルス感染症とは
RSウイルスは特に小児や高齢者に呼吸器症状を引き起こすウイルスで、1歳までに50%以上、2歳までにはほぼすべての乳幼児が一度は感染するとされています。
感染すると2~8日の潜伏期間のあと、発熱や鼻水、咳といった症状が数日続きます。
多くは軽症で自然に回復しますが、一部では咳が強くなり、ゼーゼーとした呼吸や呼吸が苦しくなる症状が出ることもあります。さらに細気管支炎や肺炎などに進行し、入院が必要になるケースもあります。
特に生後間もない時期は重症化しやすいため、早い段階での予防が大切になります。
今回の変更で変わったポイント
今回のワクチンは妊婦さんに1回、筋肉注射で接種します。
妊娠28週から36週頃での接種が推奨されており、この時期に接種することで母体で作られた抗体が赤ちゃんに移行し、生まれてすぐの時期を守ることができます。
抗体が十分に作られるまでには約2週間かかるため、出産予定日から逆算して少し余裕をもって接種時期を考えておくと安心です。
ワクチンの効果としては、RSウイルス感染症の重症化を防ぐ効果が、生後90日までで約80%、生後180日まででは約70%とされています。接種から14日以内に出産となった場合は、赤ちゃんへの抗体移行が十分でない可能性もあるため、接種のタイミングは主治医と相談しながら調整していきます。
定期接種となったことで費用は原則公費負担となりますが、実際の運用は自治体ごとに異なる場合があります。特に里帰り出産を予定している場合は、どの自治体で接種するかによって対応が変わることもあるため、事前に確認しておくと安心です。
接種当日に明らかな発熱がある場合や、重い急性の病気にかかっている場合は接種を見合わせます。また、これまでにワクチンの成分でアナフィラキシーを起こしたことがある方は接種できません。そのほかにも体調や合併症によっては医師の判断で見送ることがあるため、最終的には主治医と相談して判断していくことになります。
予定より早く出産となった場合は、状況に応じて別の選択肢がとられることもあります。すべての方が対象になるわけではありませんが、こうした方法があることも知っておくと安心です。
まとめ
定期接種が始まったことで、妊娠中から赤ちゃんを守る選択肢がより身近になりました。接種のタイミングや制度の違いなど、少し迷う部分もあると思いますが、あらかじめ知っておくことで落ち着いて判断しやすくなります。気になることがあれば無理のない範囲で医療機関に相談しながら、ご自身に合った形で考えていけると安心です。
・参考文献
RSウイルスワクチン|厚生労働省









