【採卵のコツは急がばまわれ】

卵巣内で卵が成長するのに何ヶ月かかるかご存知ですか？詳細に関しては諸説ありますが、大体6ヶ月以上かかり、排卵直前の約3ヶ月が特に重要と言われています。良い卵を育てるための体作りには最低3ヶ月必要です。妊娠前の体作りは、妊娠や出産に備える準備段階でもありますので、しっかり積み立てておきましょう。

【体に合った対策を】

妊活に良いと思って始めたことが、不調の原因になっていたら元も子もありませんよね。胃腸の弱い人が毎日2L以上の水を飲み続けて体調を崩されることもありますし、ストイックな生活で心が折れてしまうなんてことも。残念ながら、頑張れば頑張るほど早く妊娠できるわけではありません。自分の体の状況を把握し、体にあった対策を選びましょう。妊活漢方選びもそのひとつです。

【妊活女性に多い4つの体質】

❶元気も栄養も足りないタイプ

低温期が長い、経血量が少ないまたは多すぎる、疲れやすい、食欲がない、やる気が起きない、眠りが浅い、記憶力の低下、髪のパサつきや抜け毛などが気になる方は、まず気力体力を取り戻すことから始めましょう。ホルモン治療で痩せ馬に鞭を打つ状態を避けるためにも、土台作りが大切です。

〜漢方薬〜
⚫︎当帰芍薬散•••冷え症でむくみやすい方向き。妊活関連のエビデンスも多い。
⚫︎加味帰脾湯◆帰脾湯•••胃腸が弱く貧血傾向な方に。不安感、不眠にもオススメです。
⚫︎補中益気湯•••疲れやすく胃腸が弱い方に。男性不妊にもよく使われます。
◆婦宝当帰膠•••血を補いながら巡らせる力がある漢方。冷えや月経不順にも。

❷血の流れが悪いタイプ

生理痛、経血の色が暗い、経血に塊が出る、頭痛、肩こり、シミそばかすが多いなど《痛み・しこり・黒ずみ》に関連する症状のほとんどは、血の巡りの悪さが原因です。放っておくと、月経不順・子宮内膜症・子宮筋腫・卵巣の病気に繋がる可能性があります。排卵前後や生理前後に体調を崩しやすい傾向。

〜漢方薬〜
⚫︎温経湯•••血行を良くすることで、手足のほてりや冷え、月経不順を改善します。
⚫︎桂枝茯苓丸•••冷えのぼせ、むくみ、下腹部痛がある方に向いています。
◆芎帰調血飲第一加減•••産後の漢方として用いられますが、冷えて巡りが悪い方にも使えます。

❸ストレスが多いタイプ

自律神経が乱れやすく、基礎体温表はガタガタ傾向。気分や食欲、生理周期にもムラが出やすい。生理前に胸やお腹が張ったり頭痛が起こることも。自律神経と女性ホルモンの働きは連動しているので、どちらかが崩れるともう一方も乱れてしまいます。漢方薬は長く飲まないと効かないイメージがあるかもしれませんが、以下の漢方は比較的即効性があります。

〜漢方薬〜
⚫︎加味逍遙散•••体の緊張をほぐし、鬱々とした気分を晴らす効果があります。
◆逍遙散•••胃腸が弱く冷えやすい方にはコチラがおすすめ。

❹生殖器やホルモン分泌の弱りタイプ（腎虚：じんきょ）

漢方では「腎」が子宮や卵巣などの生殖器をコントロールしていると考え、妊娠力を高めたい時に使うのが補腎薬です。 生理周期が以前と変わった、排卵期の透明のオリモノが減った、卵の質が良くない、白髪、抜け毛、腰の痛みなどは腎の機能が衰えてきたサイン。年齢を重ねると誰でも衰えてきますが、個人差が大きいのも事実。激しいダイエットや卵巣のトラブル、長期間のストレスなどが原因で生理が遅れたり止まることがあるように、上の❶〜❸を軽視した生活を送ると、最終的に腎に影響を及ぼします。

〜腎を補う漢方薬〜
⚫︎六味地黄丸◆杞菊地黄丸◆知柏地黄丸
低温期が短い（11日以下）、低温期の体温が高い（36.5℃以上）、夜間に手足がほてり時に寝汗をかくタイプの方は、体の潤いを補う補腎薬がオススメです。睡眠をしっかりとるように心がけ、温活のしすぎは控えましょう。

⚫︎八味地黄丸⚫︎牛車腎気丸◆鹿茸製剤◆紫河車（プラセンタ）
月経周期が長い、高温期が不安定、体温が全体的に低い、下半身の冷えやむくみ、夜間頻尿があるタイプの方は、体を芯から温める補腎薬がオススメです。エネルギー不足なので、冷えと過労は避けてお過ごしください。

（⚫︎のついた漢方薬は病院での取り扱いもあります）

【周期調節療法】

女性の月経周期を《月経期・卵胞期・排卵期・黄体期》の4つに分け、それぞれの周期の特徴に合わせて漢方薬を使い分ける方法もあります。

【まとめ】

妊娠力を高める漢方とは、女性らしい体作りのための漢方とも言えます。効果は全身に現れるため、食欲、排便、冷え、睡眠、PMS、生理痛、経血の塊、排卵期のオリモノ、肌質、髪質、卵の質などが徐々に変化してきます。心と体に現れる変化を楽しみに、無理のない範囲で続けてみて下さいね。服用される際は、専門家に相談されることをお勧めいたします。