【三大夏風邪】”手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱”について知っておこう

連日暑い日が続くようになりましたね。プールや海水浴、夏祭りなど楽しいイベントが盛りだくさんの季節ですが、この時期に注意したいのが「夏風邪」です。

みなさん、夏に幼児を中心に流行する”三大夏風邪”を知っていますか?

冬に流行る胃腸炎やインフルエンザは馴染みがありますが、夏に流行する感染症を知らない方も多いと思います。

今回は三大夏風邪である手足口病・ヘルパンギーナ・プール熱について疾患ごとに解説していきます。

手足口病

手足口病は2024年度に大流行したので、ご存じの方も多いかもしれません。

昨年流行したためか、今年はまだ感染報告が少なくなっています。

(出典:感染症発生動向調査週報 2025年第23週)
  • ・原因ウイルス:コクサッキーウイルスA16、エンテロウイルス71など
  • ・特徴:手のひら、足の裏、口の中に特徴的な発疹や水疱ができます。手足口病という名前ですが、臀部(お尻)に発疹が出ることも多いです。発熱は比較的軽度(37-38度程度)で、全体的に軽症で済むことが多い病気です。手足口病を引き起こすウイルスは種類が多いので、1年のうちに数回もかかることがあります。コクサッキーA6型ウイルスによる感染の場合は爪が剥がれることもありますが、新しい爪が自然に生えてくるので心配しなくても大丈夫です。
  • ・潜伏期間: 3-5日
  • ・感染経路: 飛沫感染、接触感染、糞口感染(回復後も2-4週間便中にウイルス排出)
  • ・予防法:手洗いうがいの励行
  • ・治療法:対症療法 3〜7日で自然に軽快していきます。
  • ・登園目安: 発熱や口腔内の水疱 ほう ・潰瘍の影響がなく、普段の 食事がとれること

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは2023年に大流行していました。今年は例年通りの流行開始になっていそうです。

(出典:感染症発生動向調査週報 2025年第23週)
  • ・原因ウイルス:コクサッキーウイルスA群
  • ・特徴:突然の高熱(38-40度)と喉の激しい痛みが特徴的です。喉の奥に小さな水疱ができるため、「喉が痛くて何も食べられない」「よだれが多くなる」といった症状が現れます。突然の高熱になるため、乳児の熱性けいれんの原因となる感染症です。
  • ・潜伏期間: 3-6日
  • ・感染経路: 飛沫感染、接触感染、糞口感染
  • ・予防法:手洗いうがいの励行
  • ・治療法:対症療法 
  • ・登園目安: 発熱や口腔内の水疱 ほう ・潰瘍 かいよう の影響がなく、普段の食事がとれること

プール熱(咽頭結膜熱)

プール熱はアデノウイルスによる感染症で正式名称を咽頭結膜熱といいます。夏場に塩素消毒不十分なプールの水を介して感染することが多かったため一般的に「プール熱」という名前での認識が広がっていますが、現在では接触感染での感染が圧倒的に多いとされています。

(出典:感染症発生動向調査週報 2025年第23週)

2023年は遅れての流行ピークがみられていました。今年も例年通り報告が増えています。

  • ・原因ウイルス:アデノウイルス
  • ・特徴:高熱、のどの痛み、目の充血という3つの症状が同時に現れます。
  • ・潜伏期間:2~14日(平均5〜7日)
  • ・感染経路: 飛沫感染、接触感染(タオルの共用など)、経口感染
  • ・登園目安: 主要症状(発熱・咽頭炎・結膜炎)が消失してから2日経過後

プール熱(咽頭結膜熱)だけじゃない”アデノウイルス”について知っておいてほしいこと

アデノウイルスは、

①プール熱(咽頭結膜熱)
②流行性角結膜炎
③呼吸器感染症

を引き起こすウイルスで、乳幼児期にはアデノウイルスによる感染症に罹患することが多いです。

流行性角結膜炎は夏の三大風邪に含まれていませんが、夏に流行する感染症です。

主な症状として、目が充血し、目やにが出ます。まぶたの腫れもみられ、朝にはめやにで目が開かなくなることもあります。幼児の場合、目に膜が張ることもあるので、特徴的な初見でわかりやすいです。 片方の目で発症した後、もう一方の目に感染することがあります。

感染力が非常に強いので、家族で感染者がでたら広がらないように注意が必要です。

呼吸器感染症は、細気管支炎や肺炎につながることもあります。長引く高熱、咳などがみられた時はアデノウイルスによる呼吸器感染症に罹患している可能性があります。

普段から意識してほしい夏の体調管理

夏に流行する感染症は感染力が強いので、周囲に感染者がいるとあっという間に広がってしまいますが、日頃からの体調管理は欠かさずしておきましょう。

手洗い・うがいの徹底

夏でも手洗い・うがいは感染症予防の基本中の基本です。外出から帰ったとき、食事の前後、トイレの後、おむつ替えの後などは必ず実践しましょう。手洗いは石鹸を使って20秒以上、指の間や爪の間まで丁寧に洗うことが大切です。

適切な室温管理

エアコンの設定温度は外気温との差を5-7度以内に抑えることが理想的です。急激な温度変化は体調不良の原因となるため、外出時は薄手のカーディガンなどを持参し、体温調節できるよう準備しましょう。

規則正しい生活

夏休み中でも早寝早起きを心がけ、十分な睡眠時間を確保することで免疫力を維持できます。就寝前のスマートフォンやタブレットの使用は控え、質の良い睡眠を心がけましょう。

バランスの良い食事

暑さで食欲が落ちがちな夏ですが、栄養バランスの良い食事は免疫力維持に欠かせません。ビタミンCやビタミンA、亜鉛などの栄養素を積極的に摂取し、冷たいものの摂りすぎに注意しましょう。

三大夏風邪の”お家でのケア”ポイント

水分をしっかりとらせる

夏の感染症に罹患した時は脱水に要注意です。こまめに水分をとってもらうようにしましょう。

喉が痛いときの食事

口の中が痛くなるので食欲が低下してしまいます。熱いものや酸っぱいものは避け、喉ごしの良い冷たいものをあげましょう。
プリン、ゼリー、ジュースなどでしっかり糖分やカロリーも補うことがおすすめです。

入浴

高熱があるときや元気がないときは控えましょう

感染予防

家族に感染者がでたら、こまめに手洗いをし、タオルなどの共有は避けましょう。症状が軽快した後も、長い間便にはウイルスが排泄されるのでオムツ交換の後もしっかり手洗いをするようにしましょう。

保育園や幼稚園の登園

お住まいの自治体によっては保護者の記入する登園届や医師の記入する登園許可書が必要となります。感染症罹患後の登園については園や主治医に確認しましょう。

こんな時はもう1度受診を

・発熱が4日以上続く
・水分が取れず、ぐったりしているとき
・プール熱や流行性角結膜炎の場合、眩しそうにしているときや見えにくそうにしているとき

こんなときは急いで受診を

・初めてけいれんをおこしたとき
・水分が取れず、おしっこが12時間以上出ていないとき
・意識がもうろうとしている

参考文献

・こども家庭庁・厚生労働省.「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版、2023年7月一部修正)」.

PDF資料,2023年7月20日改訂.

https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/c60bb9fc/20230720_policies_hoiku_25.pdf(参照 2025‑06‑26)

・厚生労働省.「咽頭結膜熱(プール熱)とは」.厚生労働省ウェブサイト.内容確認日:2025年6月26日.

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/pcf.html(参照 2025‑06‑26)

・国立健康危機管理研究機構・国立感染症研究所(編).「感染症発生動向調査週報 2025年第23週(第27巻第23号:6月2日〜6月8日)」.

PDF資料.2025年6月17日発行.

https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/jp/idwr/2025/idwr2025-23.pdf(参照 2025‑06‑26)

・MSDマニュアル プロフェッショナル版.「アデノウイルス感染症」.MSDマニュアル.プロフェッショナル版ウェブサイト.公開年:約3.2年前.

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/13-%E6%84%9F%E6%9F%93%E6%80%A7%E7%96%BE%E6%82%A3/%E5%91%BC%E5%90%B8%E5%99%A8%E7%B3%BB%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9/%E3%82%A2%E3%83%87%E3%83%8E%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87(参照 2025‑06‑27)

・日本外来小児科学会(編). ママ&パパにつたえたい 子どもの病気ホームケアガイド 第5版. 医歯薬出版, 2020年.

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