はじめに
5月になり、日差しが強くなってきました。皆さんは、紫外線対策、どうしていますか?
日光を浴びることは、私たち人間にとって必要なことです。
日光を浴びることで、体内時計が整えられます。しかしその一方で、紫外線による有害作用も多くあります。そこで今回は、紫外線について解説していきます。
紫外線とは
紫外線(Ultraviolet, UV)は、太陽から地球に届く光の一部で、私たちが目で見ることのできる可視光よりも波長が短いため、目には見えません。紫外線は波長の長さに基づき、UVA、UVB、UVCの3つに分けられます。波長が長いほど大気中のオゾン層を通過しやすく、地球表面に多く到達します。
UVAは波長が最も長く、皮膚の真皮層まで到達するため、皮膚の老化やいくつかの皮膚障害を引き起こす可能性がありますが、UVBは、その波長が短く、肌に直接ダメージを与える力が強いため、日焼け(サンバーン)や皮膚がんのリスクを特に高めるとされています。実際、肌が真っ赤になるような日焼けは、主にUVBによる影響です。
紫外線の影響
① 日焼け(サンバーン)
日焼け(サンバーン)は、紫外線(特にUVB)によって皮膚が一時的に赤くなる現象です。この赤みは、紫外線が皮膚の遺伝子にダメージを与え、それに反応して血流が増加するために起こります。小児期には皮膚がすぐに回復しますが、紫外線によるダメージは累積します。そのため、大人になると、シミなどの肌の問題が現れることがあります。
② 皮膚がん
紫外線は、皮膚細胞のDNAに傷をつけます。細胞にはその傷を修復する機能がありますが、繰り返し傷がつけられているうちに、傷を直す過程で間違いが起こり、DNAに突然変異を起こすことがあります。その突然変異ががんの発生に関わる遺伝子で発生した場合、その細胞が増殖し、がんとなってしまいます。
③ 眼への影響
波長の短いUVBは、眼に様々な急性および慢性的な障害を引き起こすことがあります。急性障害としては紫外線角膜炎(雪眼炎)があり、これは山や海などのアウトドア活動中に眼が紫外線に晒されることで生じる眼の日焼けのような状態です。症状としては、結膜充血や異物感があり、ひどい場合は角膜が損傷し、痛みと涙が出ます。これらは通常2日程度で回復しますが、繰り返すと慢性的な障害へと進行します。慢性的な障害には、翼状片や白内障があります。翼状片は、白目の組織が黒目の領域に侵入し、視力に影響を及ぼすことがあります。また長期間の紫外線曝露は、水晶体のたんぱく質を変性させ、白内障のリスクを高めます。
④ 免疫抑制
紫外線は、長時間の曝露や過剰な曝露によって、私たちの免疫システムを弱めることがあります。具体的には、紫外線が皮膚や免疫細胞にダメージを与え、免疫細胞の働きを妨げたり、免疫応答のバランスを乱したりすることがあります。その結果、感染症や病気にかかりやすくなる可能性があります。アウトドアやスポーツを楽しむ際には、感染症予防対策を適切に行うだけでなく、紫外線対策も重要です。
紫外線とビタミンD
ビタミンDは体内でのカルシウム代謝を調整する重要な役割を担っており、主に皮膚で紫外線の助けを借りて体内で合成されます。ビタミンDが不足すると、骨粗しょう症や筋肉機能の低下を引き起こし、特に高齢者の転倒リスクを高めます。また、妊婦のビタミンD不足は赤ちゃんの骨発育に悪影響を与えることが知られています。
そのため日光浴を通じたビタミンDの合成は重要ですが、上記のような紫外線の有害事象を考慮すると、積極的な日光浴は避けるべきです。日本人の食事摂取基準によれば、成人で1日に4〜5μgのビタミンDを摂取することが推奨されており、特に魚類やきのこ類が豊富な食事が効果的です。日光浴は限定的にして、食事で補うことを意識しましょう。
紫外線対策
① 紫外線の強い時間帯を避ける
紫外線は、時刻別にみると正午前後、正確には各地区で太陽が最も高くなるときに、最も強くなります。可能な限りその時間を避けて、外に出るようにしましょう。
② 日陰
外出時は、日陰を利用するのもよいでしょう。しかし、紫外線は太陽から直接のものだけではなく、空気中で散乱したものや、地面や建物から反射したものもあります。日陰であっても、紫外線を浴びていることに注意しましょう。
③ 日傘や帽子の使用
紫外線防御機能のついた日傘やつばの広い帽子は効果的です。しかし日傘や帽子も、太陽からの直接の紫外線は防げますが、大気中で散乱している紫外線を防ぐことはできません。
④ 長袖の着用
長袖など、皮膚を覆うことができる衣服を着用しましょう。また皮膚に到達する紫外線を減らすためには、濃い色調で目が詰まっている衣類が一番よいのですが、夏は熱中症のリスクもありますので、気をつけてください。
⑤ サングラス
フレーム側面からの紫外線を防ぐために、UVカット機能付きのサングラスや眼鏡を着用しましょう。フレームが顔にフィットし、レンズが大きめのもの、また色は外側から眼が見える程度の薄さが理想的です。
⑥ 日焼け止め
規定量、たとえば顔なら真珠2個分位を全体に引きのばします。また3時間に1回程度塗り直すと良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。紫外線という言葉は聞きなれているけれど、具体的に何なのか、どのような影響があるのかについては詳しく知らなかった、という方も多いのではないでしょうか。ぜひこの機会に、今夏の紫外線対策を見直してみてください。