ノロウイルスやロタウイルスに負けないために!感染性胃腸炎の徹底対策

寒くなるこれからの時期に、インフルエンザ等とともに流行るのは感染性胃腸炎です。今回はノロウイルスをはじめとした感染性胃腸炎についてお話します。
かからないための対策、そして、もしもかかってしまった場合の対処法を知り、感染拡大防止に努めましょう。

感染性胃腸炎とは?

感染性胃腸炎とは、ウイルスや細菌による感染症の1つです。ノロウイルスをはじめとしたウイルス性胃腸炎と、細菌による細菌性胃腸炎にわけられ、どちらも主に嘔吐、下痢、腹痛といった消化器症状をともないます。原因の多くはウイルス感染です。秋から冬の寒い時期に流行るのが特徴です。

ウイルス性胃腸炎の主な病原体

ノロウイルス(潜伏期間:1~2日)

感染力が強く、発症時に激しい嘔吐や下痢の症状を伴いますが、比較的短期(2~3日)で症状が軽快することが多いです。

ロタウイルス(潜伏期間:2~4日)

発症時に高熱(39度台)を伴うのが特徴です。嘔吐症状は他の感染性胃腸炎と同じように、大体1~3日程度で治まることが多いですが、嘔吐が治まった後も、1週間ほど下痢の症状が続くことがあります。乳児では痙攣をおこすこともあるため、注意が必要です。

細菌性胃腸炎の主な病原体(食中毒に多い)

  • 病原性大腸菌
  • サルモネラ菌
  • カンピロバクター
  • 腸炎ビブリオ
  • 黄色ブドウ球菌

感染性胃腸炎の感染経路

  1. 感染した人の糞便や嘔吐物から人の手などを介して、手に付着した病原体が口に触れることによる接触感染
  2. 感染した人の糞便や嘔吐物の微粒子が空気中に飛び散り、それを周囲のヒトが吸い込むことによる飛沫感染
  3. 病原体で汚染された食品を食べることによる経口感染

症状(ウイルス性胃腸炎、細菌性胃腸炎共通)

  • 吐き気、嘔吐
  • 下痢
  • 腹痛
  • 発熱
  • 血便(細菌性胃腸炎で多い)

感染対策

①手洗い

基本は手洗いの徹底です。

病原体で汚染された手から感染が広がっていくため、帰宅時、調理や食事前、トイレの後など、適宜手洗いを徹底しましょう。手洗いの際には、面倒くさくても、指輪や時計は毎回外し、石鹸で30秒以上しっかりもみ洗いすることが大切です。指と指の間や爪に病原菌が残りやすいため、細部までしっかり洗いましょう。

②消毒

床等の飛び散った患者の糞便や嘔吐物を処理する場合には、使い捨てエプロン、手袋、マスクを着用し、汚物中のウイルス等が飛び散らないように、ペーパータイルで静かにふき取りましょう。汚物をふき取った後は、0.1%の次亜塩素酸ナトリウム(原液濃度6%の場合、3Lの水に原液50mlを加える)で浸すように床をふき取り、その後水拭きしましょう。ふき取りに使用したペーパータオルや使い捨てエプロン等の個人防護具はビニール袋に密閉し、破棄しましょう。ノロウイルスに関しては、乾燥すると空中を漂ってヒトの口に入り感染することがあるので、糞便や嘔吐物は乾燥しないうちに速やかの処理することが大切です。カーペットはしっかり拭きとったつもりでも、汚物が残りやすいため、特に注意が必要です。

糞便や嘔吐物があった部分だけでなく、ヒトの手がよく触れる部分(ドアノブ等)も定期的に消毒しておくことで感染予防ができます。ただし、次亜塩素酸ナトリウムで金属部分を消毒する場合には次亜塩素酸ナトリウムに金属腐食性があるため、消毒後の薬剤のふき取りが必要です。なお、次亜塩素酸ナトリウムは家庭用の塩素系漂白剤でも代用可能です。使用する際には、注意書きをきちんと読んだうえで使用しましょう。

もし、衣類に汚物がついてしまった場合には、汚れた衣類をビニール袋に入れ、周りを汚染しないように気を付けましょう。85度で1分以上の熱湯消毒か、0.02%の次亜塩素酸ナトリウム(原液濃度6%の場合、3Lの水に原液10mlを加える)で消毒するようにしましょう。消毒した後も、他のものとわけて最後に洗濯するようにして下さい。

③食品の十分な加熱

ノロウイルスの感染原因として、ノロウイルスに汚染された牡蠣などの二枚貝を生や加熱不足の状態で食べることも挙げられます。十分に加熱したものであれば口にしても問題ありません。十分な加熱処理を行うことで、ウイルスは基本的に熱に弱いため、ウイルスを失活化(ウイルスの感染力をなくし、ウイルス自体を働けない状態にすること)することができます。ノロウイルスの汚染が疑われる牡蠣などの二枚貝は、中心部温度が85~90℃の状態で90秒以上の加熱が望ましいとされております。

④ワクチン接種(ロタウイルス)

現在日本では任意接種で受けることのできる2種類のロタウイルスワクチンが承認されています。対象者はどちらとも乳児であり、どちらも1回目のワクチン接種は生後14週6日までと接種できる期間が短いのが特徴です。接種を希望する場合には、他の予防接種の時期とともにかかりつけの小児科医に相談しましょう。

かかってしまったらどうする?

特効薬はないため、基本的に対症療法となります。
発熱や腹痛がある場合には解熱鎮痛薬を使用して症状が落ち着くのを待ちます。
1番注意しなければならないのは嘔吐と下痢による脱水です。
水分補給ができる場合には、経口補水液でしっかりと水分補給をしましょう。
ただし、吐き気がある時に多量の水分を一気飲みすると、余計に吐き気を誘発する要因になるため、こまめに少量ずつ飲むようにしましょう。
経口補水液は薬局で購入できますが、自宅でも簡単に作ることができます。

【経口補水液の作り方】
・水1L
・塩3g(小さじ2分の1)
・砂糖(上白糖)20~40g(大さじ2と小さじ1~大さじ4と小さじ2分の1)
・レモン汁適量←少し加えた方が飲みやすくなります。
※経口補水液を自作した場合は、冷蔵庫で保管し、必ずその日のうちに飲み切りましょう。

嘔吐や下痢の症状があるにも関わらず、口から水分補給ができない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。特に小さな子どもと高齢者は脱水になりやすいため、注意が必要です。

医療機関を受診する場合は、感染を拡大させないために、病院に行く前に電話で一報し、受付でも嘔吐や下痢の症状があることを必ず伝えるようにしましょう。

また、嘔吐や下痢の症状がある間は、固形物を食べずに水分摂取をしっかり行い、安静に過ごすことが大切です。体力の回復のためと思って中途半端に何かを食べるよりも、症状のある間は水分だけしっかり摂って胃腸を完全に休ませてあげる方が早く回復できる可能性があります。

あと、ひどい下痢が続くからといって、自己判断で市販の下痢止めを服用するのは絶対にやめましょう。嘔吐や下痢というのは、要は体の中から悪いものを出そうとしようとしている反応になります。むやみやたらに下痢止めを使用することによって、かえって回復を遅らせてしまう可能性があります。

終わりに

いかがでしたか?毎年寒い時期になると流行する感染性胃腸炎ですが、同じ時期に流行るインフルエンザにかからないためにも、普段から手洗いうがいを徹底して行うようにしましょう。特に、小さな子どもや高齢者がいる家庭は注意しましょう。

[参考]

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