
ファミワンの管理栄養士がお届けする離乳食コラム。4ステップに分けて月齢に合わせた離乳食の進め方をやさしくお伝えしていきます。一緒に、赤ちゃんの「はじめての食事」を見守っていきましょう。
今回お届けする内容は9~11か月ごろの【カミカミ期】と1歳〜1歳半頃の【パクパク期】について。
離乳食はいよいよ1日3回に。生活リズムが整い、大人と同じように“朝・昼・晩”の食事のリズムができてきます。
この時期は食への興味が一層高まり、手づかみで食べようとしたり、好き嫌いが見られることもありますが、それも自然な成長のステップ。無理に食べさせようとせず、赤ちゃんのペースを大切にしながら、楽しい食卓を心がけていきましょう。
モグモグ期からカミカミ期へ移行する目安


9ヵ月以降になると、母乳に含まれる鉄分量がさらに減るため、鉄欠乏症貧血が現れることがあります。レバーや大豆、海藻卵でしっかりと補ってまいりましょう。
海藻の進め方
① 乾燥ひじきは必ず戻して柔らかく煮る
→ 水で戻してからやわらかく茹でる
②細かく刻む
→ 繊維が長いので、そのままだと喉につかえやすい
③少量からスタート
→ 最初は「煮物に混ぜて耳かき1さじ分」くらいから
④味付けはしない/薄めに
→ 大人用の煮物から取り分ける場合は味が付く前に取り分ける
⑤鉄分補給に良いが“主役”ではなく“混ぜ役”に
→ 豆腐ハンバーグ、野菜煮、炊き込みごはん風などに少し混ぜると食べやすい
ポイント
☆乾燥ひじきには 無機ヒ素(特に長ひじき) が含まれるため、 よく洗い、しっかり茹でる
☆頻繁に大量に食べさせない(週数回、少量でOK)
☆ひじきだけを大量に与えるのではなく、野菜や豆腐・鶏ひき肉などと一緒に与える
食事の姿勢・与え方
手づかみ食べが始まる時期です。茹でた野菜スティックやバナナ、パン、おにぎりなどお子さんがつかみやすい状態で与えるようにしましょう。
歯茎でしっかりと噛めているかを確認します。口のものが完全になくなったら次のお食事を与えます。スプーンは、前歯よりも奥に入れないことがポイントです。
姿勢は足がブラブラしていると、体幹が安定せず飲み込みにくいため足が浮いている状態踏ん張れることで噛む・飲み込む動作がスムーズになります。
肘を曲げてテーブルに手をのせられるくらいの高さが理想です。
カミカミ期からパクパク期へ移行する目安
卒乳するお子さんも多く、お食事から栄養が摂ることが中心となります。3食プラス間食の時間をとり、生活のリズムを整えていきましょう。食材の幅も広がる頃です。いろんなものをバランスよく食べさせましょう。


パクパク期後半は、ほとんどの食材を食べられるようになります。油を使った調理も取り入れられますが、衣が厚い揚げ物や脂っこい料理はまだ控えめにし、薄味を心がけましょう。
この時期からスプーンの練習も始まります。自分で食べる用のスプーンと、大人が食べさせる用のスプーンを2本用意し、自分で食べたり食べさせてもらったりを繰り返すことで、無理なく“自分で食べる力”が育ちます。
離乳食は単に食べさせるだけでなく、赤ちゃんの成長・発達・食習慣形成に関わる大切なステップです。ポイントを整理しましょう。
離乳食の進め方のポイント
① 発達に合わせて進める
月齢だけでなく 噛む力・飲み込む力・手先の発達 に合わせて食材や形態を調整します。ゴックン期 → モグモグ期 → カミカミ期 → パクパク期と段階的に進めるましょう。
② 少量から新しい食材を試す
アレルギーや消化の負担を考え、 初めての食材は少量(耳かき1〜小さじ1程度)から与えます。
③食事の楽しさを大切にする
無理に食べさせず、 自分で食べる体験や手づかみ食べ を積極的に取り入れましょう。食べこぼし・遊び食べは成長の一部と考え、焦らず見守ります。
④ 栄養バランスを意識する
主食・野菜・たんぱく質を 1食の中でバランス良く色や形を変えると興味を持ってくれます。乳製品や魚・卵などのたんぱく質も少しずつ取り入れていきましょう。
⑤ 味付けは薄味で
大人と同じ味付けではなく、 素材の味を活かし、塩分や砂糖は控えめにして、将来の味覚形成にも配慮します。
⑥ 安全第一
誤嚥防止のため、硬さ・大きさ・形に注意が必要です。食物アレルギーの可能性がある場合は、医師と相談しながら少量から進めます。椅子に座る姿勢や食器の扱いやすさも大切です。
「離乳食は、月齢や時期にとらわれすぎず“その子らしいリズム”で進めて大丈夫です。発育が順調で、食卓で笑顔が見られているなら十分。焦らずに、お子さんと一緒に“食べる楽しみ”を育んでいきましょう。
おわりに
3部にわたりお届けした離乳食コラムいかがでしたでしょうか?
管理栄養士が丁寧にポイントをお伝えしていきました。
ポイントを押さえながらお子様のペースに合わせて進めていきましょう。
初めての離乳食は悩みがつきものです。食べていた食材を食べなくなった、思うように進まないなど1日数回ある離乳食が億劫になってしまうこともあるかもしれません。
ファミワンには管理栄養士、助産師、保育士が在籍しておりますので、離乳食のお悩みにもお答えしていきます。お気軽にテキスト相談や通話相談をご利用くださいね。
参考文献
•厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)」
• 離乳食の開始時期・進め方・栄養の考え方をまとめた公式ガイドライン
•日本小児科学会「母乳栄養・離乳食に関する提言」
•日本小児アレルギー学会「食物アレルギーに関するガイドライン」
•『最新版 標準 離乳食事典』主婦の友社
•『いちばんわかりやすい離乳食』成美堂出版
•『0~5歳児の食事と栄養』医歯薬出版
•『離乳食・幼児食困ったら読む本』 主婦の友社