薬剤師が伝える!「あ、飲み忘れた!」その時どうする?お薬の飲み忘れのリカバリー術と予防のコツ

病院の処方薬やドラッグストアで購入したお薬。
「1日2回の薬だけど、うっかり1回分を飲み忘れてしまった…」「薬を飲む時間が気づいたら過ぎていた」ということはありませんか?
薬局でもよく飲み忘れに関するお問い合わせをいただきます。
そんな時、どのタイミングで飲むのがよいか迷いますよね。
また、そもそも飲み忘れないためにはどうすればよいのでしょうか?
ご自身の適切な治療のためにも、事前に予防の仕組みを作っておくことも大切です。

今回はお薬を飲み忘れたときの対処法と予防のコツをご紹介します!

薬を飲み忘れるとどんな影響がある?

お薬は、用法・用量を守って正しく服用することで、期待された効果を発揮します。お薬を飲むタイミングや量は臨床試験の結果、体の中にとどまって効果を一定に発揮できる時間により設定されています。そのため、「1日1回」で飲むお薬もあれば「1日3回」のお薬もあります。
1回の飲み忘れで大きな影響が出ることは少ないですが、何度も続いてしまうとやはり体調への影響が懸念されます。

①治療効果が十分に得られない

お薬の中には、症状が改善しても処方されたすべてを飲み続ける必要があるものがあります。抗生物質は、体の中の最近を完全にたたくためにしっかりと飲み切ることが大切です。途中でやめてしまったり継続ができないと症状がぶり返したり、同じ薬が効かなくなる薬剤耐性菌の出現につながるリスクがあります。

②副作用のリスク

お薬を飲みすぎることで副作用が起きるイメージがありますが、飲み忘れも副作用を引き起こす原因のひとつです。お薬の体内の濃度が不安定になることにより副作用が起きるケースもあります。

③症状の悪化

血圧やコレステロールのお薬など服用を自己判断でやめてしまうと、脳梗塞や心筋梗塞などの深刻な病気を引き起こしてしまうリスクがあります。

飲み忘れが起こる原因

過去に全国の20代~60代以上の男女1,021人を対象に行われた「薬の飲み忘れに関する意識調査(2014年 日本調剤株式会社)」では
半数以上の人が処方された薬の飲み残しが生じていることが報告されています。
また、飲み残し薬が生じる理由で最も多いのは、「服用するのをつい忘れてしまうから」(65.8%)。
つづいて、「体調回復などにより飲む必要がなくなったから」(30.0%)、「指示通りに飲まなくてもよいと思うから」(10.9%)でした。

このように若年層~高齢者まで飲み忘れ、自己判断での中止によってお薬の飲み残しが起こっていることがわかっています。

また、具体的には下記のような原因から起こることが多いでしょう。

▼薬の飲み忘れの原因
・外出、仕事の繁忙などによる生活リズムの崩れ
・「後で飲もう」の意思はあったが忘れてしまった
・症状改善による自己判断での中止や、薬の種類が多いことによる心理的負担

飲み忘れをなくす予防法を知ろう

では、飲み忘れをなくすためにはどうしたらよいでしょうか?
予防策をいくつか紹介します。


・お薬カレンダー
お薬カレンダーは「朝・昼・夜」、曜日ごとで視覚的に飲むタイミングをわかりやすくします。
1日複数回や多種類の薬を服用する方、飲み忘れ・飲み過ぎが多い高齢者や慢性疾患の方におすすめです。薬が視覚化され、朝昼夕や就寝前ごとのセットが可能なため、本人だけでなく、家族やケアマネジャーが服薬状況を確認する際にも非常に有効です。医療現場でもよく活用されています。


・ピルケース
錠剤やカプセルを小分けで持ち運べるので便利です。
外出時にお薬を飲む必要があり、携帯したい方におすすめです。
1週間分の薬をまとめて管理したいならお薬カレンダー、外出・携帯には「ピルケース」など使い分けていただいてもよいでしょう。


・処方薬の一包化
1日複数回や多種類の薬を処方してもらっていて、飲み忘れに困っている方は1回分のお薬を一つの袋にまとめる「一包化」の相談をすることが可能です。
自分でシートからお薬を準備する手間が省けるので、飲み忘れ防止や管理の負担軽減につながります。
一包化には原則として医師の指示が必要になるため、希望される場合は診察の際に医師か、またはお薬をもらう薬局の薬剤師にご相談くださいね。
一包化のお薬は袋につめる作業が薬局で発生する分、出来上がるまでの待ち時間がかかります。その点を考慮して、処方箋を事前にFAXやお薬手帳のアプリなどで薬局に送信しておくと受け取りがスムーズです。


・スマホのアラーム、服薬管理アプリのリマインダー
最近は医療デジタル・テクノロジーの導入により、服薬管理アプリなども多く普及しています。
仕事や家庭で日々忙しく、ついうっかり飲み忘れてしまう人や決まった時間に飲む必要があるお薬を続ける場合におすすめです。
処方箋をもらってアプリに登録した時点で、飲むタイミングのリマインダーまで自動で設定してくれるものもあるので大変便利です。


・生活習慣への組み込み
「歯磨きの後」「食事の準備中」など、既存の習慣とのセット化するのも飲み忘れの防止になります。
一例として
「食前(食事の30分前)」→食事の準備中で
「食直前(食事の5分前以内)」→お箸を持つ前「いただきます」と言うタイミングで
「食後(食事の後30分以内)」→食べ終わったタイミングで
など基準をもって続けていくのもよいでしょう。
具体的にいつ飲めばいいのか?迷ったときは薬剤師に相談してみてくださいね。


・保管場所の工夫
ご自身の目につく場所でお薬を保管することも一つの手です。
ただ、小さいお子様やペットがいるご家庭では、誤飲のリスクがあるので場合によっては不向きな工夫となります。特にお子様の誤飲のリスクには注意して手の届かない場所で保管するようにしましょう。

飲み忘れには視覚的な「見える化」と「生活習慣とのセット」がキーとなります。
上記の方法を組み合わせていただくと、より効果的です。

お薬を飲み忘れたらどうする?

飲み忘れてしまったら、まずは前回に飲んだ時間を確認します。
次の飲むタイミングまでに時間の間隔があるときは、気づいた時点ですぐに飲みましょう。時間が近い場合は1回分をスキップする、または気づいた時点ですぐにお薬を飲んで次回までの時間間隔をあけるようにします。
2回分のお薬を一度に飲むことは量が過剰になってしまうので、避けてくださいね。

一般的なお薬の飲むタイミングの目安は以下です。
・1日3回のお薬→4時間以上あける
・1日2回のお薬→6時間以上あける
・1日1回のお薬→8時間以上あける

ただお薬によっては飲む時間が厳密に決まっているものもあります。例えば、高血圧などに使われる利尿薬は、夜間の頻尿をさけるために朝の服用が適しています。また、骨粗しょう症のお薬では体への吸収効率の観点や副作用のリスクを避けるために起床時に飲むことが鉄則です。
お薬によってさまざまですので、まずは事前に薬剤師に飲み忘れたときの対応について確認いただくのと安心です。薬局ではお電話での問い合わせも受け付けているので、ぜひ困ったときは気軽に聞いていただければと思います。

さいごに

お薬は体の中での濃度が一定となるように飲み方の設定がされています。正しく飲んでいただくことで治療の効果を最大限に発揮します。
ただ、忘れてしまう時ももちろんあるのでどのような仕組みで解決ができるかの参考にしていただけたら幸いです。まずは先述の予防策を実施し、困ったときは薬剤師にぜひご相談ください。

参考
日本調剤株式会社「処方薬の飲み残しに関する意識調査」2014年
https://www.nicho.co.jp/corporate/newsrelease/11546/

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