みなさん、韓国やフランスで大量発生している、『トコジラミ』という虫をご存知ですか？
ニュースを見てご存知の方もいらっしゃると思います。海外の話か〜と思いがちですが、実は近年、日本でも被害が増加しているんです。
そんな世界を騒がす『トコジラミ』とはどんな虫なのか、解説していきます。
トコジラミはどんな虫？
トコジラミ（南京虫）は、扁平で薄い茶褐色の虫です。体長は5～8mmと小さく、物の隙間など狭く暗いところに生息します。
昔は日本でも家庭で目にするような一般的な虫でしたが、薬剤の普及とともに姿を見なくなりました。しかし、コロナ禍が明けて観光や仕事で人と物の移動が増えたことや、薬剤抵抗性をもつトコジラミの増加により、日本でも再び被害が増加しています。
なぜトコジラミが問題なのか
トコジラミは薄暗く狭い所に隠れながら、人間や動物の血を餌に、あっという間に増殖してしまいます。サイズが小さく、素早く動く虫なので、最初のうちはなかなか見つけることができません。それに加え、雌は 1 日当たり5〜6個の卵を産み続けるので一度増えてしまうと駆除するのがとても大変です。また、血を吸われた部分がかゆくなったり、赤く腫れたりしてしまうので人々を困らせています。
トコジラミに血を吸われると
トコジラミは、衣服の内部まで潜ることが少なく、肌が露出している部分から血を吸います。犬や猫などの血も吸いますが、感染症を媒介するという事例はいまのところ確認されていません。
トコジラミは吸血している間、血液が固まるのを防ぐために唾液を注入します。この唾液がアレルギー反応を引き起こします。夜寝ている時に吸われることが多く、吸われている時の痛みはないので、なかなか気づきません。
吸われてすぐにかゆみが出ることは少なく、繰り返し刺されることでアレルギー反応を起こし、赤く腫れたり、激しいかゆみが生じます。
トコジラミが潜む場所
トコジラミは扁平な体をしているため、家具やカーペット、床や壁の継ぎ目、たたみの裏や隙間、ブラインドやカーテンの折り目、縫い目のほか衣類や鞄などあらゆる隙間に潜り込みます。活動時間帯は基本的に夜間で、昼間はこのような場所に隠れています。
トコジラミが生息している場合、カバンを置いたときやベッドやソファーに長時間座った時に衣類へ入り込まれたり、卵を産卵されたりすることがあります。トコジラミはこのようにして生息場所を拡大していきます。
トコジラミの数が増えてくると、「血糞」という黒く小さい糞を出します。この黒い糞は、トコジラミが吸血した証拠です。ベッド・床・壁などの隙間にトコジラミが潜んでいたり、血糞がないか確認してください。人の出入りが多い旅行先のホテルや旅館ではトコジラミが持ち込まれている可能性があるので、血糞がある場合は部屋を変更してもらった方が良いでしょう。
トコジラミの対処法はあるの？
早期発見・繁殖しづらくするために
- 普段から、トコジラミが隠れやすい場所を掃除する
- 目張りをして隙間を減らす
- ダンボールなど不要なものは処分、整理整頓する
トコジラミを見つけた場合
- 掃除機で吸い取り、ゴミはすぐ処分する。
- 掃除機を人が過ごす場所に置かない
- 熱に弱いので、スチームクリーナーや乾燥機で殺虫する（60℃で10分以上）
殺虫剤は効くの？
害虫を駆除するには、殺虫剤を使うことが多いと思います。
トコジラミには、有効成分がプロポクスルまたはメトキサジアゾンの殺虫剤が効果があるといわれています。
しかし近年のトコジラミは薬剤耐性があり、一般的な殺虫剤に抵抗性を示すとも言われています。そのため、市販の薬剤では効果が低い可能性があります。また、卵には効果がありません。
トコジラミに効果があると謳っている殺虫剤は薬事法による承認が必要で、薬局のみで販売可能な「医薬品」かホームセンターなどで購入できる「防除用医薬部外品」として販売されています。医薬品や医薬部外品以外でトコジラミに対する殺虫効果などを謳っている薬剤は薬事法に違反していますので、使用しないよう注意してください。
また、昔の薬事法の時代に承認されたものだと、ゴキブリに対する効力が確認されていれば、 トコジラミに対する効果があると謳うことができました。
そのため、当時承認された薬剤が今も販売さている場合は効果が低い可能性があります。
どの殺虫剤が効くかどうかは自分で判別することは難しいので、生息範囲が拡大する前に専門の業者に頼むことをお勧めします。
ちなみに、部屋に煙を充満させるくん煙剤は、トコジラミが他の場所へ逃げて拡散してしまい、かえって被害を広げる可能性があるので、おすすめはできません。
最後に
トコジラミを完全に予防することは難しいですが、旅行先でトコジラミがいそうな跡がないか確認したり、体に異変や部屋に黒い跡があった場合は速やかに対処するようにしましょう。
トコジラミについての情報は市区町村のホームページや国のサイトを参考にしてください。
