糖尿病のリスクを減らすための2つの秘訣

甘いものをたくさん食べた時や、体重が増えると「糖尿病になるよ」と言われたことはありませんか?『糖尿病』、一度は耳にしたことのある言葉だと思います。
でも糖尿病ってなんでしょう?糖が尿に出るの?どうして糖尿病になったらよくないのでしょうか?
今回は糖尿病についてお話しします。

糖尿病とは

一言でいうと、糖尿病はインスリンが十分に働かないために血液中の糖(ブドウ糖)が増えてしまう病気のことです。 糖尿病という名前からイメージすると尿に糖が出るように聞こえますね。けれど糖尿病の方でも尿に糖が出ていないこともあれば、尿に糖が出ていても糖尿病ではないこともあります。つまり糖尿病の診断は糖に尿が出ているかどうかだけでは判断できず血液検査も行う必要があるのです。ちょっと名前のイメージとちがいますね。

種類

糖尿病は発症の原因によってⅠ型とⅡ型と妊娠糖尿病などにわけられます。

Ⅰ型糖尿病

子どもや青年に多く、インスリンを分泌している膵臓の細胞が傷害されインスリンが分泌されないことで発症します。

Ⅱ型糖尿病

遺伝性の性質と生活習慣の乱れ(運動不足、食べすぎなど)からインスリンの働きが悪くなり血糖値が上昇し発症するといわれていますがはっきりとした原因はわかっていません。糖尿病患者の95%以上を占め中高年に多く発症します。

妊娠糖尿病

妊娠中にわかったまだ糖尿病にはなっていない血糖値の上昇。多くは出産後に戻りますが、将来糖尿病のなりやすいといわれています。

今回はⅡ型糖尿病についてお話しますがほかの型に共通するところもありますので参考にしてください。まず糖尿病のお話しによく出てくる言葉です。

  • 膵臓

おなかの上の方、胃の後ろ側にあり20㎝ほどの細長い臓器です。膵液という消化液や血液中の糖分の量を調節するホルモン(インスリンやグルカゴン)をつくっています。

  • インスリン

膵臓のβ細胞というところから血中に分泌される血糖値をさげるホルモンです。

  • ブドウ糖

グルコースとも呼ばれ、自然界に最も多く存在している単糖類です。デンプンなどが食べ物から体に取り入れられると消化・吸収されて最後にブドウ糖になります。脳はブドウ糖のみをエネルギー源としているため生命維持に重要な栄養素です。

  • 血糖値

血液の中のブドウ糖の濃度をさします。一般的に空腹時血糖値はおおよそ80~100㎎/dLで食後は少し上昇します。

  • BMI

[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で導かれる肥満度を表す体格指数です。BMI22を適正体重、25以上を肥満と分類されています。

ブドウ糖は血液にのって全身にめぐり細胞に取り込まれ、エネルギーの源として使われています。この血液中のブドウ糖は食事によって増えますが、その多くは膵臓から分泌されるインスリンの働きによって肝臓・筋肉・脂肪組織に蓄えられます。その結果、血中のブドウ糖が減ります。ところがインスリンの仕組みがうまく働かないとブドウ糖が肝臓などに取り込まれず血中に増えてしまいます。このような原因で慢性的に血糖値が高い状態を糖尿病といいます。

また日本人を含むアジア人は体質的にインスリン分泌能が低いため、軽度の肥満でも糖尿病を発症することがあります。アメリカの糖尿病の方のBMIが平均30を超えというかなりの肥満であるのに対し日本の糖尿病の方のBMIの平均は25弱です。アメリカよりだいぶ数字が小さくても糖尿になってしまうのですね。ちなみに20歳の時と比較して10キロ以上体重が増えている場合は糖尿病の危険が高いと言われています。

そして、この血液中のブドウ糖(血糖)の値が高いまま何年も放置されるとブドウ糖が血管を傷つけてしまい将来的に心臓病や失明、腎不全や足の切断といった合併症をおこすことがあります。

検査のどこをみたらいい?

糖尿病は早く見つけて血糖のコントロールをすることで合併症を防ぐことができます。よく糖尿病になると喉が渇いたり尿の回数が増えたり体重が減ったりすると言われますが、それはかなり症状が進んだ状態です。
症状がなくても糖尿病予備軍や糖尿病になっていることもありますので1年に1回は健康診断を受けましょう。

採血

採血で示される項目は次のようになります。

空腹時血糖値
検査したその時の血液中の糖の濃度を表します。

HbA1c 
約1-2か月前の血糖の状態を把握できます。

上記2つのうち血糖値が126㎎/dL以上、HbA1cが6.5%以上のどちらかひとつでも満たした場合「糖尿病の疑い」になります。2つとも満たした場合はできるだけ早く医療機関を受診しましょう。
この他診断の際に経口ブドウ糖負荷試験をおこなうこともあります。

尿検査

尿中アルブミン
糖尿病の合併症のひとつである腎機能の障害を把握できます。

尿糖
尿中のブドウ糖濃度です

合併症

糖尿病のこわいところは、高血糖のまま放置すると全身に様々な合併症を引き起こすことです。特に3大合併症とよばれる糖尿病網膜症(進行すると失明に至る)・糖尿病腎症(腎機能が低下する)・糖尿病神経障害(神経に異常をきたし手足の感覚が鈍くなったり感覚異常が現れたりする)が有名ですが、それ以外にも糖尿病は動脈硬化を進行させるため脳卒中や心疾患などにつながり死亡リスクを高めます。近年は糖尿病があるとアルツハイマー型認知症になる可能性が1.5倍、血管性認知症になる可能性が2.5倍になるという報告もあります。また糖尿病は歯周病の進行を促進したり、膵臓がんを発症しやすいともいわれており、全身にほんとうに様々な影響を起こしていくのです。

予防

糖尿病予防だけではなく生活習慣病全般の予防の基本は食事と運動です。特に糖尿病で大事なことは①血糖値が高くなるようなことを控えること ②血糖値を効率よく利用できる体質にすることです。

以下にポイントをあげますので、取り入れられそうなことがひとつでもあればやってみてください。それだけで小さな改善になります。たくさんしようと思うとストレスになるのでまずは0(ゼロ)を1に変えてみましょう。

食事のポイント

  • 食事時間に気を付ける(血糖値の変動を防ぐため規則正しく摂取し遅い時間になった時は食事を控えましょう)
  • 食事の内容(バランスよく野菜を多めに摂りましょう。外食時は単品ではなく野菜などがついているセットメニューを選ぶといいですね)
  • 食事の順番(まず野菜から食べ始めましょう。血糖値の上昇を抑えることができます)
  • 血糖値を緩やかにあげる食べ物を意識して摂取する(雑穀米やそば、芋類、大豆以外の豆類)
  • 食事の量に気をつける(腹八分を守り過食はしません。1日に約ご飯1杯分ほど食べる量を減らすだけで1月に約1kgの減量に繋がります)
  • 水分補給(ジュースやスポーツドリンクなどは血糖値があがるため水分補給はお茶かお水にしましょう)
  • お酒は控えめに(アルコールは血糖値に影響を与え、特に多量のアルコール摂取は高血糖になり糖尿病の危険性が一気に高まります。適量を守りましょう)

日常生活のポイント

  • 息が弾む程度の運動を1日20~30分行いましょう(糖や脂肪が効率よく燃焼できます。週3回はできるといいですね。現在まったく運動をしていない人はまず週1回から無理ない範囲からはじめましょう。これから雨が多くなるので、外に出るのが億劫な時はテレビの体操やYouTubeの運動番組をみながらの運動でもいいですね)
  • 運動をするのは食後30~60分後が高血糖を予防するのでおすすめです。
  • いつもの生活の中で歩ける場所はあるいてみる、エレベーターは階段に変える。
  • 体重測定(視覚的に意識し適正体重を目指しましょう)
  • 禁煙(ニコチンはインスリンの効きを悪くしたり副腎髄質ホルモンを分泌し血糖値をあげてしまいます)

いかがですか?取り組めそうなものはありましたか。

生活習慣の改善は継続することが難しいですが、改善していくことで症状の悪化や合併症をきちんと抑えることができます。この記事が少しでも自分の生活について見直したり受診を考えるきっかけになれば幸いです。

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