体外受精の治療で最も日頃の過ごし方が気になってくるのが胚移植の前後になってくるのではないでしょうか。
頑張って行なった採卵で得ることができた大事な胚を移植するとなると、これまでの治療とは違う感情や思いが出てくるものです。
だからこそ、移植の前や移植後にどのように過ごすのが良いのか気になりますね。
今回はそんな移植前後の過ごし方についてお伝えしたいと思います。
胚移植はどんな方法が良いの?
胚移植といってもいくつかの方法があり、どの方法が良いのか迷われる方も多いと思います。
まずは新鮮胚移植が良いのか、凍結胚移植が良いかという選択があります。
現在わが国で多いのは凍結胚移植になります。
移植はどのタイミングでも良いわけではありません。適切な時期があるのですが、採卵で強い刺激を行うと移植のタイミングがずれてしまう可能性があります。そのため一度凍結し、改めて移植した方が凍結しやすいためこちらの方法が多く、また実際の妊娠率も凍結胚移植の方が高くなっています。
また凍結胚移植には自然周期とホルモン補充周期があります。こちらは通院の負担などが異なってくるのでご自信のライフスタイルなどに合わせて選ぶのが良いと言えます。
胚移植までに注意することは?
「内膜を少しでも厚くするためにやったほうが良い事は?」というご質問をよく頂きます。
移植する子宮は血流が豊富な場所でもあるので、血流が良い方が環境としては良いと言えます。
そのため適度に運動を取り入れてください。激しい運動ではなくストレッチやヨガなどで大丈夫です。毎日15分程度の運動を取り入れると良いでしょう。また身体を冷やしすぎるのも良くはないため身体を冷やす飲食を控え、お風呂もゆっくりと入浴できると良いですね。
ストレスは移植前だけではなく、移植周期は少ない方が理想的です。
移植に向けての過ごし方のポイントは今回ご紹介したようなことになりますが、内膜がなかなか厚くならない場合は、ホルモンの補充方法の工夫や移植までの工夫で改善することが必要となるので、内膜の厚さが気になる場合には担当医と相談されると良いですね。
胚移植当日に注意することは?
胚移植当日の質問で多いのは、移植後の安静に関してです。
胚移植後の安静は医療機関によっても異なりますが、どちらかというと移植直後の安静時間は必要ないとしている医療機関が多くなっていると思います。
これは胚移植後の安静の有無が着床率に影響がないということが判ったからです。
そのため移植後の安静は必ず必要なものではありませんし、もちろん帰宅後も安静の必要はありません。
入浴に関しても各医療機関で少し異なっていますが、入浴に関して制限が出るのは感染対策となるので、各医療機関の指導に従ってくださいね。
入浴への制限が解除された後は血流を促す目的で湯船にしっかりと入ることをお勧めします。
胚移植後から妊娠判定までに注意することは?
一番質問が多いのはこの時期です。大事な胚を移植した後は自分自身がどのように過ごしたら良いのか一番気になるところですね。
「安静が良いの?」「運動はしても良いの?」「仕事は?」など様々な疑問と、より良い過ごし方が知りたいところです。
まず知って頂きたいのは胚移植後も通常の生活で良いということです。「良い」というよりも「そちらが良い」と思っていただけるといいですね。
安静にし過ぎてしまったり、胚移植後だからといって多くのことを制限してしまったりすると、通常と異なるこの生活にストレスを感じてしまいます。実はそれは逆に良い環境では無くなります。
移植後は特に女性に「楽しい」「幸せだ」と感じてほしい時期です。あえて何かできることを取り入れてみたいという場合には、ご自身が楽しいと思えること、好きなことを取り入れてください。そしてリラックスした状態で妊娠判定の日を待っていただけると良いですね。
また、運動に関しては妊娠のために日頃から取り入れておくことは良いことです。胚移植後は軽めのストレッチやヨガなどであれば問題はありませんが、運動強度が強いものは控えるのが良いかと思います。
仕事に関しては、これまでと同様の仕事であれば問題ありません。
しかし仕事の内容が力仕事や肉体労働の場合は控えたり、業務内容の見直しができると良いかもしれません。
他にも自転車に乗っても良いのかという質問をよく頂きます。
胚移植後は振動が多いよりも少ない方が理想的です。自転車は車などに比べると体に感じる振動が大きいため可能な限り控えると良いかもしれません。
着床しやすい食べ物は何?
何か特定の食材を取り入れることで着床率を上げることはできませんが、少しでも着床に良い環境を整えるという意味ではビタミンDの摂取が推奨されています。
ビタミンDは食事での摂取はなかなか難しいため、サプリメントでの摂取がお勧めです。
まとめ
胚移植後から妊娠判定までは通院がないことも珍しくありません。
だからこそ不安も多くなると思います。
しかし移植できる胚はたくさんのハードルを乗り越えて辿り着いた、選ばれた胚でもあります。
そして、その胚を実施に自分の子宮に戻ってきてくれるのを体感することができるのって、実はとても素敵なことではないかと思います。
だからこそ、皆さんにも移植を不安だけの周期にするのではなく、「頑張ってきたよね」とご褒美に楽しいことや好きなことを取り入れながら、リラックスした時間にして過ごしていただけたらと思っています。