体外受精で、胚移植を何回かしたけれど、なかなか着床しない…もしくは、着床しかかったけれど妊娠まで至らなかった…(化学妊娠)といった結果にお悩みの方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
良好なグレードの胚を2回以上移植しても妊娠に至らない、もしくは化学妊娠で終わってしまう方におすすめしている検査があります。
それがERA検査(着床の窓:Implantation Window)というものです。
ERA検査って?
ERA検査は、株式会社アイジェノミクス・ジャパンが展開するTRIO検査の1つです。TRIO検査には、ERA,EMMA,ALICEの3種類がありますが、今回はERA検査(着床の窓:Implantation Window)について紹介をしたいと思います。
通常、受精卵は、子宮内膜に着床をし、そこで赤ちゃんが育っていきます。
この子宮内膜には、受精卵を着床につなげるための窓があり、準備が整っているとき(窓が開いているとき)は着床しますが、子宮の環境の準備が整っていないとき(窓が閉じているとき)は妊娠に至りません。
この窓が開いている時間には個人差があり、約30%の女性は、人より窓が開く時期がずれているといわれています。
ERA検査は、この窓ずれの有無を調べる検査になります。
検査方法は?
ホルモン補充周期、もしくは自然周期にて、適切な時期で子宮内膜を採取します。
その後、検体を専門の検査会社へ移送し、内容物の遺伝子パターン、着床の窓を調べていきます。
専用のチューブ、もしくは器具を使って内膜組織を採取しますので、若干の痛みを生じることもあります。病院によっては、事前の痛み止めが処方されることもあります。痛みの程度は、子宮体がん検診と同等のレベルです。
結果はさまざま
この結果では、半日単位で胚移植の適切な時期(時間)を知ることができます。
移植の時間や黄体ホルモンの開始時間をずらすことで、適切な時期に移植をすることができ、この検査により、妊娠率が約25%向上しているというデータがあります。
ERA検査を受けられた方の例
・高齢で、これ以上の採卵は考えていないAさん。凍結している残り最後の胚の移植に向けて、万全な状態で臨みたく、本人の希望によりTRIO検査を受けられた。
・比較的若い年齢のBさん。体外受精ですぐに妊娠に至るだろうと思っていたが、胚移植の結果は1回目は陰性、2回目は化学流産。今回ERA検査を受けると、窓ずれがあったことがわかる。結果を踏まえて適切な時期に3回目の移植を行ったところ妊娠に至った。
まとめ
ERA検査の実施条件は特になく、どの方でも希望があれば受けることができますが、全ての患者さんに行っている検査ではありません。
一般的には、良好なグレードの胚移植を2回以上行っても妊娠に至らない方、もしくは化学妊娠となった方にこの検査をすすめている病院が多い印象です。
また、窓ずれは高齢の方が起きるというわけではありません。年齢がお若い方でも窓ずれが生じていることがあります。
この検査を実施している病院は限定されていますので、ご検討の方は、主治医とご相談されることをお勧めします。