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今回は体外受精のオプションの一つである『タイムラプス』についてのお話しです。

すでに体外受精を受けている方では、この『タイムラプス』というのを耳にしたことがあるという方も多いかと思いますが、なんとなく「良いものなのだろう」とは思っていても、実際にどういったものなのかを知らないという方もいらっしゃるかと思います。

そこで今回は、体外受精で使われる『タイムラプス』について詳しく解説をしていきたいと思います。

タイムラプスとは

そもそもタイムラプス/Time Lapseとは“時間の経過”を意味しますが、カメラや映像解析などの分野では、低速度(微速度)撮影のことを指します。
低速度撮影とは、一定の間隔で被写体を撮影し、数100枚~数1000枚という画像を繋ぎ合わせて、一定のスピードで画像を送る(再生する)ことで動画のような作品を作り、静止画像でありながら、時間の経過を表現できるといった技法です。

例えるなら、パラパラ漫画のような技術をイメージしていただくと分かりやすいかと思います。

体外受精におけるタイムラプスは、この技法を応用して、一定の間隔で受精卵の画像を撮影することで、受精卵の成長過程を動画で追うことが出来るといった培養方法です。

タイムラプスの正式名称は、タイムラプスインキュベーターと言います。
インキュベーターとは、受精卵を培養する機械(培養器)のことで、温度、湿度、pH、気層環境などを一定に保ち、受精卵が育っていくために、女性のお腹の中に近い状態を作り出してくれる装置です。

インキュベーターの種類

インキュベーターには、いくつかの種類があり、従来は加湿型インキュベーターと呼ばれる機械が主流でした。

細胞培養製品|株式会社アステック:CO2インキュベーター、パーソナルインキュベーター

 

この加湿型インキュベーターは、細胞の浸透圧変化が少ないことや、培養液の蒸発を阻害し、組成が変化しづらい状態を作り出すことが出来るなどのメリットから、長年、生殖医療専門施設や研究施設などでスタンダードに使われており、現在も、多くの施設で採用されています。

しかしながら、加湿型インキュベーターは、添付画像のように開閉扉が大きく冷蔵庫のような形をしており、一台のインキュベーターで何人もの患者様の検体を扱うことから、患者様の個別管理や培養が出来ないといったデメリットがありました。

また、専門用語でコンタミネーションと言いますが、受精卵の培養という非常にクリーンな環境が求められるにも関わらず、扉が大きいため、ゴミや細菌などがインキュベーターの中に入り込んでしまい、汚染されてしまうといったリスクもありました。

そこで開発されたのが、非加湿型(ドライ)インキュベーターです。

ドライインキュベーターは、調整された混合ガスを常に流し続けることで、受精卵の培養に適した気層環境とクリーンな状態を保つことができる装置で、添付画像のように、受精卵を培養するボックスがいくつもの部屋に分かれているため、患者様を個別に管理し培養することが可能となりました。

また、開閉扉も小さくなったことで、カビの発生や細菌感染といったコンタミネーションのリスクも大幅に減少し、良好な受精卵に発育する確率も上昇しました。

そして、このドライインキュベーターにさらにカメラを内蔵し、受精卵をモニターしながら一定の間隔で画像を撮影することで、まさにパラパラ漫画の要領で受精卵の成長を動画のように後追いすることが出来るといった装置がタイムラプスインキュベーターになります。

タイムラプスインキュベーターの利点

タイムラプスインキュベーターの一番の利点は、受精卵の異常な発育を見つけることが出来るというところにあります。

加湿型インキュベーターやドライインキュベーターでは、受精卵の状態を観察するためには、その都度、インキュベーターから受精卵を取り出して顕微鏡下で観察する必要がありました。我々が暮らしている“外”の環境は、受精卵にとっては非常に負荷がかかるため、何度も何度もインキュベーターから取り出すと、それだけ受精卵にダメージを与えることになります。そのため、加湿型インキュベーターやドライインキュベーターを使っている施設では、受精卵の観察は、受精翌日、2日後の朝、3日後の朝、5日後の朝+夕方と、限られたタイミングのみにしか行うことは出来ません。

これでは、仮に受精させてから翌日までの間、あるいは2日後から3日後にかけてなど、観察していない間に何か異常な反応や成長過程をたどっていたとしても知る術はありません。

例えば、ダイレクト4cell(ストレート4cellとも)と言う受精卵の異常な発生過程があります。通常受精卵は、受精後に1つの細胞が2つに、2つが4つに、4つが8つにと細胞分裂を繰り返しながら、細胞の数を増やして成長していきます。

しかしながら、まれに受精後の1つの細胞からいきなり4つの細胞に分割することがあります。これをダイレクト4cellと言います。

ダイレクト4cellの受精卵は、そのまま培養を継続すると成長を続けていき、非常な綺麗な胚盤胞に育ちますが、胚移植を行っても、着床・妊娠にいたるケースは一例も報告されていません(明らかな発生過程の異常な反応の一つであり、このような受精卵は着床・妊娠・出産に至ることは無い)。

限られたタイミングのみの観察だと、受精翌日に「受精しているな」、2日後に「4つの細胞に分割しているな」ということしか分からないため、細胞が1つ→2つ→4つと正常に発生が進んだ受精卵なのか、1つ→いきなり4つと異常な過程を辿った受精卵なのかの判断がつかないわけです。

タイムラプスインキュベーターを用いることで、受精卵の成長過程を初めから最後まで動画で後追いすることが可能であるため、どんな成長過程を辿ったのか、あるいは妊娠する可能性のある受精卵かどうかを、正確かつ高いクオリティの下で判断することが可能となります。

最後に

タイムラプスインキュベーターは、非常に高額な器械であるため、まだまだ導入している施設も少なく、日本全体で見てもタイムラプスインキュベーターの導入率は20%弱というのが現状です。

しかしながら、先述したようにタイムラプスインキュベーターを用いた培養のメリットは非常に大きいため、今後少しずつ導入していく施設が増えていくのではないかとみられています。

すでに体外受精をされている方、あるいはこれからスタートされる方は、治療の進め方や施設を選ぶ一つのヒントとして、今回のタイムラプスインキュベーターについての知識を活用してみてください。

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