Artificial insemination or in vitro fertilization. 3D illustration

今回は、体外受精の媒精方法の1つである『IMSI』についてのお話です。

受精させる2つの方法

卵子と精子を受精させることを媒精(ばいせい)といいますが、体外受精治療においてはこの媒精方法の選択がとても重要になります。

媒精には大きくは2つの方法があり、1つがいわゆる“体外受精(c-IVF)”と呼ばれる方法で、卵子が入っている培養液の中に、精製した精子を1mlあたり約10~20万個に調整して泳がせることで受精を図る方法です。

もう1つは“顕微授精(ICSI)”と呼ばれる方法で、顕微鏡下で形態や運動性を判断し、良好な1個の精子を選んで、針を使って卵子に直接穿刺して受精を図る方法です。

IMSIとは

すでに体外受精治療を受けている方の中には、このICSIの他に、『IMSI』という単語を耳にしたことがある、あるいはすでに『IMSI』を実施したことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。

『IMSI』は簡単に言えば、よりクオリティの高いICSIのことで、クリニックによってはICSIとは別に『IMSI』をオプションで用意していたり、アピールポイントの1つとして『IMSI』をクリニックのホームページなどに載せていたりすることもよくあります。

その一方で、「ICSIとIMSIの違いがよくわかっていない。」という方や、「先生に勧められたからひとまずやってみた。」という方も多くいらっしゃり、患者様から質問・相談を受ける機会も多い項目でもあります。

IMSIとICSIの違い

そこで今回は、体外受精治療において実施される『ICSI』と『IMSI』の違いについて解説していきます。

『IMSI』の説明に入る前に、まずICSIについての説明をしていきます。

ICSIは、IntraCytoplasmic Sperm Injectionの略称で、顕微鏡下で拡大した精子の形や動きから良好な精子を選び、Injection Pipetteと呼ばれる細いガラスの針を用いて卵子に直接精子を注入する方法です。

精子の数が顕著に少ない乏精子症(Oligospermia)、あるいは精液中にほぼ認められない無精子症(Azoospermia)、運動性のある精子がほとんどいない精子無力症(Asthenozoospermia)、形態的に異常な精子が多い奇形精子症(teratozoospermia)などの場合に、媒精方法としてICSIが選択されます

また上記の他に、卵子と精子に受精障害が認められる症例でもICSIの適応となります。

受精障害の原因としては、卵子を覆っている透明帯と呼ばれる卵子の殻が硬い場合や、抗精子抗体と呼ばれる、精子に対して一種のアレルギーのような反応(精子の動きを止める。細胞を攻撃して死滅させる。凝集を起こさせる。など)を示すケースです。

c-IVFを実施して受精卵が得られなかった(受精個数が著しく少なかった)場合に、このような受精障害が疑われ、次回以降の治療でICSIを選択することがあります。

通常、ICSIを実施する際には、精子を選別する際に顕微鏡下で精子を約200~400倍に拡大して精子を選別します。

少しでも良好な精子を選別することが、成績につながるためです。

しかしながら、200~400倍の拡大では、精子のある程度の形(シルエット)や運動性を見ることは出来ても、精子頭部内の空胞(精子頭部の中の一部がスカスカの状態)や中片部(精子の頭部と尾部の間)の奇形までは見ることが出来ません。

そこで実施されるのが、『IMSI』です。

『IMSI』とは、Intracytoplasmic Morphologically Selected Sperm Injectionの略称で、Morphologically Selected=形態学的に選別したICSIを指します。

IMSIでは、顕微鏡下200~400倍で行っていた精子の選別を、1000倍以上の倍率に拡大して精子を選別します。1000倍以上に拡大することで、はじめて精子のより詳細な形態はもちろん、空胞や中片部の奇形までもはっきりと見極めることが出来るようになります。

IMSIを実施することで、受精率、胚発生率が向上するほか、アメリカ生殖医学会が発行する学術誌Fertility and Sterilityでは、胚の染色体異常が減少するというデータも発表されており、より高度な治療の提供を目指す施設では必須の技術になっています。

IMSIを実施するためには、微分干渉観察(DIC)を行うことが出来る比較的新しいクラスの顕微鏡と、専用の対物レンズが必要となるため、未だに古いクラスの顕微鏡を使っている施設では、導入できていないところも多い技術です。

また、IMSIを導入していたとしても、胚培養士がより正確に精子を選別できる経験、知識、技術を持ち合わせていないと、IMSIが成績を向上させるための有効なツールとならないため、“宝の持ち腐れ”状態になってしまいます。

現在、治療をされている方や、これから体外受精を検討される方は、施設のレベルや規模も加味しながら、IMSIを治療の中に有効活用できるよう参考にしてみてください。

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