
今回は今年新しく先進医療に認められたネオセルフ抗体検査について説明します。
ネオセルフ抗体検査とは
ネオセルフ抗体検査は不育症・不妊症の原因の1つであるβ2GP1ネオセルフ抗体を血液から高感度に検出する検査です。
反復着床不全の方、子宮内膜症に罹患している不妊症の方の約30%、原因不明の不育症の方の約20%が検査で陽性であると確認されています。
β2GP1ネオセルフ抗体とは
不育症・不妊症の原因の1つとして近年新たに発見された抗体です。
この抗体は血管の炎症を引き起こすことにより血栓ができやすくなり、不育症・不妊症の原因となると考えられています。
検査の実施時期や方法は?
この検査は血液検査となります。
検査は月経周期などに関係ないため、どの時期でも問題ありません。
検査の対象者は?
・不育症の方(反復流産・習慣流産)
・流産の原因がわからず不安な方
・不妊症の方
*先進医療の対象となるのは不育症の方のみであり、不妊症の場合は先進医療とての適応はありません
検査結果で陽性となったら?
検査で陽性となった場合、β2GP1ネオセルフ抗体によって血栓が生じやすく、妊娠しにくい・流産が起きやすい状態と考えられるため、血栓を予防する治療を行う必要があります。
具体的には低用量アスピリン療法やヘパリン療法を実施します。
適切に治療を行うことで妊娠率や生児獲得率が増加するという研究結果が報告されています。
治療期間はどのくらい?
治療歴や流産歴など背景によって治療期間は異なってきます。
詳細は担当医と相談し決めていくことになります。
費用は?
この検査は先進医療の検査となるため、自費検査となります。
費用は実施病院により異なります。
ただし、不育症としてこの検査を実施した場合、助成事業を行っている自治体も多くなっています。
国が主導する「不育症検査費用助成事業」をはじめ、独自の助成事業を行っている自治体もありますので、検査を実施される場合はお住まいの自治体での助成の有無を確認すると良いですね。
ネオセルフ抗体検査は2025年時点では日本国内でのエビデンスが限定的であり、ガイドラインに明記された検査ではありません。
しかし近年の臨床研究で、検査結果が陽性の場合、対応する治療が実施された郡において、不育症では生児獲得率が約1.7倍以上、不妊症では妊娠率が2倍以上高い結果であったことが確認さています。
これまで流産を繰り返していらっしゃり、不育症の検査を実施してきたけど検査で特に問題が見つからない方などは一度検討してみても良いかもしれません。