卵子凍結のご相談をよくいただいております。前回の「卵子凍結(社会的適応)される方からよくある質問」に引き続き、今回も卵子凍結保存についてまとめたいと思います。
卵子を凍結するまでのスケジュール
本人の全身状態やAMHのチェック
感染症採血や性病検査、がん検診など、まず処置の前に全身状態を確認します。
また、AMH(抗ミュラー管ホルモン)を測定し、卵巣年齢をチェックします。この値は、簡単に言うと卵子の在庫をみるような検査になりますので、1回の採卵で大体どれくらいの卵子が回収できそうかを予測することができます。
生理が始まったら受診
採卵をしたい周期の生理が始まったら、生理中に受診をしホルモン検査や超音波検査を行います。問題がなければ、卵を育てる準備に入ります。
薬を使って卵巣刺激をする
注射や飲み薬を約10日間前後使い、卵巣の中に卵胞(卵子が入っている袋)を複数個育てます。注射は、病院に通うか、もしくは自己注射を選択します。
十分な大きさまで育ったら、採卵日を決定します。
採卵
特別な針を使って卵巣に直接穿刺し、卵胞液を回収します。その中に卵子が入っているかを確認します。
痛み止めの座薬や、局所麻酔、静脈麻酔などを使用し、なるべく痛みを最小限にします。
個数の確認、凍結保存
回収された卵子のうち、成熟卵を凍結保存します。人によっては、次週期以降に、もう一度採卵を行い。貯卵をするケースもあります。
更新手続き
一般的には、約1年に1回、凍結保存の更新手続きが必要になります。その後は、卵子を使用するときまで凍結保存をすることが可能ですが、病院によっては、預かれる年齢の期限を定めています。
上記はあくまで一例になりますので、おかかり先の病院によっては刺激の方法やスケジュールが異なることがあります。
凍結した卵子の妊娠率は?
採卵後、成熟している卵のみを凍結します。この時、変性している卵などは凍結できません。
また、凍結しているすべての卵子が妊娠に結びつく卵子とは限りません。
①成熟卵の受精率、②受精後に胚が正常に育つ確率、③着床までたどり着く妊娠率、これら3つは採卵時の年齢によりかなり差があります。
平均的には、卵子1つあたりの妊娠率は10%未満になります。できるだけ多くの卵子を凍結しておくことがのぞましいでしょう。
安心材料としてとっておくというケース
卵子凍結をして、将来お子様を持ちたいパートナーができた時、必ずしもその卵子を使うとは限りません。自然妊娠され、結果的に凍結した卵子は使わなかった、という方もいらっしゃいます。
将来いつか子供がほしいけれど、まだ相手がいないから、安心材料としてとっておきたいというのも1つです。
そのほかに、「結婚をしているが、ご主人の病気の治療により精子の準備ができないので卵子だけ凍結をする」というケースや、「数年後に結婚予定だが、未婚の場合は体外受精ができないため今のうちに卵子だけ凍結する」というケースなど、さまざまな人が卵子凍結を選択されています。
まとめ
現在の医療では、卵子の質を若返らせることはできません。
アンチエイジングといって、老化そのものを遅らせる取り組みはさまざまありますが、ご年齢を重ねるにつれ、卵子も年を取ってしまうのが現状です。
よって、卵子凍結をご検討されている場合は、なるべく早めに取り組まれるほうが望ましいということになります。