原因にかかわらず、セックスの時に痛みをくりかえす場合を「性交痛」や「性交疼痛」といいます。
女性の実に50%以上が感じているといわれる「性交痛」(※1)。
セックスの痛みを我慢して、行為が終わるのをじっと待っている方は少なくありません。性交痛はほぼ女性にみられ、男性には痛みの辛さがイメージしにくいといわれています。
女性の半分以上が性交痛を感じている
痛みを我慢したままセックスを続けると、
- 痛みが悪化する
- 性欲がわかなくなる
- オーガズムを感じられなくなる
- セックスに嫌悪感がわく
- パートナーを傷つける気がして断りにくく、更に我慢を続ける
などの問題に発展していきます。
結果的に挿入ができなくなることもあります。
身体的理由でおきる性交痛
①挿入時に痛みを感じる場合:外陰・クリトリス・膣の萎縮や炎症
②膣の奥の方で痛みを感じる場合:子宮内膜症、子宮筋腫など、骨盤内の病変
③性感染症や子宮頸がんなどの手術の影響
④もともと膣が狭い、濡れにくい
その他に考えられる理由
①ストレスや緊張
ストレスがかかるとホルモンバランスが乱れ、膣内が濡れにくくなり痛みを感じます。セックスに抵抗感や緊張がある場合も、膣が萎縮して痛みを感じます。
②前戯が不十分or長すぎる
女性の身体は、性欲を感じることで興奮し、膣の中が濡れるようになっています。前戯が不十分で膣内が濡れていない状態で挿入しようとすると、痛みを感じます。前戯が長すぎて疲れてしまっている場合も、性的興奮がおさまってしまうため膣内が潤い不足となり、痛みを感じます。
性交痛を改善するには?
①楽しめる気分のときにセックスをすること
セックスで喜びを感じるのは、脳が性的に興奮するためです。
脳が性的に興奮すると、膣が濡れて男性器を受け入れやすくなり、膣の内膜で快感を得やすくなります。
リラックスした気分でゆっくりとセックスを楽しんでください。気分が乗らない時は、痛みを感じる可能性を高めます。
セックスをしたい気分じゃない時には、パートナーさんにそう伝えることも大切です。
誰にでも、気分が乗らない日はあります。お互いに、「自分にも相手にもセックスしたい日としたくない日がある」ということを了解しておきましょう。
②マスターベーションで自分の身体を知る
マスターベーションで自分の外性器を見たり触ったりすることで、どの部位をどのような方法、強さで刺激すると一番気持ち良いのか知ることができます。
あなたにとって丁度よいと感じられる触り方、触ってほしい部位、時間、言ってほしい言葉などを自分自身で理解し、パートナーさんに伝えられると良いですね。そのためにも、マスターベーションであなたご自身の体をよく知ってあげてください。
膣が収縮する感覚を練習したい方には、膣トレグッズがおすすめ。
膣トレグッズの商品サイトはこちら③潤滑ゼリーやジェルを使う
女性向けの潤滑ゼリーやジェルがドラッグストアなどで市販されています。
膣が濡れにくいことがある、挿入の違和感を軽減したい方はぜひ利用してみてください。
性器はとてもデリケートで敏感ですから、しっかり守ってあげてくださいね。
④前戯を工夫する
丁度良いと感じる前戯の長さは、男女によって違うという研究報告があります。
男性が5~10分の前戯で挿入したいと思うのに対し、女性の理想は15~18分くらいと言われています。
お二人にとって丁度よい前戯の時間を探してみてくださいね。
前戯の時にバイブレーターなどのセックス・トイを使って楽しむという方法もあります。女性の理想的な前戯の長さに合わせるのは、男性にとっても大変です。手技だけでなく、セックス・トイも取り入れて楽しんでみてください。
⑤体位を工夫する
痛みを感じやすい体位・感じにくい体位は人によって違います。また、日によって違うこともあります。ピストン運動の強さや速さによっても、痛みの有無が変わります。
・体格差がある場合
正常位でクッションを女性の腰の下に入れ、高さを調節。クッションはピストン運動の力を吸収しない硬めのものがオススメ。
体格差が大きい場合や、後背位(バック)、女性に対し男性が小柄の場合は、女性だけがベッドに乗り上げるようにして高さを調節。
・深さや挿入の確度によって痛みを感じる場合
子宮後屈とわかっている方には、うつ伏せバックがおすすめ。2人がうつ伏せに重なって寝そべる体位です。
・深い挿入に抵抗がある場合
正常位で女性が足を閉じた状態にすると挿入が浅くなりますよ。
・結合部の摩擦で痛みを感じる場合
女性が上になって動ける騎乗位がおすすめ。後背位は摩擦を強く感じる場合があります。
お互いに「この体位は気持ちいい」「これはちょっと痛い」など、コミュニケーションを取りながらお二人の時間を楽しんでください。
まとめ
性交痛には何かしらの疾患が隠れている場合があります。
ご紹介した方法を試してみたけれど、やっぱり痛い!という方は、婦人科の医師にご相談ください。
性交痛は多くの女性が感じています。決しておかしなことではありません。
性交渉がつらい、不快感がある場合などは、臨床心理士や専門のセックス・カウンセラー(日本性科学会)によるカウンセリングが有効なこともあります。
セックスはお子さんを授かるためだけの行為でも、相手を喜ばせるための行為でもありません。
まずは、あなた自身が喜びを感じられることが大切です。パートナーさんとのコミュニケーションを楽しみ、喜べる時間がもてると良いですね。
(※1:2012年日本性科学会セクシュアリティ研究会の調査)