改めて知っておきたいアートメイクのこと

近年、急速に人気を集めているアートメイク。実は美容目的だけでなく、脱毛症やがん治療、火傷などをカバーする目的でも注目されています。アートメイク専門のクリニックも増え、気軽に施術を受けられるようになった反面、失敗談を耳にすることも増えています。そこで今回は、施術を受ける前に知っておくべき注意点をまとめていきます。

アートメイクとは

アートメイクとは、皮膚に針を用いて色素を注入する施術を指し、日本では医師が常駐する医療機関でのみ行うことが出来る医療行為です。タトゥーとの違いは、主に色素を注入する深さにあります。アートメイクは、眉やアイライン、唇などの表皮層、つまり皮膚の浅い部分に色素を注入するため、肌細胞が一定周期で生まれ変わるターンオーバーに伴い、1~3年かけて徐々に退色します。一方でタトゥーは、皮膚のより深い層である真皮層(表面から1~2㎜の深さ)に色素を注入するため、退色することはほぼありません。

施術前の注意点

SNSなどの印象的な広告の影響もありアートメイクのメリットに目が向いてしまいやすいですが、医療行為であるということを踏まえて、リスクを十分に理解してから施術を受けることが大切です。

MRI検査

アートメイクに使用する色素には、微量の金属が含まれます。医療画像検査のMRIの電磁波がこれに反応してしまうと、画像が乱れるだけでなく、火傷を負ってしまうことがあります。特に上下アイラインのアートメイクをしている場合に、火傷のリスクが高いと言われています。現在は多くのクリニックでMRI検査には影響がないと言われている色素を利用していますが、クリニックによって異なりますので、施術を受ける前に、必ず確認をしましょう。また現時点では問題なく検査を受けることが出来る色素でも、今後MRI機器がより精密になると反応してしまう可能性がありますし、数年経って退色していても、体内に微量の金属が残っている可能性もあります。一度でも施術を受けたことのある場合は、必ず検査の際に事前申告をしましょう。

デザイン

アートメイクは、1~3年をかけて徐々に退色していくため、デザインが気に入らなかったからすぐに消す、ということはできません。しかし、仕上がりのデザインに満足がいかなかった、などのトラブルは多くあります。アートメイクを除去するためにはレーザー治療や切除手術などの方法がありますが、眉毛やまつ毛が生えてこなくなってしまったり、傷跡が残ってしまったりと様々なリスクがあります。施術が必要かどうかを慎重に検討すること、またカウンセリング時に施術者とデザインのすり合わせを入念に行いましょう。

施術を受けられない/注意が必要なケース

妊娠中の方は、施術を受けることができません。

また、持病(特に血液疾患や糖尿病、自己免疫疾患、皮膚疾患、心疾患、緑内障、白内障など)のある方も、必ずかかりつけ医に相談し、施術を受けても問題がないかどうか、またリスクについて確認しましょう。

治療中の持病がなくても、アトピー、アレルギー、ケロイド体質などの場合も、注意が必要です。特にケロイド体質の場合、施術を受けることができないクリニックも多くあります。また色素には微量の金属が含まれるため、金属アレルギーのある方は、パッチテスト(施術前に実際に使用する色素を用いてアレルギー反応を確認する検査)を受けることをおすすめします。パッチテストは結果が判明するまで数日かかるため、日程に余裕を持って予約をしましょう。

海外での施術

日本では医療行為と定義されているアートメイクですが、日本以外の多くの国では医療行為とはされておらず、タトゥーの一種として扱われています。価格の安さなどから海外旅行時に施術を受ける方もいますが、あまりおすすめできません。医療機関ではない場合、衛生や安全に対する考えが大きく異なるのはもちろんのこと、言葉の問題で希望のデザインがうまく伝わらない、施術後のトラブルに対する保障がない、など多くのリスクがあるからです。

施術後の注意点

アートメイクは皮膚に傷を作り、そこに色素を注入する施術であるため、細菌が入りこんでしまうと感染症を起こしてしまうことがあります。施術部位はできる限り触らないようにし、海水浴・プール・サウナ・温泉などは施術後1~2週間避ける必要があります。唇のアートメイクの場合、施術の刺激により口唇ヘルペスを発症してしまうことがありますので、心配な方は施術前に相談して下さい。また施術部位に痛みや腫れ、出血が数日続く場合は、感染症を起こしている可能性があります。施術を受けたクリニックへすぐに連絡をしてください。

まとめ

筆者自身も数年前にアートメイクの施術を受けましたが、毎日のメイク時間が短縮され、とても助かっています。このコラムをきっかけに、少しでも多くの方がアートメイクの正しい知識を持った上で施術を検討することができれば幸いです。

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