今回は不妊治療で行える先進医療のERA / ERPeakについて説明します。
ERA / ERPeakとは
「着床の窓」を特定するための検査です。着床・妊娠に最も適した子宮内膜が整う「着床の窓」の時期に合わせて胚移植を行うことで、成功率の向上を目指します。
具体的には、凍結融解胚盤胞移植する際、移植する当日の内膜が着床可能な状態にあるかどうかを、子宮内膜を採取し遺伝子レベルで調べる検査です。
子宮内膜を着床可能に整えているつもりでも、遺伝子レベルでは準備が整っていない場合やその時期を過ぎてしまっている場合があります。
検査の方法は?
実際の胚移植と同じスケジュールで検査の準備を行います。
そして本来なら移植をするタイミングで、検査を行います。そのため検査時間もその病院の胚移植の時間に合わせて行います。
これにより今まで行っていた移植の時期が適していたのかを判断する事ができます。
子宮内膜を採取する検査のため、少し痛みを伴うので心配な方は事前に痛み止めの使用を医師と相談しておくと良いでしょう。
また検査後には多少の出血を伴いますが、長時間続くものではありません。検査自体は外来で行われる病院が多く、数分から10分程度で終了します。結果が出るのに2〜3週間ほどかかります。
対象者は?
体外受精で良好な胚を移植しても、着床しなかった経験を2 回以上した方。
生化学的妊娠(化学流産)を2回以上ご経験された方。
2つの検査の違いは?
ERA
Igenomix社というスペインの企業が実施してる子宮内膜受容能の検査です。
200から300のRNAの発現をNGSという手法で検出します。
ERPeak
ERAの後から登場した最新の検査です。NGSに対してRT-qPCRという方法でRNAの発現を検出します。ダイナミックレンジが広く少量の検体でも判定することができるのが特徴です。
どちらの検査を取り入れているかは病院によって異なります。
その他
ERA検査に関しては、検査周期の注意事項として以下の案内がされています。
-Igenomixホームページより引用-
ERA検査結果を利用した胚移植で最も重要なことはERA検査時と胚移植時で同じことを再現することです。そのため、検査時に「ERA検査に影響する可能性のある薬剤」を服用した場合は、移植周期にも同様に服用していただく必要がございます。
ERA検査に影響する可能性のお薬には、下記のようなものが含まれます。
免疫抑制剤(タクロリムス)・抗悪性腫瘍薬(ピシバニール)・漢方・生薬・ステロイド(飲み薬,注射,塗り薬,吸入薬)・高プロラクチン血症治療薬(カバサール)・甲状腺治療薬(プロパジール/チウラジールなど)・黄体ホルモン剤の追加投与(別の黄体ホルモン剤に変えるなども含む)・排卵誘発剤(ブセレキュア/リュープリンなど)など。