北海道の培養士が教える!道内の妊活ポイント ~はじめに~

妊活を進めるにあたり、自己タイミングなどを試みてもなかなかうまくゆかなかった場合、“本格的な検査や治療を受けてみようかな…”と考える方も多いと思います。

その際、年齢やご職業、生活スタイルなど、様々な要因がお二人の意思決定に影響するかと思いますが、加えて「どこに住んでいるか」ということも大きな要因となるのではないでしょうか。

道内での妊活について

“北海道”と聞きますと、みなさまはどのようなことをイメージされますでしょうか?

  • 農業が盛ん
  • 牛がたくさんいる
  • 土地が広い
  • 自然が豊か
  • 食べ物が美味しい
  • 雪が多い
  • とにかく寒い 

などなど、色々と思い浮かぶのではないかと思います。

魅力的な特徴が多く挙げられる一方で、道内の妊活希望の患者様と接する中で、以下のようなことを感じる機会がたびたびあります。

  1. 遠方から通院されている方が多い
  2. 喫煙率が高い
  3. 適正体重の方が少ない
  4. 冬季の寒さによる悪影響

遠方から通院されている方が多い

北海道での妊活において、困りごととしてよく耳にするのが「通院が大変」ということです。妊活に対する検査や治療については、タイミング法や人工授精までであれば、近隣地域の病院で行うことが可能であっても、体外受精や顕微授精といった高度生殖補助医療を希望される場合、施設のある地域が限られます。

日本産科婦人科学会への「体外受精・胚移植等の登録施設数(2020年)」(日産婦誌74巻9号)は全体で622施設であり、東京都の108施設に対し、北海道は31施設と比較的多くの施設があります。しかし、道内施設の多くは札幌市に集中しており、他地域に住んでいる場合には、数百キロをかけて毎回通院されている方もいらっしゃいます。そのため、時間や距離的な条件をクリアすることができず、通院を断念されているケースは相当数に上るのではないかと推測されます。

喫煙率が高い

喫煙が健康や妊活に悪影響をもたらすことは今では広く知られ、全国的に喫煙率は年々低下していますが、道内の喫煙率は比較的高く、特に女性は全国ワースト1位となっています。

喫煙は卵子や精子の質の低下、卵巣機能低下、着床能低下、染色体損傷、血流減少、異常精子増加、精液量減少、EDリスク上昇など、生殖に様々な悪影響をおよぼし、妊娠率低下や流産率上昇、先天異常率上昇などをもたらします。ご自身が喫煙されていなくても、周囲からの受動喫煙や三次喫煙により、同等の悪影響を受ける可能性があります。近年は加熱式タバコを使用される方の割合が高くなっていますが、加熱式タバコであっても生殖へのリスクは同じように認められます。

適正体重の方が少ない

みなさまは、ご自身の適正体重をご存じでしょうか?太りすぎや瘦せすぎは、妊娠のチャンスを減少させてしまうことが知られています。男性でも体重が精子の状態に影響することが報告されています。

肥満度チェックの判断式として、肥満指数(BMI; Body Mass Index)が一般的に用いられます。

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

日本でのBMI値分類は以下のようになります。

<18.5・・・やせ

18.5~<25・・・標準

≧25・・・肥満

標準値BMIを維持することは、妊活だけにとどまらず、お二人の健康にとってもとても大切です。ご自身の適正体重を計算してみましょう。

身長(m)×身長(m)×18.5=□kg ~ 身長(m)×身長(m)×25=□kg未満

冬季の寒さによる悪影響

北海道の冬は長く、厳しい寒さが続きます。地域にもよりますが、雪も相当量になり、冬季は室内で過ごす時間が必然的に増えます。また、交通手段として自家用車を利用する機会が多いこともあり、どうしても運動不足になりがちです。代謝や血行の改善、肥満や生活習慣病の予防など、運動には妊活にとってもプラスの効果がありますので、意識して取り組んでいただきたいと思います。

他にも冬季の悪影響として、ご自宅から持参された採精容器をお預かりする際、冷え切ってしまっている、といったこともあります。低温下におかれた精子は運動率が低下することもありますので、移動時には容器の温度が下がらないような工夫をしていただくことも大切です。

おわりに

こちらのコラムでは、主に北海道の地域的な特性に焦点を当て、ご自宅でも取り組める妊活方法や身体作りなど、今後の妊活に役立つ情報を数回にわたりお届けしてゆく予定です。

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