タイミングや人工授精、体外受精の移植後、待ちに待った妊娠の判定。
陽性反応がでてほっと一息・・・かと思いきや、なんだか少量の出血がだらだらと続いたり、持続的な腹痛が続いたりして不安に思う方が多くいらっしゃいます。

妊娠判定で陽性が出ても、途中で心拍が止まってしまうのではないか、心拍が確認できても出血が続いていて流産の兆候なのではないか、下腹部がちくちく痛む・・・など悩みは尽きないですよね。

妊娠初期の症状は様々で、強い眠気、胸の張り、乳首の痛み、嗅覚の変化などの症状から、出血や持続的な腹痛で医師の指示で安静が必要なものもあります。

今回は、妊娠初期の症状や体調不良時の対策についてお伝えしていきます。

妊娠判定後の腹痛や出血ななぜおこるの?

出血の原因としては、胚移植後のプロゲステロンを補充するためのウトロゲスタン膣座薬の副作用で膣内にびらんができ、そこから少量出血することもあります。膣からの出血は問題ないことが多いですが、注意したいのは子宮内からの出血です。

妊娠初期の出血は比較的多い妊娠初期の症状の1つで、超音波での検査でも子宮内の赤ちゃんの袋(胎嚢)の周りに血液が溜まっているように見えることがあります。
胎嚢が大きくなることで自然に吸収され正常な妊娠に戻ることが多いですが、そこからだらだらと出血が続いてしまうことがあります。比較的多い症状ではあるものの、出血に対する治療はなく、赤ちゃんの生命力を信じて出血が続く時には安静に過ごすしかないのが現状です。
治療の末にやっと妊娠判定がでたのに流産の兆候ともいわれる出血や腹痛が続くことは精神的にとても辛く、不安ですよね。

安静にしていたいけれど仕事が・・・

不妊治療をされている方は、8割程度働いているといわれているので妊娠したからといってすぐにお休みは取りにくいですよね。不妊治療でもお休みを沢山もらったのに、妊娠してからもお休みをもらうなんて職場に言いにくい。私自身もそう思いました。沢山の人に迷惑をかけていいのかな、少量の出血くらいみんなあるっていうし少しくらいなら大丈夫かな、と考えたこともあります。

でも、おなかの赤ちゃんのために安静に出来るのは自分だけなのです。流産の原因は染色体異常がほとんどだといわれています。そのため、流産した際に医師から安静の指示があったのに守らなかった自分のせいなのかな、とご自身を責めるようなことが起きないでほしいと願っています。

職場に直接自分でどのような症状で、どのような対応が必要なのか、説明するのはとても大変ですよね。
そこで、医師に『母性健康管理指導事項連絡カード』を発行してもらうことが可能です。(長いので母健連絡カードと略されて呼ばれます)

この母健連絡カードは妊娠をした母体を守るためにあり、医師や助産師の判断で通勤時間を変更したり、労働時間、労働内容等の緩和をできるように職場に伝達するものです。症状によっては休職の指示がでることもあります。

母子手帳をもらってからでないと出してもらえないと思っている方がいたり、そもそも初めての妊娠で存在自体を知らない方がほとんどですが、医師が妊娠と判断した後であれば発行が可能です。

また、母健連絡カードは、出血や腹痛だけではなく強いつわり症状の妊娠悪阻でも使用できます。
ある方は妊娠判定をしていない4週から胃に違和感、妊娠判定をした5週から強い吐き気に襲われ、6-7週には妊娠悪阻の診断を受けた、ということもありますので出血だけではない不調でもご相談してみてくださいね。

母性健康管理指導事項連絡カードとは

厚生労働省で決められた母性健康管理措置というものがあり、男女雇用機会均等法により、妊娠中・出産後1年以内の女性労働者が保健指導・健康診査の際に主治医や助産師から指導を受け、事業主に申し出た場合、その指導事項を守ることができるようにするために必要な措置を講じることが事業主に義務付けられています。

母性健康管理措置には、次のような措置があります。

  • 妊娠中の通勤緩和 ・妊娠中の休憩に関する措置
  • 妊娠中または出産後の症状等に関する措置(作業の制限、勤務時間の短縮、休業等)

※なお、妊娠中・出産後1年以内の女性労働者は、時間外、休日労働、深夜業の制限等を、主治医等からの指導がなくても請求できます(労働基準法)。

母性健康管理指導事項連絡カードとは事業主が、上記の母性健康管理措置を適切に講じるために、指導事項の内容が事業主に的確に伝達され、講ずべき措置の内容が明確にされることが最も大切です。このため、 男女雇用機会均等法に基づく指針で、母性健康管理指導事項連絡カードの様式が定められています。

母性健康管理指導事項連絡カード

いつ書いてもらえばいいの?

医師や助産師の診察が必要になるので、診察を受ける際に医師に母健管理カードについてご相談してみてくださいね。

例えば、

  • 出血が続いているが、立ち仕事のため不安である
  • 長距離の移動や出張などが多く、出血や腹痛があった場合すぐに主治医のいる病院を受診できない可能性があるため仕事を制限したい
  • 腹痛が続いているが通勤時間が長い。通勤ラッシュで座ることができず通勤が辛い
  • 吐き気があって水分もあまりとることができないため仕事ができる状態ではない
  • 頭痛・腰痛

妊娠週数が進むと、

  • 頻繁にこむら返りを起こすため、人前に立つ仕事を避けなければ仕事にならない
  • 貧血で立ち眩みやめまいがひどくデスクワークしかできない
  • 妊娠による痔や静脈瘤の悪化で座ることができない
  • 妊娠してから少し動くだけで動悸がひどく、休み休みでないと動けなくなった
  • 精神的に落ち込むことが増え、すべてが手につかない。妊娠・出産・育児すべてが不安
  • 集中力が欠けている感覚がありとても不安なので運転するような仕事から外れたい

このような症状で母健管理カードを発行した例もあります。
上記のように妊娠に関する不調の症状は多岐にわたります。人それぞれであり、仕事内容もさまざまです。ご自身の症状と仕事内容等を医師にお伝えし、症状にあった対応をご相談できるといいですね。

受け取ったらどうしたらいい?

医師から母健管理カードを受け取ったら事業主に提出して措置を申し出ます。

事業主は母健管理カードの記載事項に従い、通勤緩和や勤務時間自担当の措置を講じます。母健管理カードは『妊娠中及び出産後の女性労働者が保健指導または健康診査に基づく指導事項をまもることができるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針』にその様式が定められています。

小難しく書きましたが、事業主は書いてある内容を守る義務があるのです。

ですから、安心して事業主に提出していただき、ご相談くださいね。

まとめ

妊娠初期で会社への報告自体をためらう方もいらっしゃるかと思います。

妊娠初期の出血については、「そのまま流産してしまったらどういう顔をして職場に行ったらいいかわからないから」と医師から提案があったにもかかわらず無理して働く選択をした方や、妊娠を隠して有給を消化して過ごした方もいらっしゃるかと思います。

少しでも妊娠の症状でお困りの方にこの情報が届くこと、そして事業主のみなさまに情報が正しく広まることを祈っています。

母性健康管理指導事項連絡カードは令和3年7月1日より改定されました
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/432045.pdf

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