不妊症看護認定看護師の西岡です。私はこれまで十数年不妊治療の専門医療機関で看護師として勤務してきました。その中でたくさんの患者様に出会い、学んできたことから、少しでも皆様の妊活・不妊治療のお役に立てるような情報をお伝えしていきたいと思います。
今回は、更年期の妊活についてお話します。
「最近顔が火照る」
「生理の出血が少なくなってきた」
「PMSっぽいかんじもあるし、更年期っぽい感じもする」
「ホルモン値が良くないけれど、もう閉経に向かっているのではないかと心配」
などのご質問をよくお受けします。
結婚年齢や出産年齢が高くになるにつれ、PMSや妊活、更年期といった症状が段階的にではなく、絡み合って女性に降りかかることが増えてきたように思います。
「なんだか更年期っぽい症状があるけど妊娠したい」とお考えの方にどのような妊活を進めたら良いのかをお伝えします。
更年期の不妊治療
更年期のような症状を感じられていても、不妊治療を受けることは可能です。
年齢を重ねるにつれ、自然な変化としてホルモンの変化や月経血の変化があります。ですが、足りないところをうまく補い、妊娠に近づけていくことが不妊治療であれば可能です。
実際にホルモン値を測定し、ご年齢など妊娠にまつわる項目から、妊娠できる可能性や不妊治療の方法を医師と相談していきます。
妊活中の更年期治療
妊活をしているのだけど、更年期の治療をしたい、というご相談をいただくことがあります。
更年期の治療は大きく2つです。
1つはホルモンを補充する方法、もう1つはピルを内服する方法です。これらの方法を妊活中は受けることができません。
そのため、お薬以外の方法で、できるだけ更年期の症状を和らげていくことが大切です。
更年期でも妊活中でもできること
更年期によくある症状のなかには以下のようなものがあります。
- 疲れやすい、だるい
- 肩こり、腰痛
- 頭痛
- のぼせ、火照り、汗
- 冷え
- イライラ落ち込み
- 不眠
- のどのつかえ
- 高血圧、高コレステロール
- 関節痛、痺れ
- 肌の痒み
- 目眩い、耳鳴り
この中からいくつかの症状について、ご自宅でできる対処法とセルフケアのポイントについて説明してきます。
疲れやすい、だるい
他の病気が隠れていないかに注意。入浴時にアロマを使う、休養をしっかりとる、など心も身体もリラックスできるようにすることが重要です。また、ついつい頑張りすぎてしまう方もいらっしゃいますね。頑張るペースを見直すこともポイントです。
肩こり、腰痛
まずはストレッチをしてみましょう。肩を上げ下げする、肩甲骨を寄せる、など肩の周りの筋肉を動かしてみてください。また、座っている時や立っている時の姿勢はどうでしょうか?年齢とともに筋肉が弱まっていると、猫背になっていたり、骨盤が前傾してきたりきます。パソコンやモニターを見ることで目の疲れも増すかもしれませんね。こういったことが肩こりや腰痛につながっています。目を休めて正しい姿勢で、ストレッチを取り入れてみてください。
頭痛
頭痛で悩まれている人が多くなっているように思います。頭痛の中には色々な種類があるので、頭痛があまりにも続く時は頭痛外来や脳神経外科を受診しましょう。
頭痛が起きている時は、休むことが一番です。予防するためには、ズキズキ来そうな時は冷やし、ジワジワと来る時には温めるなどしてみてください。またおでこやこめかみのマッサージを心地よい程度に行うことも有効です。
のぼせ、火照り、汗
お腹の調子を整えることに意識を向けてみてください。お通じが出ることで、体の上半身にある火照りが楽になると東洋医学では考えられています。また自律神経が乱れている影響が考えられる時にはしっかりと深呼吸してましょう。深い深呼吸を繰り返すことは自律神経を整えることにもつながります。
冷え
これは女性の大敵ですね。夏は冷房、冬は本番、冷えは常につきまとう問題です。必要なときに保温できるよう羽織れるものを持ち歩けると良いですね。また、氷がたくさん入ったものではなく、常温の飲み物にすることも一つの工夫です。体を締め付ける洋服も血流を止めてしまい冷えを起こすことがあります。なるべくゆったりとしたお召し物をお選びください。
まとめ
いかがでしょうか。
更年期のような症状があっても不妊治療を受けることができます。しかしそれは個人差がありますので、まずは医師に相談してみましょう。
一方で、妊活中に更年期症状の治療を受けることができかねます。そのため、今更年期のような症状を抱えながら妊活に取り組まれている方には、ご自宅で可能なケアのやセルフチェックをご紹介いたしました。
女性の人生はホルモンの揺らぎとともに過ごしていきます。私たちはこの揺らぎのなかで、すこしでも不快感を少なく、自分らしく過ごせるように工夫することが重要です。
ぜひ一度ご相談くださいませ。