わたしってこんな性格だった?妊活中のホンネ

こんにちは。株式会社ファミワンの不妊ピア・カウンセラー、松本です。普段はファミワンへのご相談にお答えするアドバイザーとして、また、ファミワンのカスタマーサクセスを担当させていただいています。

妊活前の私はどちらかというと周りへ気を遣うタイプの性格で、あまり怒ったりイライラすることがなかったです。相手の怒りや不機嫌を「自分のせいかもしれない」と受け取ってしまい、疲れることはありましたが、それに反発することはない、比較的明るくて穏やかな性格でした。

日々、ご相談を受ける中で、同じような性格の方から、妊活中の性格の変化について戸惑いのお声をいただくことが多く、自分にも当てはまる経験がありました。今回のコラムでは妊活中に感じた自分の性格の変化やそれに対する思い、戸惑いをまとめてみることにしました。

妊活前のわたしが考えていたこと

妊活前(結婚前)の私は、客室乗務員として国内外を時差をものともしない体力で飛び回っていました。結婚に伴い、パートナーが転勤で東京を離れていたので、そちらについていきたくて仕事をやめることにしました。その時の私は「妊娠は避妊をやめればすぐに赤ちゃんは来てくれる」と思っていました。ただ、客室乗務員として勤務中、先輩が「不妊治療をしていて、どうしても両立ができないから退職する」という話を聞いたことがあり…「大変なんだな」と思ったことが心に残っていました。

パートナーと一緒に暮らし始めて半年、緩やかなおうち妊活をしていましたが、再度転勤で引っ越しすることになりました。引っ越し先でようやくブライダルチェックをし、風疹の予防接種を再度打ちました。そのほかは特に所見はなく、予防接種後の避妊期間が終わった後は、基礎体温をつけながら、おうち妊活をしては生理が来る…を繰り返す日々。それでも「まだ結婚1年たってないし」と、気持ちに余裕があったように思います。

妊活がスタートしてからの変化

いよいよ通院を伴う妊活がスタートしたのは結婚2年が経とうとしていた時でした。パートナーから「自分の精液検査をしたい」と申し出があったのです。まずは簡単なセルフチェックキットを使って検査をし、特に所見なし。その後、私も婦人科に行き、まずはタイミング法をおこなっていくことになりました。この、通院が始まったあたりから、毎周期の期待→落胆の振れ幅が大きくなっていったように思います。

パートをしていたので、突然の通院も出勤時間をずらしてもらったり、クリニック側に調整してもらったりしながらの生活。この日にタイミング(性交渉)を持たなければ!というプレッシャーや、通院してまで妊活をがんばっているんだからと高温期は募りに募る期待。今周期こそはと意気込む気持ち。大好きなお酒を我慢したり、得意ではない運動をしたり、「生活」を変化させていけばいくほど、結果に期待を寄せるようになっていきました。

特に、スケジュールを調整して通院し、この日と言われた日にタイミングが持てなかったときに、パートナーに対していらだちを募らせるようになりました。正直、パートナーは通院もしていないし、仕事の調整もしなくていい。私はいろいろなことをがんばっているのに「飲み会が入ってしまった」「出張が入ってしまった」など、外的要因を調整しない姿勢には、本当に残念な気持ちになったものです。今思えば、調整しづらい仕方のない予定もあったと思うし、リカバリーのために夜できなくても朝早くにトライしたりなど、彼なりに考えてくれたし、いくらでもフレキシブルに対応できたはずなのに、そんなことを考える心の余裕をなくしていったんですよね。相手に合わせがちだった私の性格はパートナーにあたったり、泣きついたり、自分の感情を表出していくようになりました。

妊活を通して見えた自分のホンネ

「自分の努力が実らない」状況が続くと、どんどん自分の性格が歪んで行く感覚を持ちました。

あとから結婚した友人が先に妊娠出産していくときの置いてきぼりを食ったような焦燥感、おめでとうという気持ちも確かにそこにあるのだけど、素直にそれを表現できなかった時に、自分を責める気持ち。私はこんなに努力しているのに、直前までお酒飲んでたあの人に先を越されたという「むかつく」ような気持ち。パートナーが協力的でなかったでなかった時に、自分と同じように苦労してほしいと願うような気持ち。タイミングが取れなかったときに、思わずクッションを投げてしまったような暴力的な衝動。全然関係ない芸能人の方のおめでたニュースを見て、思わず出てしまった舌打ち。

おなかの底にあるようなどす黒い気持ちをどんどん自覚させられて、私ってこんな性格悪かったのかと気づかされ、さらには「こんな気持ちになる私の所になんか赤ちゃん来てくれないよね…」と自分を嫌いになっていく。本当にそれがしんどかったです。

ご相談をお受けする中で、こういった感情をまったくもたない人のほうが少ないのではないかと思うくらい、この「自分の性格の変化」や「自分を好きになれない」「自己肯定感の失墜」は頻繁にお聴きします。このどす黒い気持ちを真正面から受け取れず、すべての感情にふたをする方もいらっしゃいます。ピア・カウンセリングでは感情にフォーカスするので、こういったお話をよく伺うのですが、これらの感情にふたをしていること自体にお気づきになっていない人もいらっしゃいます。  

皆さんはどうでしょうか。

妊活を通して得た新しい自分像

不妊ピア・カウンセラーの資格取得の勉強をし、あの時のわたしをぎゅっと抱きしめてあげたい、と思ったことがあります。どす黒い気持ちに苛まれ、自分の性格が変わってしまったような、自分を好きだと思う気持ちがどんどん減っていくような、あの時の自分を「そんな風にどす黒い気持ちが生まれるほど、がんばっているもんね」「あなたはとってもがんばっているよ」「がんばりすぎないでね」「そんな気持ちになるのは当たり前だよ」と寄り添いたいと思いました。

出口の見えないトンネルを感情のジェットコースターに乗ってさまよっていたあの時、自分の一番の味方でいられたのは紛れもなく自分でした。そしてパートナーはそのジェットコースターの同乗者でした。いま、妊活を経験して、自分の性格が変わってしまったなと感じる方がいらっしゃったら、そんなご自身も丸ごと認めて、甘やかしてあげてほしいです。パートナーは敵ではなく、一番の伴走者です。パートナーの立場の方がこのコラムを読んでくださっていたら、ぜひ、「どんなあなたも愛している」、と伝えて欲しいです。

妊活を卒業した後、得たものがあるとしたら、どんな感情でも俯瞰して見られるようになった自分と、パートナーとの絆、誰でも見えないところで泣いているかもしれないと想像する力だと思います。
このコラムが今、苦しい気持ちがある方にとって少しでも参考になりましたら嬉しいです。

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