昨今マスコミでも取り上げる機会が多くなった「不妊治療」。年齢がいくつであろうと、初めての不妊治療となると、どのように診療が進むのか、負担がどれほどあるのか分からず、患者の不安は大きくなるばかり。ましてや、コロナ禍で通院のしやすさなども気になります。今回は桜十字渋谷バースクリニックの井上院長にコロナ禍での不妊治療についてお話をお伺いしました。

コロナ禍でも採卵を急ぐ方は多かった

ーー 桜十字渋谷バースクリニックはどのような患者様が多くいらっしゃるのでしょうか。

井上先生:年齢ですと平均で35歳くらいですが20代から40代まで幅広く通院されていて、ブライダルチェックをされた後、なかなか授からないということで、半年から1年経ってご来院される方も多いですね。土地柄、会社も多いので、比較的午前中、お仕事の前にお越しいただく方もいらっしゃいます。

ーー 昨年の緊急事態宣言以降、桜十字渋谷バースクリニックでは、コロナ禍の影響はありましたか?

井上先生:そうですね。昨年の緊急事態宣言以降から2ヶ月間は患者様の来院もかなり減少していましたが、それ以降はまた患者様も通院されている様な状況です。当院では感染予防対策を徹底していることと、密にならない予約制なので安心して通っていただけていると思います。

ーー コロナ禍でオンライン診療を取り入れるクリニックもありますが、桜十字バースクリニックではいかがでしょうか。

井上先生:今のところ、オンライン診療は考えていません。お話しだけを聞く、というのであればオンラインでも可能だとは思いますが、やはり検査や治療となると、超音波検査や血液検査が必要となることが多いです。その方がどういった状態なのかをきちんと診て差し上げるという意味でもオンラインは難しいと考えています。実際にお会いして、お話をお伺いした上で診察をした方が患者様の安心にも繋がると考えています。

ーー コロナ禍で年齢の高い患者様の場合、採卵のチャンスが限られているので、採卵をした方が良いのかどうか、迷われる方もいたのではないでしょうか?

井上先生:高齢の方の場合は採卵を迷う方はいませんでした。むしろ、採卵を早く行って胚は凍結もしておけますから。日本生殖学会が声明を昨年4月に出したように、胚移植せずに先に採卵のみする方は多かったですね。

ーー 高齢の方であっても、胚移植を先延ばしにしても問題ないでしょうか?

井上先生:そうですね。胚移植に関して先延ばしにすることは胚を凍結しておけば比較的問題は無いです。ただ、移植をしなければ助成金の申請ができずに、助成金がおりないという問題は出てきました。

ーー コロナ禍で通院を少しためらう患者様も中にはいるかと思いますが、患者様ご自身が何か自分で出来る事や取り組めることはあるのでしょうか?

なかなか難しいことですが、サプリメントを摂って頂いたり、家の中で出来る軽い(ストレッチなどの)運動でしょうか。自然妊娠の方に関しては排卵検査薬を使用してご自身でタイミングをとっていただくことになると思います。サプリメントについては、抗酸化作用のあるビタミンEやビタミンCのほか、ビタミンDなどもお勧めします。

ーー コロナ禍で患者様が待合室で密にならないなどの工夫は何かされていますか?

井上先生:はい。密にならないよう予約枠を制限を設けている他にも、待合室では患者様が複数名接触しないようにしている他、スタッフの日々の健康チェック、患者さまの受付時の体温チェック、空気清浄機やマスクおよびフェイスガードの着用、飛沫防止パネルの設置など感染予防も徹底しています。ですので、その点はご安心頂けると思います。

まずは不妊検査を女性も男性も行うことから

ーー 不妊治療をいざ開始するとなると、不妊検査を行うことになると思いますが、桜十字渋谷バースクリニックで行う不妊検査というのはどのようなものがありますか。

井上先生:一般不妊検査については、タイミング法で妊娠を希望される方は全患者様に行っています。月経周期に合わせて行う血中ホルモン検査をはじめとし、子宮や卵巣を観察する経腟超音波検査、子宮内腔の形態や卵管の通過性を観察する子宮卵管造影検査を行います。初診時には感染症、甲状腺機能、肝機能、腎機能の検査も行います。男性に対しては精液検査を必須の検査としています。

卵巣予備能(卵巣の中に卵子がどれくらい残っているか)を計るAMH検査については、一般不妊検査を希望される方ばかりでなく、体外受精をされる方も対象に行っています。体外受精で採取できる卵子の個数とも相関がありますので体外受精の卵巣刺激法を決定する判断材料の1つになってきます。

胚移植当日の子宮内膜が着床に適しているかを調べるERA検査については、良好胚を2回以上移植しても妊娠しない方が対象となります。

ーー 男性の精液検査は、院内で行うのでしょうか?

井上先生:いえ、コロナ禍ということもあり、現在はご自宅で採精して頂いてご持参いただいています。

ーー 精液検査でも、最近ではDFI検査などを行う施設も増えてきています。貴院では精子のDNA断片化率を計測するような検査はされていらっしゃいますでしょうか。

井上先生:はい。体外受精をされている方で、移植回数を重ねてもなぜか妊娠されない、といったケースでは行う事があります。

個々の患者様に合わせた治療法で、1度の採卵で妊娠を目指す。

ーー 患者様の中には、いきなり体外受精をやりたいわけではなく、タイミング法や人工授精から、ステップアップをしていきたい、という患者様も中にはいらっしゃると思います。
クリニックによっては自然周期法をメインで行う、高刺激法で行う、など治療方針が分かれると思いますが、桜十字渋谷バースクリニックではどのような治療方針をとっていらっしゃるのでしょうか。

井上先生:当院では、できるかぎり1回の採卵で妊娠していただく事を目指しています。そのため中刺激から高刺激で複数の卵を採卵する、という方針を基本としています。患者様にとって、何度も採卵を繰り返すことは、肉体的にも精神的にも負担のかかることです。また、自然周期の場合、採卵あたりの妊娠率としては低くなります。もちろん、個々の患者様に合わせて刺激法や治療方法は変えていますので、例えばAMHが低い方や、ご年齢が高い方の場合、そしてできるだけ身体の負担をすくなくしたいといったご本人のご希望を1つひとつ伺って、自然周期で行うケースもあります。

ーー AMHが低い方に対してはどのような対応をされているのでしょうか?

井上先生:AMHが低い方でも刺激法で行う場合もあれば、DHEAなどのサプリメントを摂ってて頂き、採卵数を増やす試みをご提案させていただいています。なかなか難しいケースが多いですけれども、出来ることは全てして差し上げたいと思っています。

FT(卵管鏡下形成術)やポリープの手術は可能。

ーー 婦人科疾患がある方の場合は、貴院で手術できるのでしょうか?

井上先生:開腹手術や腹腔鏡は行えませんが、FT(卵管鏡下卵管形成術)とポリープの手術は行う事ができます。

ーー FTをされる患者様はどのような患者様になりますか。また、年齢層は何歳くらいの方が多いのでしょうか?

FT(卵管鏡下卵管形成術)に関しては若い方が多いのですが、40代あっても、自然妊娠を希望されている方には行っています。

ーー 術後は妊娠しやすくなると聞きましたが、実際はいかがでしょうか。

井上先生:若い方はやはり妊娠される方も多いです。しかし年齢が高い方は、体外受精にステップアップされる方が多くなってきますね。

ーー 術後に痛みを感じたりされる方もいらっしゃいますか。

井上先生:痛みについては、点滴と痛み止めを服用して頂くので、ほとんどいらっしゃらないですが、中にはいらっしゃいますね。

ーー お仕事をしている方の場合、FTの手術をする際は1日お休みを取る必要がありますか?

井上先生:いいえ、午後半休取って頂ければ問題ないと考えています。当院ではFTの手術は、14時に手術をして、17時前に帰れるという感じです。処置自体は15分くらいですが、FTの手術も静脈麻酔で行っていますので、しっかりリカバリーされてからお帰り頂いています。

まずは、なかなか妊娠しないという方や、高齢の方で妊娠を考えている方は気軽にご相談にいらしていただき、検査をしていただくことをお勧めしますね。

どんな年齢、状況の方であっても、最善の提案をされたい、という井上先生。語り口も穏やかで、きちんと話を聞いて頂けるその印象は、安心感があり、質問しづらい、といった事もありません。次回は桜十字渋谷バースクリニックでの体外受精についてお話しをお伺いしていきます。

桜十字バースクリニックは新しく綺麗な病院です。他院ではオプションとなる治療がスタンダードで用意されています。

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