2024国際女性デーセミナー 「はたらく女性のキャリアと健康ー未来のためにアップデートー」対談記事

2024年3月6日(水)、ファミワンでは、3月8日の国際女性デーに因み、特別セミナー「はたらく女性のキャリアと健康ー未来のためにアップデートー」をオンラインで開催いたしました。

本記事ではそのセミナーでのLINEヤフー株式会社 鈴木様との対談の様子をダイジェストでお伝えします。

登壇者紹介

西岡 本日は、国際女性デー特別セミナーということで、女性活躍推進を遂行されているLINEヤフー株式会社の鈴木様にお話しを伺わせて頂きます。

鈴木様 最初に少し会社の紹介と、私の自己紹介をさせて頂きます。

【LINEヤフー株式会社ご紹介】
LINEヤフー株式会社 昨年の10月、ヤフー株式会社とLINE株式会社が再編。

Misson:「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。

コミュニケーションのLINE、インターネットサービスのヤフー、決済のPayPayという日常に根ざしたサービスを皆様に提供するということ。「!」というのは、普通や予想通りではなく予想以上の感動を届けたい。
従業員数:連結で28,000人、LINEヤフー社単独でも10,000人

健康経営:LINEヤフーでは、社長自ら健康宣言を掲げ健康経営に取り組んでいる。働く人の心身のコンディションを最高の状態にすることが、最大のパフォーマンスに繋がり、働く人自身と、その家族に繋がる。コンディションサポート部は、この宣言に基づきコ従業員の様々な健康施策に取り組んでいる。

【鈴木様のご紹介】
2004年のヤフー時代に入社しそれから20年勤務。2014年から当時の健康推進センターに企画職として従事し、従業員の健康支援企画の企画運営に携わる。当時から女性の健康支援やメンタルヘルスなど、沢山の取り組みを行われ、現在では社外からも取材を受けたり、セミナー等と、多方面でご活躍中。

LINEヤフー社の取り組み

西岡 まずは御社でのこれまでの取り組みを具体的に教えてください。

鈴木様 LINEヤフー社として、今現在、実施できているものを中心にご紹介したいと思います。

・一次予防の検査、全年齢の女性が、定期健康診断で、乳がん検診・子宮がん検診を受けることができます。社内の相談しやすい環境作りとして、産業医や保健師の相談窓口を紹介、オンライン診療や、健康医療相談ができるアプリを提供しています。

・休暇制度:従来の生理休暇を女性のFemaleのFからとって、「F休」と名前を変えました。 生理日だけではなく、女性特有の心身の不調や対処、通院に利用できるように対象を広げた休暇です。

・仕事と不妊治療の両立を支援する、不妊治療の費用補助と不妊治療の休暇の制度や、育児、介護をされている方が勤務時間や時差勤務を選択することができる勤務制度等があり、これらは男性も女性も使うことができます。

・啓発として、ヘルスケアやダイバーシティなど、様々なテーマのランチタイムセミナーというセミナーを月2回開催、有志社員の女性の健康支援プロジェクトで、独自に勉強会を開催するなどの活動も行っています。

従業員全員が使えるアプリ

西岡 非常に盛り沢山の制度ですね。自治体だと任意のところも多い乳がんの検診ができるのですね。
オンラインで相談できるアプリは、社員の方のためだけにあるのでしょうか?

鈴木様 健康組合が提供しているHELPOというアプリです。また全従業員にスマートフォンを貸与していますので、自分で選んだヘルスアプリを入れて使われている方もいます。

「F休」の使いやすさ

西岡 「生理休暇」だとネーミング的に、今生理だと伝えているようなところがあり使いづらさがありますが、F休というこのネーミングは、とても工夫されていますね。 休暇の取りやすさに関して、何か社員からのご意見などはありますか?

鈴木様 F休というのは、サイバーエージェント様が採用されているF休という名前の制度を少し真似させて頂きました。生理日だけが辛いわけではない、PMSが辛い、通院する時間が取れない、など、本人の症状によって色々あるので、これで幅広く使える、今日が生理日なんだということを宣言するような使いづらさというのが軽減されたように思います。

西岡 素晴らしいです。育児や介護、不妊、生理というものが他の事情と並列に並んでいることで、抵抗感や、周りからの特別視などへの配慮もあると思います。

積極的に参加されるセミナーへの工夫

西岡 セミナーを沢山開催されているとのことで、企業様ですと年2回ぐらいの開催が平均的かと思うのですがそのように多く開催されているのは何か特別な思いがあるのでしょうか?

鈴木様 過去には個々のセミナーに各々適した先生を検討して開催していましたが、今はヘルスケアとダイバーシティをサポートする企業に委託し、ウェビナーを提供頂いています。ランチタイムに月2回の実施しており、それとは別に個別の案件としてセミナーを企画して開催することはありますがもうそのベースが確立していて、またアーカイブを見られるので、そのベースにプラスアルファで、ピンポイントのセミナーが実施できています。

また、かつては実際に対面式で開催していましたが、コロナ禍を経て、完全にウェビナー形式になったことでアーカイブで視聴したり、早送りで視聴することが可能になりました。また、セミナー内容を書き起こしの記事を作っており、テキストでパっとポイントだけを見たいという方に届けることもできています。その成果で、過去と比較すると今は3倍の数のアクセス数になりました。セミナーに関しては、非常に届けやすい環境になったと思います。

西岡 沢山の工夫があってセミナー参加者が増えているのですね。アーカイブもですが、特に書き起こしの記事はすごく良いですね。

Q&A PART1

西岡 Q&Aがきていますので、もし可能であれば、鈴木様にご回答をお願いいたします。

質問:「貴社のF休は有給ですか?有給であれば、年に何回の取得できますか?」

鈴木様 月1回が有給で、それ以外に関しては無給です。

質問「弊社も女性がん検診を全額補助していますが、なかなか受診率が上がりません。LINEヤフー株式会社様の女性がん検診の受診率はだいたいどのくらいでしょうか?また受診促進のために、何かされている取り組みがあれば教えてください」

鈴木様 受診率は高い方だと思います。最初から全年齢を対象に補助があるので、かなり多くの方に受けて頂いているようです。一方で婦人科検診に抵抗があり、また痛みが気になり受診しないという方も一定数ありますが、検診自体は多くの方に受けて頂いていると思います。

西岡 検診自体が大事なのはわかっているけれど一歩が出にくい方もいらっしゃるかもしれませんね。

では、もう1つだけ質問に答えて、次のトークテーマにいきます。

質問:「F休に関して、もともとの生理休暇を生理だけでなく、通院などにも使えるように拡大したということですが、男性社員からの反発などはなかったのでしょうか?」

鈴木様 その制度を出す時に、事前にアンケートを取り、男性にはない不調であること、実際に困っている方が一定数いるということ、使いやすさという点で理解を広げました。また、最近は「感染症特別休暇」というインフルエンザなどの感染症に罹患した時に使える有給とは別の休暇も導入し、裾野を広げました。個人的には、「必要なところに必要な手当がしっかりある」という点が設計する上で大事なのではないかと思います。ただ盲目的に平等にする事に注力するのではなく、「必要なところに必要なものを」という仕組みで考えているので、そのような反発などがある場合は、その旨説明ができると思います。

西岡 非常にしっくりくるご回答でした。闇雲にではなく、必要なところに必要なことをやるからこそ、個々への不満や不公平さを解消し、沢山の工夫をされて、困りごとがある方々を支えているのですね。大きな枠組みでの設計というのも、非常に重要になってきますね。

女性活躍推進法から8年経って

西岡 では、次にいきます。「2016年に、女性活躍推進法ができて8年目になりますが、実際に現場で変化を感じることはありますか?」

鈴木様 これは、会社の中だけではなく、世の中の変化をすごく感じます。西岡さんの発表資料に、2007年は不妊治療で生まれたお子さんが、55人に1人だったとありましたが、共働き家庭の逆転現象というのもこの10年の中で起こっているので、世代毎に直面してきたものも変化しますし、これからも変化するのだろうと感じています。

私自身、2007年に出産した子どもが、この会社に勤めながら今高校生になっています。働きながら制度の方が変わってきているので、どのタイミングから現場をスタートしたかという点で、大きく変化があったと思います。フルタイムで働く女性が増えている一方で、やはり性と生殖に関するところは、女性が負担がかかる部分が大きいので、もう少しそこに対する支援があったり、色々なテクノロジーで軽減される部分があったりするといいと思います。

西岡 ご自身が、当事者として妊娠や出産をされた時期にあった時の制度と、今では、社会のサポートの体制や認知、色々なものがこの10年ですごく動きが大きかったように感じているのですが、その辺りで、当事者と今の担当者としての違いや、制度を作ったりをする上で、気をつけていることはありますか?

鈴木様 私が担当者として気を付けていることは、「押し付けにならないこと」。選択はご自身でして頂くものなので、自律的にヘルスリテラシーを持ちそしてアクションを起こせるというところを大事にしています。どういう選択をするかという知識を持ってもらう事が支援すると中でポイントかなと思っております。

西岡 確かにそうですね。選択肢を提示する、色々な選択の中で両立ができるようになる、その重要性を再度感じました。

これからの女性の健康支援の目標

西岡 今までは過去について話をしましたが、これからというところを見た時に、女性の健康支援の目標と、そのための課題について、お伺いできればと思います。

鈴木様 世の中全体でもリテラシーは上がってきているように感じますが、具体的なアクションを、となると、仕事や子育てで忙しかったりで、後回しになることがあると思います。実際に社内のアンケートでもパートナードクターはいますか?という問いに関しても、回答で「はい」と答える人が少なかったのが現状です。今はオンライン診療など、非常に便利な診察も進んでいますので、そういったもので受診や、行動のしやすさを上げる。また、西岡さんがご紹介された検査キットなどのテクノロジーで個人の負担を軽減できると思うので、女性にアクションを起こしなさいと言うだけではなく、アクションを起こしやすい方法があるという情報にアクセスしてもらう。そうすることで、早めに健康課題に取り組む、自律的にライフキャリアを選べることに繋がると思います。

西岡 フェムテックの領域や色々なテクノロジーが進化している中で、それらを上手に使ってうまくやっていくというのが今私たちにある武器というか、あらゆる選択肢を応援してくれるものになると思うので、非常に重要だなと思いました。

Q&A PART2

西岡 関連する質問が来ているので、お答えさせていただきます。

質問:具体的な数字で、卵子凍結や不妊治療のご紹介を下さり、刺さるものがありました。妊娠出産の見込みなくても、将来の自分のためにできることがあるのでしょうか?卵子凍結などはよく目にしますが、何がいいのか分かりません。

西岡 未来に向けてということでお伝えすると、卵子凍結もありですし、それだけではなくまずは、健康診断や、自分の今の健康をしっかり知ること、LINEヤフー様がされているような、ヘルスリテラシーが上がるような勉強会などに参加してみることも将来の自分のためにできること、大きな一歩だと思います。

また、AMHのキットについてもご質問を頂いたので、この機会に答えさせて頂きます。

質問:「産婦人科医です。AMH高値の原因で、PCOS、これは多嚢胞性卵巣と言って、生理不順の方に起きやすいのですが、による排卵障害があることを経験していますが、AMHの自己検査で、そこまでの指摘をしてくれますか?AMHが高いから、妊娠できると自己判断をして、産婦人科に行かず、結局妊娠のタイミングを逃すということにはならないのでしょうか?」

西岡 例えば40歳で多嚢胞性卵巣の場合、卵巣年齢はとても若いという数値が出てことがあります。これはこの多嚢胞性卵巣の方の特徴で、AMHが高値になるのですが、このキットをご購入頂いた方には、不妊症看護認定看護師や生殖看護師、胚培養師などのオンライン相談が無料でできるようになっておりますので、検査が終わって、何か不安な結果が出た方はそちらで繋がることができます。もちろん病院でドクターに直接診断をもらえる事は実際に受診する強みですので、こういうキットやオンラインのものと、実際の医療をどう使い分けるかというようなところも、ヘルスリテラシーにおいて重要なところだと思います。

質問:「生理休暇などが認知されてきた今日ですが、上司、特に男性の理解が得られていない気がします。また、日本人ならではかもしれませんが、我慢が美徳という風潮がまだ存在し、女性も病気でないからとまだ我慢しやすい傾向にあると感じています。どうしたら双方に心から理解してもらうことができるのか、具体例があれば教えてください」

鈴木様 まず、上司の理解の部分ですが、2017年に社内で「生理に関するアンケート」を女性と管理職に別々に取りました。管理職側は、生理休暇が必要な時には取って欲しいと思っているという回答が多かったのですが、女性社員側は、少し取りづらい、上司とそういう話もしていないという回答が多く、ギャップがあることがわかりました。上司側の8割が「必要なときには使って欲しいと思っている」という結果を公開したところ、女性側にも男性上司も理解していたということが分かったという事がありました。それに加え、F休という改名で今まで使いづらかったという方も利用に繋がったと思います。 もし人事担当者様であれば、そういったアンケートを取ってみて、「実際はどうなのか」というところを確認してみるのがいいと思います。

もう1点、「我慢は美徳」という言葉がありますが、女性自身も「このぐらいの生理痛は普通なのでは」と我慢をしてしまうということがあると思います。「我慢をしすぎているのかどうか」というのは、西岡様のような方が発信されている情報などを参考にして、客観的に判断すると、調整ができるのではないかと思っています。

私が男性に望んでいることは、細かく理解してもらうというのは難しいですが、月経に伴う随伴症状が毎月ひどい・かなりひどい方が、50%~60%いるということを理解いただき、「女性には大変な時があるのだ」と言うことをざっくり理解してもらうというところを目標としています。ですので、上長に話す場合も、シンプルに女性には大変な時があるのだというところを理解してもらうことを目標にしてお話すると、ご理解頂けるのではないでしょうか。

西岡 私も男性の上司の方から「女性のそういうサポートをしたいのだけれど、セクハラになるのではないかと思って上手くできないでいました」というご相談をされることもあるので、男性上司側も、何とかしてあげたいと思っている方が少なくないのではないかと思うのが、実際のところを理解するためにアンケートを取ってみることで数字化していくのは良いことですね。また、女性のこの辛さは数字で測れないので、「このくらい大丈夫」と我慢する範囲なのか、病院行くべきか、と迷うこともあると思いますが、月経や妊活など色々なものに対して受診の目安というのがありますので、もし疑問に思ったら、ぜひ気軽にご相談頂けるといいと思います。

さいごに ー 健康のことをオープンに話せるようになってほしい

西岡 鈴木様、最後に一言頂いて締めようと思います。

鈴木様 本日はお忙しい中、セミナーにご参加頂きありがとうございます。このセミナーのことを人と話すということ、また自分から開示することや他の人のことも知ることで、自分自身のことも知ることができるし、相手のことも知るということになると思います。皆さんで健康のことをオープンに話せるようになっていったら良いと思います。また、本当にテクノロジーも進化しているので、そういった中で、長い素敵な人生を、ずっと幸せで生きてほしいなと思っています。本日はありがとうございました。

西岡 本日は大変貴重なお話を沢山伺うことができました。どうもありがとうございます。かねてより楽しみにしていたのですが、それ以上でした。また、明日から実践できそうなお話もありましたし、少しずつの積み重ねが実っていく、大きな幹になっていくんだというところを、皆さんにも実感頂けたのかなと思います。どうもありがとうございました。

紹介しきれなかった制度がありますので、LINEヤフーの制度についてご興味ある方はコーポレートサイトもご参照ください。

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