
わたしたちの現実
こんにちは。臨床心理士・公認心理師の西田めぐみです。ふだんは精神科病院に勤務しながら、オンラインカウンセリングの仕事をしています。そして、1歳の子育てをしている新米ママでもあります。
さっそくですが、子育て中の方々!時間のやりくりどうされてますか?正直なところいっぱいいっぱいで、やりくりというよりも目の前のことを必死にこなしてあっという間に1日が終わりましたが!?という方も多いのではないかと思います。というのも、私がそうだからです(そんな保護者は私だけではないと思いたい)。
ただ私の大きな武器は、「すぐに忘れること」「どちらかといえば楽観的なこと」なのかもしれません。理想とはちがう生活だけど、もう昨日のことは寝たら忘れますから、あまり尾を引きません。「できなかったこと」が大きな問題にはならないのです(でも成長もしません。ハハハ)。
でもカウンセリングを利用してくださる保護者さんのなかには、「自分は全然できていなくて自己嫌悪になる」「周囲と比較して落ち込む」「子どもに申し訳ない」などなど、子育てと仕事の両立が〝大きな問題〟になっている方もたくさんおられます。このコラムでは、ちょっとした困りごとを〝大きな問題にしないためにどうしたらいいか〟という視点で、両立生活をサバイブしていく方法をみなさまと共有できたらと思います。
自己嫌悪するためのクセに気づこう。どうせ比較するなら目標にすればOK!
昔、浜崎あゆみの曲で、「恋人たちはみんな幸せそうに歩いていて、すべてのことがうまくいってるように見えるけど、本当のことは2人しか知らない」みたいな歌詞がありましたが、SNS時代こそ、この考えは大事だと思います。少しSNSをひらけば、わぁすごいなぁ・・・と思うポストがたくさんあります。1つ1つに対しては、みなさん冷静に見てらっしゃると思います。いやいや、これは生活の一部だけだろうし、なんならめちゃくちゃ体力がある人なのかもしれないし、というように。
でもカウンセリングでよく聞くんですね。「まわりの人はもっとちゃんとやってるのに」
まわりの人って具体的に誰ですか?「・・・誰だろう。でもみんなちゃんとやってるように見えます」
うんうん、すごくわかります。その気持ち。ちょっと保育園ですれちがう保護者の方をみるだけでも、なんだかすごくちゃんとされているように見える。でも意外と根拠はなかったりする・・・ちょっとした休日のエピソードを聞いたり、親子で笑い合ってる姿をみただけで、1の情報を100にして「あの人は家事も育児も仕事もうまくやってるんだろうな」とイメージしているのかもしれません。自己嫌悪するための比較は意外と癖になっていたりしますから、思いあたる節がある方は「あれ、私そうかも・・・?」とまずは気付くことから始めましょう。
一方で、「いいなぁ」という気持ちがプラスに働くこともあります。それは憧れが目標になったときです。自分にできる範囲で憧れの人や生活にちかづくのは大きなエネルギーになりますよ。
もっと自分のこと褒めていい。思うだけでなくちゃんと言葉にしてね。
そもそもですね、私たち子育てにも仕事にもきっとすごく真面目なんですよ。手は抜きたくない。でも抜かざるを得ないときがある。誰も自分のことは責めないけど、自分が自分を責めてしまう。
でもね、仕事も子育ても、それぞれが単体で時間も手もかかるものじゃないですか。そう思うと、それを並行してやってる私たち、めちゃくちゃえらいですよ。もっと自分を褒めてもいいはず。誰も私たちのこと責めないけど、意外と褒めてはくれないんですよね。だから、褒めの言葉に対してもっと貪欲になりましょう。
ちなみに私は、夫や娘にお願いしたりもします。1歳の娘はまだ言葉はつたないですが、「カカ、がんばってる?」と聞くと「ダッ!」と言ってくれるので、すごく褒められたということにしています。もちろん自分で自分に「わたしがんばってるよー!よくやってるよー!」と鎖骨下あたりをポンポンとたたきながら声かけしたりもします(オススメ!)。
誰にもお願いできないし、自分で自分を褒めるのすごく苦手!という方は、chatGPTにお願いしてください。あの人たちすごいですから。
そしてミニマルケアでご褒美を。予期ドキドキを作ろう!
言葉だけじゃなくてね、やっぱり目に見えるご褒美や身体で感じられるケアは気分のあがり方がちがうと思うんです。最近、ミニマルケアという言葉をよく耳にするのですが、「少しの時間やシンプルな行動で自分を癒したりリフレッシュすること」という意味合いで使われているようです。まさに現代の忙しい私たちにとても大切なことですよね。
外にマッサージに行ったりカフェでゆっくりする時間ができればいいけど、しょっちゅうはむずかしい。だからこそ、すきま時間でできるミニマルケアをぜひ取りいれて、日々の疲れを貯めないようにできるといいですよね。
私のオススメは、ハンドソープを少しいいものにすること(ちなみに自分用。夫と娘はドラッグストアで買ったものです笑)。手を洗うたびに高級感のある香りに包まれて「はぁ~・・・」と癒されます。
保育園の先生にこのお話をすると、「私は冷蔵庫の奥に(家族に食べられないように)おいしいお菓子を子どもが寝たら食べるんだーと思って忍ばせてそのまま寝落ちして(笑)、次の日こそ食べるぞ・・・!とモチベーションにしてます」とおっしゃっていました。まさに予期不安ならぬ、予期楽しみ。
大きなものでなくていいんです。少しの楽しみや癒しの瞬間を生活に取り入れていくことで、立派なメンタルケアになりますよ。
生活を楽にするための術はプロの手を借りる。
この時代でよかった・・・と思うことの1つは、家事手伝いの方をお手頃な価格でお願いできるコンテンツに恵まれていること。私も出産するまで知らなかったんですが、近頃は近所の家事手伝いの方とマッチングしてくれる民間サービスや、ファミサポなどの地域サービスも充実しているんですね。
実は最近、片付けと収納のプロの方に来ていただいて、一緒に片づけてもらったり家事導線を整えてもらいました。プロはすごいですね・・・ただ片付いただけでなく、家事のなかの無駄な動きが減りました。ちょっと行程がシンプルになるだけでこんなにストレスって減るんだぁと感動。
人に頼れるところは頼ったほうが、その後子どもや仕事につかえるエネルギーがぐっと増えます。なかには「自分でできることにお金を使うなんて・・・」と思う方もいるかもしれません。でもその人の考え方ややり方はその人のもの。自分は自分の考え方ややり方を大切にすればいいのです。
なによりも自分を大切にする。
といっても、それがまたできないんです、というのもお悩みあるある。そんな時はぜひファミワンのテキスト相談やオンライン相談を利用してください。自分が自分を大切にするためにどうしたらいいのか、さまざまな専門職が一緒になって考えます。これもプロの手を借りるひとつの方法です。
母親になって改めて思うこと。それは「私、倒れられない・・・!」ということ。1日2日ならまぁなんとかなるかもしれませんが、やはり長期的に稼働できなくなるのは厳しい。私たちは倒れられないからこそ、自分を大切にして生活することはとても大事なことです。
だからこそ使えるものは使いつつ、小さな困りごとを大きな問題にしない。それが令和の子育てと仕事の両立のポイントなのかもしれません。ファミワンでもそのお手伝いができたらと思っています。両立についてお悩みの方は、気軽にご相談くださいね。