
こんにちは。助産師の下舘圭織です。皆さんは日常的に乳がんのセルフチェックをしたり、定期的に乳がん検診を受けていますか。乳がんと言えば数年前に有名人の若い女性が乳がんで亡くなられたこともあり、その時のイメージが強いという方もいらっしゃるかもしれません。しかし日々の忙しい生活の中であまり意識することがない方のが多いのではないでしょうか。10月はピンクリボン月間で、乳がん予防のお知らせなどを目にすることも増えるかと思いますので、その前に少し皆さんと乳がんや乳がん検診について理解を深めれたらと思います。
乳がんはどんな病気?
乳がんの約90%は乳管とよばれる母乳が通る細い管から発生し、一般的に乳管がんと呼ばれます。小葉とよばれるぶどうのような房から発生する乳がんが約5~10%あり、小葉がんと呼ばれます。
乳がんは、早期に見つけると治る可能性の高い病気です。早期に発見された場合、90%以上は治るといわれています。しかし乳がんに関わらず、がんが進行するとリンパ節や骨、肺、肝臓など、様々な臓器にがん細胞が転移して、様々な症状をひきおこしたり、命を脅かしたりするようになります。
乳がんは男性にも発生しますが、男性の乳がんは女性よりもずっとまれながんです。
統計でみると女性の一生のうちにおよそ9人に1人が乳がんと診断されており、日本人女性が最もかかりやすいがんといわれています。一方で乳がんの死亡率はがん全体の死亡率で第4位であり、早期発見をすれば比較的治りやすい病気とも言えます。そのためセルフチェックや定期検診を受けて早期にがんを発見できるようにすることが大切です。
どの世代に多い?
乳がんにかかるのが最も多い世代は40~50代です。しかし30代後半から急激に罹患率は増加するため、働き盛りの世代や子育て世代がかかりやすい病気とも言われています。そのため40代からは2年に1回の定期検診が推奨されています。
乳がんの原因は?
はっきりとした原因はまだわかっていないですが、いくつかのリスク要因は以下のように解明されてきています。リスク要因に当てはまったからといって必ず乳がんにかかってしまうというわけではありません。ただ自分は乳がんのリスクを持っているから日常的に気を付けるようにしようという意識を少し持っていただくと良いかと思います。

乳がん発見のきっかけはセルフチェックから!
乳がんを発見するきっかけとなる症状の90%はしこりと言われています。そのためセルフチェックがとても大切となってきます。普段と違うなと気付くためにはセルフチェックを日常からしておくことが大切です。
セルフチェックと言っても毎日するものではなく、月1回程度で良いので取り入れてみると良いです。セルフチェックを通して先ほどの注意すべき症状がないかを確認しましょう。
<お勧めのタイミング>

<チェック方法>
①入浴前(鏡の前で服を脱いだ状態で行います。特にひきつれやくぼみ、乳頭の陥没やただれ等がないかに気を付けてチェックします。)
1.腕を上げ下げして乳房や乳頭の状態を確認。(腕を上げる時は頭の後ろで組む姿勢が胸を観察しやすいためお勧めです)正面だけでなく、側面や斜めなど向きを変えて観察します。
2.乳頭を軽く摘まみ、血のような分泌物が出ないか確認。
②入浴中(ボディソープを使用しながら行うと指の滑りが良くなるので、体を洗う時に行うのがおすすめです。特にしこりがないかに気を付けてチェックします。)
1.腕を上げ、4本指で乳房の表面に渦巻きを描くようにくるくると手を動かし、表面にしこりや凹凸がないか確認
2.指先を揃えて脇の下にいれ、リンパ節が腫れていないか確認
③お休み前(仰向けの姿勢で行います。肩の下に畳んだバスタオルや枕を入れると確認しやすいのでおすすめです。特にしこりがないかに気を付けてチェックします。)
1.腕を上げて乳房の内側半分を指の腹で軽く圧迫しながら確認
2.腕を下げて今度は外側半分を指の腹で軽く圧迫しながら確認
3.脇の下に手を入れ、しこりがないか指の腹で確認
セルフチェックをして何か異常に気付いたり、普段と違うなと感じたら早めに専門医へ相談に行きましょう。特にもし以下のような症状が見られたら専門機関にすぐに受診するようにしましょう。

40歳以上の女性は2年に1回検診を!
厚生労働省は40歳以上の女性には2年に1回の乳がん検診を推奨しています。自治体によって額は異なりますが、ほとんどの自治体で検診費の多くを費用負担してくれます。
乳がん検診はマンモグラフィを使用することが推奨されています。
※超音波(エコー)検査は、今のところ乳がんの死亡率効果について明らかな根拠がないため、マンモグラフィが推奨されています。
マンモグラフィ検査
マンモグラフィ検査と聞くと痛い検査という認識の方も多いのではないでしょうか。マンモグラフィは乳房を押しつぶして平たくすることで撮影するため、痛みを感じる方もいます。特に月経前は乳房が張ることからより強い痛みが生じやすいため、月経前の検診をおすすめします。
痛いかもしれない検査と聞くと、あまりすすんで受けたいとは思いにくいですが、乳房を薄く伸ばすことで、触れるだけではわかりにくい腫れや正常ではない病変などが観察しやすくなります。そのためマンモグラフィ検査が乳がん検査として推奨されています
さいごに
現代社会では2人に1人が、がんにかかる時代と言われています。そして女性がかかるがん第1位は乳がんです。しかし乳がんの死亡率は第5位です。何度も言うようですが早期発見をして治療ができれば、命が助かる病気でもあります。30代後半~50代は人生においてもライフスタイルが変わったり、仕事や育児に充実している時期でもありますが、まずは健康があってこその人生です。忙しい毎日の中ではありますが、ピンクリボン月間を良い機会として、自身の健康を大切に月1のセルフチェックや2年に1回のがん検診を忘れずに過ごしていただけると嬉しいです。
参考・引用先)

