不妊治療で実施可能な先進医療に4月からZymot(ザイモート)が追加されました。
そこで今回はこのザイモートについてご紹介していきます。
顕微授精で精子を使用するために、男性からお預かりした精子をそのまま使用するのではなく処理を行なっています。
従来の精子調整は、遠心分離機によって行われていました。
しかしこの方法ではDNAに物理的な影響を与えるだけではなく、多くの工程と長い時間が必要となります。
遠心分離によって精子の細胞質が破壊されてしまったり、活性酵素への暴露時間が長くなることによるDNAの損傷も起こるのではないかと考えられています。
ザイモートとは
ザイモートスパームセパレーターを使用し、特殊なフィルターで良好な精子を選別し回収する方法です。
フィルターを通り抜けてきた運動精子のみを回収するため、遠心することなく、短い時間で処理が完了するため精子のDNA損傷の可能性も低減されます。
実際データによると、この方法で回収した精子のDNA断片化率は低く、従来の方法に比べ胚盤胞達成率、着床率、妊娠率などが向上したという報告もあります。
対象者
受精率が低い方、受精しても良好胚が得られない方など
初回の体外受精治療からの使用は先進医療では認められていません。
その他
この方法は、従来の方法に比べると精子の回収量は少なくなります。
ザイモートはこのイラストにあるメンブレンというフィルターを元気のある前進運動性のある精子だけが泳いで上がってきます。そのため不動精子や奇形のある精子はフィルターを通ることができずチャンバーの中に残るという仕組みになっています。