不妊の原因の半数は男性側にもあるってほんと?(後編)

男性と妊娠力に関連して一番不可欠なものは精子であり、その精子力と精子の質こそが妊娠の要であることはいうまでもありません。

前回、不妊症の原因は男性側にも5割近くあるということをお話ししました。

それでは、男性不妊の原因はいったいどういうものが多いでしょうか?

厚生労働省の調べによると、泌尿器科領域生殖医療専門医のいる施設へ受診された男性不妊患者の疾患別と精液所見の割合は次の通りになります。

原因が分かっていることに対してはある程度の治療を進めることができるのですが、男性側の原因で8割近く占めている造精機能障害は精巣の原因ということは分かるのですが、その要因は様々であります。また、精液所見でみると正常の割合はわずか2割程度になります。

この結果をみてどのように思われたでしょうか?

また、男性は妊活のためにどんなことに気を付けていかなければならないのでしょうか?

サウナと男性不妊の関係性について

サウナは男性不妊に関係がある!?』のコラムにサウナと男性不妊の関係性について詳細を記載しておりますのでぜひご一読ください。

新型コロナウイルス感染症は精子に影響がある?

体外受精の妊娠による母体から赤ちゃんへの新型コロナ感染リスクなどを懸念して、治療の延期を患者さんへ検討してもらうように伝えるよう2020年4月に学会から声明文が出されていました。

そんなコロナ禍もだいぶ落ち着いてきましたが、大丈夫なのでしょうか?不妊への影響はないのでしょうか?

性感染症であるクラミジア感染症、HIVウイルスやB型、C型肝炎ウイルスなどは精子に悪影響を及ぼすと言われていますが、そのメカニズムなどははっきり分かっていません。その一方でインフルエンザなどの発熱疾患は精子を減少させるということも知られています。

新型コロナウイルスに関しては、感染から回復した後の精液所見では乏精子症、無精子症の所見がみられています。また、新型コロナ感染症で亡くなった精巣組織からはウイルスが見つかったという報告もあります。つまり、精巣にも感染し造精機能に影響を与えている可能性があるということになります。

しかし、精液からは生きたウイルスは検出されておらず精液を介してからの感染はまだ明らかになっていません。

妊活中である場合は、新型コロナウイルス感染症に限らず感染症には十分に気を付けるのは当然ですが、もし感染した場合はしっかりと精液検査をおこなった上で取り組むのが最善だと思います。

加齢が与える精子の影響について

女性は母体のお腹の中にいるときから卵子のもとになる細胞がありその数が増えることはありません。

一方で、男性は精巣が機能している限り生涯通して新しい精子が造られます。ただ、加齢とともに精巣は小さくなっていき精液量も徐々に減っていきます。

しかし、精液検査で用いられる項目では「総精子数」よりも「精子濃度」の方が重要で、1mlの精液中にどれくらい精子がいるかの値になります。例えば、同じ精子数で精液量が少なくなれば濃度は高くなり多ければ低くなるのです。

年齢と精液所見の関係性について研究が行われていてその結果は、年齢が上がるにつれ精子濃度や運動率が下がるというものでした。

また近年、一般的な精液所見(精子量、精子濃度、運動率など)が良好でも男性不妊の原因として精子の酸化ストレスレベルやDNAの断片化率の精子機能が受精卵の後期発育に関係しているということが分かっています。これも同じ良好精子所見において加齢になるほど高い(悪い)結果となっています。

しかし、新しい精子が常に造られることを考えると加齢が精子の質に直接関わっているとは思えません。

根本の原因は、年齢が上がると運動不足で体力も代謝も落ち、食生活も変わり肥満傾向になりがちということからきているのではないでしょうか?

いくら若くても代謝が低く運動不足、肥満傾向の人は精子力も弱い傾向にあるでしょうし、年齢を重ねても若々しくいる人は精子力が高いように思います。有名人では、チャールズ・チャップリンは67歳、石田純一は64歳で子供を授かっています。

今日が一番若い日です。

いつまでも若くいることはいろんなメリットがあるかと思います。将来のためにも生活習慣を改善してみませんか?

酸化ストレスと老化については前回のコラムにも少し触れていますので、読んでみてください。

喫煙や飲酒、カフェインによる精子の影響について

喫煙

タバコに含まれるニコチンは、毛細血管を収縮させ血流を少なくし、喫煙の本数が多いことや喫煙期間が長いことが勃起障害(ED)のリスクを高め、禁煙によって緩和されるとされています。

また、非喫煙者と比べ精液量が低下し、精子数、運動率、奇形率に悪影響を及ぼすとされています。さらに1日に10本以上タバコを吸う人はより大きく影響を与えるようです。

喫煙者は周りにいる人(特にパートナー)への「副流煙」が影響し、妊娠後赤ちゃんへのリスクがあることも考慮しなければなりません。

急に禁煙といわれるとストレスを感じるかもしれませんが、少し本数を減らしてみてはいかがでしょうか。

飲酒

アルコール男性の飲酒と妊娠のしやすさとはあまり関係がないようです。

しかし、過度な飲酒は、勃起障害や遅漏など射精障害に影響がありますので、禁酒までは必要ないと思われますが、適度な量にして付き合っていけば問題ないようです。

カフェイン

カフェインも飲酒と同様に不妊とは関係はないようです。

とはいえ、世界保健機構(WHO)によると健康成人の適正量は一日に約400mg(コーヒーをマグカップ約3杯分)とされているため、過剰の摂取は中枢神経系が過剰に刺激されると、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠が起こり、消化器官の刺激により下痢や吐き気、嘔吐することもあります。

喫煙、飲酒、カフェインこれらの共通点は睡眠の質に影響し、結局のところは不妊と睡眠の方が最も関係が大きいようにも思えます。

睡眠は、人間にとって不可欠でありストレス解消、疲労回復、肥満防止、ホルモンの調整など様々な効果をもたらしてくれます。

睡眠の質に伴って、精子の運動率が上昇するという研究もありますので睡眠の質向上ためにも気を付けたいものです。

精子の質をよくするにはどうしたらいいか?

禁欲期間

長いより短い方がいいです。

精液検査を目的とした禁欲期間は2~7日ですが、妊娠を目的とする場合は1~3日で十分であり理想的と言われています。

また、短時間(1時間)連続射精の2回目の方が、DNA損傷率が低いという報告もあります。

古い精子は活性酸素により他の精子に悪い影響を与えるため出来る限り残さないようにします。

精液量や精子数は少なくなりますが、常に毎日新しい精子は造られますので、新鮮でより質のいい精子の割合が多い方がいいのです。

朝と夕方の射精

総精子数および総運動精子数は早朝採取群よりも夕方採取群の方が有意差をもって良好な結果となったという研究がありますが、医学的根拠が不明です。不妊治療をされている方は朝に採取がほとんどだと思います、採取してから時間は短い方がいいためが前日に採取するのは避けた方がいいかもしれません。

運動について

適度な運動を行っている男性は運動習慣があまりない男性よりも精子運動率が高い傾向にあるという結果が出ています。

これは、適度な運動している人は肥満防止、代謝が高い傾向にあるからであるからではないのでしょうか。

しかし、過度な運動や運動不足は酸化ストレスにおいても精子の質にとってあまりいいとは言えません。

抗酸化作用があるモノを積極的に摂る

一般に言われている食品では、緑黄色野菜などのビタミン、海藻・魚介類などのミネラル、ポリフェノールなどです。

また、食品だけではなくサプリメントを服用することで足りない分を補いましょう。

最近は、精子力に効くといわれるサプリメントもあります。これは、精子だけに効くのではなく、抗酸化作用によって老化を防ぐはたらきもあります。

まとめ

いろいろお話してきましたが、正直いいますと不妊に対して直接的には医学的根拠がないものも多くあります。これらをしたから必ず不妊になるわけではないのです。しかし、様々な研究がされてきており不妊に関わっているのは確かです。

男性不妊は、はっきりとした要因が特定できないことが多く普段の生活だけでも妊活として考えるとシビアに受け止めなければいけないことがたくさんあります。

まずは生活習慣の改善など今からやれることをはじめることが妊活の第一歩ではないでしょうか?

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