自分の「妊娠できる力」を知る!AMHって何だろう?

AMHとは?

AMH(抗ミューラー管ホルモン)とは、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンで、女性の卵巣予備能を知る指標になります。

女性の卵巣の中には、生まれつきたくさんの原始卵胞がありその数は約200万個と言われています。原始卵胞は自然消滅していくものが多く、初経の頃には30万個程度になり、原始卵胞の一部が活発化し、発育卵胞→前胞状卵胞→胞状卵胞→成熟卵胞と成熟した後に排卵します。発育卵胞の数は25歳~30歳をピークに年齢とともに減少し、同時に血液中のAMH濃度も減少していきます。女性が一生の間で排卵できる卵子は400個程度といわれています。

AMHは前胞状卵胞から分泌されるホルモンであり、その値と発育卵胞の数は相関していることがわかっています。 そのため、AMHを測定することで、その値で卵巣内にどれぐらい卵の数が残っているか、つまり卵巣予備能の評価指標で、不妊症治療領域では近年話題になり注目されています。

「AMHが低い=妊娠できない」ではない!

AMHが低いと妊娠できないというイメージが広がっているように思いますが、AMHが低くても毎月ちゃんと生理が来ている、すなわち毎月排卵している人は自然に妊娠できる可能性が十分にあります。

前述したように、AMHはあくまでも卵巣の中に残っている卵子の数を知るための指標であり、妊娠する可能性と直接的な関連はありません。妊娠のしやすさは卵子の質と関連しますが、AMHは卵子の質までは分かりません。AMH値が低いということは、妊娠率が低いということではなく、卵巣内に残された卵子の数が少ないため妊娠できる期間が限られてくるということを意味します。低すぎる場合には早発卵巣不全の可能性もあります。早発卵巣不全とは40歳未満で卵巣機能が低下して無月経やそれに近い状態になることです。100人に1名くらいの割合でいると言われています。年齢が若くてもAMH値が低い場合は、それだけ卵巣内の卵子の数が減っていると考えられ、早期閉経を迎える可能性があります。そのため、AMHの低下がみられたら、できるだけ早く治療をすることが大切です。

反対に、AMH値が高い(=卵子の数が多い)からといって、必ず妊娠できるというわけではないことにも注意が必要です。AMH値が高すぎる場合(6.0ng/ml以上)は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性があり、注意が必要です。多嚢胞性卵巣症候群は原子卵胞が成熟卵胞に成長する過程で成長が途中で止まり、卵巣内に小さな卵胞がたくさんある状態です。 排卵が起こりにくくなり、不妊や無月経、稀発月経などの可能性があります。多嚢胞性卵巣症候群の方が治療の際に排卵誘発剤を使用すると、卵胞が育ちすぎて卵巣が腫れてしまう卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクがあるので、注意が必要です。

検査の方法

AMHは血液中のAMHの濃度を調べるため、血液検査となります。月経周期による変動がほとんどないため、いつでも検査できるのが特徴です。 また、低用量ピルを内服中の場合は、実際の数値より低く測定される可能性があるため、正しく知るためにはピルを1ヵ月以上休薬した後に検査することをお勧めいたします。

AMHの値は個人差が大きいです。加齢にともなって減少するため、同年代の女性の平均値と比較して数値が高いか低いかで今後の妊娠する力の判断目安とします。不妊治療を行う方は、ご自身のAMH値を知ることでステップアップを検討する判断材料になります。

特に、チョコレート嚢腫の既往、過去に卵巣の手術を受けたことがある、身内に早発閉経(40歳未満で閉経)の人がいる方はAMH検査を受けることをおすすめします。

まとめ

妊活をするためには、ご自身の年齢とAMHの値を両方とも意識して進めていくことが大切です。みかけが若くても、卵巣の卵子が非常に早く減ってしまい、20代、30代で閉経する女性は多く見られます。

男性の場合、いくつになっても精子は新しく作られ、年齢の影響をほとんど受けません。一方、女性の卵子は、生まれる前に作られた卵子が保存されているだけです。したがって女性の生殖機能自体が老化していくことで、生きた卵子はどんどん消滅して数がどんどん減少するとともに、年齢とともに卵子自体も年をとり古くなります。つまり、卵子の供給力、すなわち卵巣予備能がどの程度あるかが問題になってくるのです。

不妊治療は卵子の質を上げるものではなく、限りある卵子が受精し、妊娠できるように手助けしていくものです。AMHが低いということは手助けできる卵子が少ないということになるので、卵巣予備能を知ることで不妊治療がいつまでできるかの目安にもなります。

いざ子供が欲しいと思った時に卵子がないということが起こらないためにも、「私はいくつだからだいじょうぶ」ではなく、「私のAMHはいくつあるから大丈夫」というように正しい自分の「妊娠できる力」を是非知ってほしいと思います。

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