皆さんこんにちは。
前回、知らなきゃ損する?!精液検査と男性不妊(前編)では、不妊原因の約半数が男性側に起因していることについてお話ししてきました。
そんな現状もある一方で、いまだに「俺には関係無い」「不妊は女の問題だ」と、時代遅れなこと言う男性もまだまだ多いようです。
しかしながら、近年では男性に起因する不妊症が増加傾向にあることが学術的にも指摘されているというのをご存知でしょうか?

2018年3月にシカゴで行われたThe 100th Endocrine Society Annual Meeting and Expo(米国内分泌学会)において、近年、喫煙やアルコール摂取、食生活、睡眠などの生活習慣の乱れによって、精子の数や運動性が減少したり、DNAフラグメントといって遺伝子に損傷を受けた精子が増えたりする病態が増えていることが示唆されており、それに伴って男性不妊が増加していると言われているのです!
いつまでも意識が低いままでは、『妊娠』は遠のく一方です。「自分は大丈夫!」では無く、「自分は大丈夫かな?」と意識を持つ必要があります。
まずは精液検査を受けるなど、男性が積極的に不妊治療に協力することで、児の誕生への道のりは確実に短くなります。

“出すだけ”で、不妊の原因がわかるかも?

男性が不妊治療のために病院にかかったら、まず行うのが精液検査です。
精液検査では、精液の中の精子の数や運動性を見る検査です。値段は施設によって異なりますが、1000円~5000円程度で、比較的安価に行うことが出来ます。
方法としては一切難しいことはせず、用手法によって専用のカップに採精してもらうだけです。

検査項目や評価方法については病院によって様々ですが、主に大きく以下の4つの項目について測定を行います。

精液量

射出精液の液量を計測します。WHO(世界保健機構)の基準では1.5ml以上が正常範囲とされています。

精子濃度

精液中の精子の数を計測します。WHOの基準では、15.0×10 6 /ml以上(1ml当たりに1500万個以上)が正常範囲とされています。

精子運動率

上記のうち、運動している精子の割合を%で算出します。WHOの基準では全体の40%以上が運動していれば正常範囲とされています。

精子奇形率

精子を拡大して、精子頭部についての形態学的な評価を行い、奇形精子の割合を%で算出します。WHOの基準では、奇形精子の割合が96%未満であれば正常範囲であるとされています。

不妊治療の専門施設では、精子検査のための専用の機械やソフトウェアを導入しているところもあり、そういった施設では、上記に加えて、精子の運動速度や直進性など、さらにいくつかの項目を詳しく測定しているところもあります。
精液の性状は、体調や生活習慣、環境の変化などによって大きく変わることがあるため、正しい判断を行うためには、複数回(2~3回)の計測をもって検査値を評価することが望ましいとされています。
もしも1回目の検査で結果が良くなかったからと言って、すぐに“男性不妊確定!”とはなるわけでは無いのでご安心ください。

精液検査の結果が不良な場合は・・・

複数回にわたって精液検査を行った結果、やはり結果が良くなかった…となると、男性不妊の適応になります。
精液検査の結果が悪くなる理由にはいくつかありますが、その一つに『精索静脈瘤』と呼ばれる病態があります。
精索静脈瘤とは、精巣内にある静脈血が腎静脈から内精索静脈へ逆流するために、蔓状静脈叢(※精巣から心臓にもどる静脈)の怒張やうっ血をきたし、瘤状に肥大した状態のことをいいます。
精子を造るヒトの精巣、ならびに精子の細胞はとにかく熱に非常に弱い性質を持っています。
また、精巣への血流はとても大事なものであり、造精に必要な酸素や栄養物質などを運んでいます。
精索静脈瘤になってしまうと、精巣内の血流が顕著に悪くなるため精巣内の温度が上昇し、精子を作る機能が著しく低下すると言われています。

日本産科婦人科学会の報告によると、男性不妊を示す患者様では、約3~4割の確率で精索静脈瘤を罹患していると言われているほどかなり高い割合で見られる病態ですが、それほど難しくない手術によって、患者様の約半数以上に改善が見られるというデータが発表されています。
精索静脈瘤は、身体の健康自体には特に害を及ぼすことが無いため自覚症状がほとんど無いということが多く、精液検査をして始めて発見されるというケースが非常に多く見受けられます。
その一方で、精索静脈瘤は進行性の疾患であり、放置してしまうと、最悪の場合、内分泌系に異常をきたすなど他の障害も引き起こされます。
ですので、なによりも早期発見、早期治療が望まれる病態です。

不妊治療は“夫婦”で取り組む課題

さて、ここまで、精液検査と男性不妊について前編・後編と書いてきましたが、男性が積極的に治療に参加しなければならない理由、そして、治療に協力することがどれだけ重要かがお分かりいただけたでしょうか?
確かに男性が専門の病院にかかるのは、一つの大きな壁かもしれません。
ですが、体外受精を行う場合でも、妊娠した後も、出産する時でも、痛く辛い思いをするのは女性です。
もしも、精子検査のデータがあまり良くない結果であったとしても、悲観することなく、正しい知識を身に付けるとともに、通院先の医師らと協力をしながら治療を進めれば良いのです。

最初にも書きましたが、不妊治療は女性だけが病院にかかってももはや意味はありません。
不妊治療は“夫婦”で取り組むべき課題です。少し意識を変えていくだけで、待望の赤ちゃんに出会えるかもしれませんよ。

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